どんな言語でプログラムを組んできたとしても常に付きまとう不安がある。つまり、「いまのままでいいのか」と。そこで、ある程度自由に自分のスキルアップを図れ、未経験分野なども経験してキャリアの幅も広げていく、そんな働き方を提案したい。それで不安が解消するかもしれない。 |
■VBからVB.NETへのスキルコンバート
多くのITエンジニアはいま、「不安」や「悩み」「不満」を抱える。それは「自分の将来」に対する不安だったり、「自分の能力/適性」に関する悩みだったり、「現在の勤務先」への不満であったりする。@IT自分戦略研究所が2004年12月に実施した読者調査での結果だ。
現在の職場環境や待遇、経営方針などに不満を抱きつつも日々の業務に忙殺され、自分のスキルやキャリアに自信を持てないままに将来に対する漠然とした不安を募らせている……。@IT自分戦略研究所が2004年12月の読者調査の結果からは、そんなITエンジニアたちの姿が見て取れる(図1)。とりわけ、VBやC/C++など「成熟した」スキルを身に付けているITエンジニアにとって、こういった悩みは深刻だろう。
図1 2004年12月@IT自分戦略研究所読者調査(N=467)。「あなたが現在の職業に不満や不安、悩みがあるとしたら、その主な要因に当てはまるものを、1つだけお選びください」という設問の回答割合 |
VBやC/C++は、どれもITエンジニアの「現在保有スキル」ではあっても、「今後身に付けたいスキル」では下位にランク付けされてしまう(図2)。専門性を極めるにも、また、上流工程にシフトするにも「このままVBやC/C++をやっていていいのか」と常に悩みがつきまとう。そこで、まずは、VBのエンジニアの市場動向と今後のスキルアップやキャリアを構築する方向性を探ってみたい。
図2 2004年7月@IT自分戦略研究所読者調査(N=914)において、現在の保有スキルと、今後身に付けたいスキルについての回答結果 |
「VBの大型案件は非常に少なくなっている。VBプログラマへの市場ニーズは不安定である」と分析するのは総合人材サービス会社 松下エクセルスタッフの中島佑輝氏だ。中島氏は、大手システムインテグレータ(SI)でのJavaエンジニアを経験した後、現在はVBやC/C++、Java、.NETなどのITエンジニアの就業サポートをし、さらにITエンジニアの市場動向に精通した立場にいる。
松下エクセルスタッフ 中島佑輝氏 |
中島氏によれば、VBでの開発案件が減少している中で「いま増えているのはVB.NETの案件。VBでの開発経験のあるエンジニアをVB.NETのプロジェクトで求める案件は意外に増えている」という。
現在、VBからVB.NETへの移行が順調に進んでいないためか、.NETのエンジニアが不足しているという背景もあり、市場ではVB経験者をVB.NETにコンバートさせたいというニーズがあるようだ。
ただし、中島氏は「コンバートだけがVBエンジニアの目指す道ではない」とも指摘する。VBの開発案件に参画し、コミュニケーションスキルを磨き、プログラマからSE、そしてプロジェクトリーダー/プロジェクトマネージャへとキャリアを積む道もある。いずれにしてもVBエンジニアは、現状のスキルを維持するだけでは市場価値は下がる方向にある。VBのスキルをベースにVB.NETにコンバートしていくか、Javaなどの他言語にスキルチェンジしていくか、あるいはプロジェクトリーダー/マネージャへのキャリアを目指すのか……。それらの選択を迫られているのだ。
■ 制御系C/C++エンジニアの市場価値は高まる
厳しい状況にあるVBエンジニアに対し、C/C++のプログラマへのニーズは非常に高い。その背景にあるのは、デジタル家電・情報家電の好調さである。各社ともに多機能で低価格な新製品を短いサイクルで次々に市場投入していることから、短期間でより複雑なソフトウェアの開発が求められている。
そこで必要とされるのがC/C++のプログラマだ。「C/C++のプログラマは制御系と業務系に大別されるが、制御系の開発が未経験でも、業務系などでC/C++の開発経験があればすぐにでも採用したいというニーズが非常に高い」(中島氏)という。しかも、この傾向は当面は続くと見られている。ただし、安定的なニーズがあるからといってC/C++のエンジニアが現状のスキルに安住し、とどまっていてはいけない。
