「評価基準や給与体系が不明確」「自分のやりたい分野に挑戦できない」――エンジニアの持つこうした悩みを解決する「正社員エンジニア派遣」という制度を開始したインテリジェンス。「IT業界の構造を変え、能力と資質を兼ね備えたエンジニアにチャンスを与える」という。正社員の安定性とフリーや派遣エンジニアの自主性の両方を享受し、自らキャリアプランを描けるこの制度はどのようなものか。 |
■適正な評価が得られず、悩むエンジニアたち
@IT自分戦略研究所が2005年春に行った読者調査によると、エンジニアが「現在の仕事/職場に感じている不満」のうち、最も回答数が多かった項目は「給与/年収が低い」。「公平な能力評価による給与体系がない」「能力適性を生かした仕事ができない」との回答も目立つ(図1)。
図1 2005年実施の@IT自分戦略研究所読者調査による、エンジニアが現在の仕事/職場に感じている不満 |
給与体系については各社で評価基準や規定があるので、単純に比較はできないが、問題は能力や仕事内容に見合った報酬が得られるかどうかだろう。例えば、フリーのJavaエンジニアの1カ月当たりの契約金額は平均で「62万円強」(MCEAのデータによる)。こうした市場評価と、自分が属している企業の評価基準が一致しているわけではない。
自分の市場価値を上げようと努力を重ねても、なかなか思うような仕事や職種に就けず、不満を抱えることもあるだろう。ネットワーク技術者になりたいが、実際に担当しているのはアプリケーション開発だったり、Javaエンジニアを目指しているが、抱えている案件はメインフレームの保守・運用だったりと、会社の仕事と目指す方向に深い隔たりがあることもある。
2次請け、3次請けのシステムインテグレータ(SIer)の場合、要件定義やシステム設計など上流の部分は元請けのエンジニアが担当し、回されるのはコーディングばかりといったケースも多い。いかに高い能力があろうと、業界の構造から仕事内容に制約が生じることがあるのは確かだ。
「高い能力、向上心を持ち合わせていながら、所属企業の業界での位置付けが制約条件となり、なかなか機会を与えられないエンジニアが多い。この状況を打破するために、今年4月からインテリジェンスはIT技術者向けの『正社員エンジニア派遣』という新しい就業形態を提唱しています」と語るのは、インテリジェンス ITPサービス統括部 HRグループ アシスタントマネジャー 佐久間高広氏だ。エンジニアの能力を正しく査定し、透明な給与体系を設け、キャリアアップ、スキルアップにつながるさまざまな案件をエンジニア自身が選べるようにする。この「正社員エンジニア派遣」という制度について、詳しく見ていこう。
■フリーの自主性と正社員の安定性
企業は企業の論理で動くため、エンジニア個々人のキャリアアップやスキルアップ、適正な評価にはきめ細かく対応できない。こうした不満を抱えて転職する、あるいはフリーや派遣という形態に活路を見いだすエンジニアもいる。
だがフリーや派遣エンジニアの場合、身分や収入の保障がないというのが最大のネックだ。収入にバラつきがある、望む仕事をなかなか得られないという悩みもあるだろう。
インテリジェンス ITPサービス統括部 HRグループ アシスタントマネジャー 佐久間高広氏 |
インテリジェンスの正社員エンジニア派遣は、フリーや派遣のこうしたデメリットを解消し、自分で仕事や方向性を選べるというメリットを最大化した制度だ。インテリジェンスの正社員として採用され、同社が持つさまざまなプロジェクトの中から、自分のやりたい案件を自由に選び、