松下エクセルスタッフ 顧問 瀧川秀三氏 |
現在は松下エクセルスタッフの顧問で、もともと松下電器産業で設計開発の責任者の立場にあった瀧川秀三氏によれば、「今後、求められるのはアーキテクト型の人材」という。「アーキテクトとは大工の棟梁のようなもの。技術の積み上げが重要で現場をすべて知らなければならない」と指摘する。しかし、すべてを知ったからといってアーキテクトになれるものでもない。
「ソフトウェア開発はハードウェアと一体となったときに、そこにノウハウが生まれる。ソフトウェア開発の現場を知り、C/C++といった言語だけでなくハードウェアのことを熟知する。このプラスアルファの努力、センスがアーキテクトへの道を開く」(瀧川氏)のだ。
デジタル家電のソフトウェア開発というとTRONなどのリアルタイムOSの知識が不可欠と考えられがちで、そのため「TRONの知識がないから」とC/C++のエンジニアから敬遠される傾向があった。デジタル家電の開発は各社ともにノウハウの集積であるため、独自の開発環境が構築されている。リアルタイムOSの知識がなくても、C/C++での開発経験があれば、「各社独自の開発環境の中で業務を通じてITエンジニアとして育ててもらえるケースが多い」(中島氏)ようだ。
■未経験分野を経験することの重要性
一方、安定的に市場価値を維持できると考えられてきたJavaのエンジニアも大きな変化の時期を迎えている。中島氏は「開発手法の変化に目を向けてほしい」と呼びかける。「プログラマであってもコードを書いて作り上げていくのが好きというエンジニアは要注意。今後はフレームワークでの開発が主流となりコーディングなど純粋に『作る』業務は少なくなる。上流工程を目指す必要がでてくる」。Javaのエンジニアでは特に自分を差別化を図るためにも上流へのシフトが重要となっているのだ。
さらに、Javaエンジニアの場合、現在案件が増えている.NETなどのシステムも手掛けられれば、スキルの幅が広がるだけではなく、活躍のチャンスも広がる。
ここまで、スキル別のITエンジニアの市場動向と今後のキャリアアップの方向性を探ってみた。中島氏のアドバイスを総括すると、現状にとどまることの危険性が指摘され、スキルのコンバートや上流志向でキャリアアップを図ることの重要性が示された。ただし、多くのITエンジニアたちは、その方法に悩むのである。読者調査の結果が示すように、現在の職場ではスキルのコンバートも上流工程へのステップアップも図れず、「現状維持が精いっぱい」なのである。
そこで1つ提案をしたい。それが、契約社員やフリーエンジニア、さらには派遣という就業スタイルである。中島氏によれば「VB.NETが未経験でも、制御系のC/C++の開発経験がなくても紹介できる案件は多い」という。つまり、未経験分野を経験できるのである。しかも、そういった案件では、現場を経験させながらITエンジニアを育てるというスタイルが多い。
松下エクセルスタッフのように松下電器をはじめとする多くのメーカーと強いパイプを持っている人材サービス企業を利用すれば、メーカーの開発動向を踏まえながら、今後どのようなスキルを持ったITエンジニアへのニーズが高まるかといった情報も入手でき、最新の開発現場をいち早く経験できる可能性もある。
■より自由に、キャリアパスも浮かび上がるスタイル
社員という立場では、自分がこうしたい、このスキルを伸ばしたい、と思っても、会社の状況、受注するプロジェクトの業務が中心となり、いつまでたっても自分の望むスキルが伸ばせないと感じるITエンジニアは多い。契約社員、フリーエンジニア、派遣という就業形態であれば、個人のスキルアップやこの先のキャリアを考えつつ、自分にとって最適な案件を選ぶことができる。そうしてスキルやキャリアを構築したうえで、さらに違う就業形態で(正社員を含め)働き、次のキャリアパスにつなげることもできるのだ。
ITエンジニアとしての「現状を打破し」、スキルのコンバートやキャリアアップを図る1つの選択肢として派遣というスタイルは魅力的である。なお、松下エクセルスタッフテクニカル事業グループ東京チームでは、毎週平日夜間と土曜日に登録会を開催している。興味のあるITエンジニアの方は参加してみてはいかがだろうか。より詳細なアドバイスを受けられるだろう。
派遣でVBからのスキルコンバートに成功 | ||
派遣という就業スタイルを選択して、いままさにスキルコンバートとキャリアアップを実現しつつあるITエンジニアがいる。松下エクセルスタッフを利用して2004年末からSIで派遣社員として働いている藤井氏(男性・25歳)だ。
藤井氏は、もともと大手SIで約2年間、VBエンジニアとして勤務していたキャリアを持つ。当時、主に使用していたのはVB 6.0。POS端末のプログラムの開発で、VB 6.0のほかにVisual C++やデータベースのInterBaseを利用し、SQLも学んだ。正社員としてさまざまな経験を積んだように思えるが、「VBだけではなく、VB.NETやC、Javaなども経験したいという欲求は常にありました。ITエンジニアとして、若いうちに幅を広げたいと考えていたのです」という。 仕事以外の時間を利用して自分で勉強してスキルを磨き、転職する……。ITエンジニアとしての幅を広げるために、さまざまな選択肢がある中で藤井さんは「派遣」を選んだ。「自分で勉強するだけでは現場を経験できない。転職して正社員となると自分が望む仕事を担当できるか分からない。また、たった2年の経験では、ITエンジニアとして他社に正社員で通用するとは思えなかったというのもあります。そこで派遣を選びました」 藤井氏は現在、VB.NETで製鉄会社の在庫管理システムを構築するプロジェクトに携わっている。もちろん、プロジェクトに携わるまで、VB.NETは未経験だった。VBから未経験のVB.NETへのコンバートを派遣というスタイルで実現したのである。 そんな藤井氏の当面の目標は「VB.NETを極める(笑)」。さらにCでの開発も経験したいと語る。「プログラムに精通するには、やはりCが基本になると思います。それをマスターしてプログラムを極めたいのです。派遣であれば次はCをやりたいと職場を選択することもできますよね。『自分が本当にやりたい仕事を徹底的にやれる』ことが大きな魅力なのです」 ところで藤井氏は、いまの職場で働き始めてから昼食を食べないようにした。別にお金がないわけでも、ダイエットをするためでもない。「時間がもったいないからです。お昼休みもずっと仕事や勉強にあてています。始業から定時までの時間を徹底的に活用したい」。この強い気持ちが藤井氏のスキルアップやキャリアアップを成功に導いていくのだろう。 |
技術別スキル予報とは? |
松下エクセルスタッフが運営するEngineer-style.jpのWebサイトでは、今回登場した松下エクセルの中島氏や瀧川氏が監修する「技術別スキル予報」コーナーがある。ソフトウェア・ハードウェアそれぞれの技術が今後どうなりそうかの予報を3カ月ごと天気予報スタイルで解説をしている。 |
松下エクセルスタッフ
企画:アイティメディア営業局
制作:@IT編集部
掲載内容有効期限:2005年3月14日
会社概要 |
会社名 松下エクセルスタッフ株式会社 本社所在地 大阪市中央区城見2丁目1番61号(TWIN21MIDタワー2階) 支店所在地 大阪、神戸、京都、東京、横浜、名古屋、静岡、福岡、ほか 設立年月日 1989年3月14日 代表者 代表取締役社長 倉繁俊逸 従業員数 300名 登録者数 約8万人(うち技術者1万2000人) 資本金 9000万円(全額松下電器産業株式会社出資) 売上高 178億円(平成16年3月期実績) 143億円(平成15年3月期実績) 118億円(平成14年3月期実績) 事業内容 労働者派遣法に基づく一般人材派遣事業 職業安定法に基づく有料職業紹介事業 そのほか 人材派遣職種 ソフトウェア開発(制御系・オープン系・WEB系・汎用系) ネットワーク/インフラ構築・運用、ヘルプデスク ITコンサルティング、システム営業 回路・LSI設計・ファームウェア開発 機械・機構・メカトロ・制御設計、CADオペレーター(2D/3D) 生産技術・解析・実験・評価・分析 そのほか 福利厚生 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険適用 有給休暇制度、健康診断、研修制度あり |
応募方法(登録手順) |
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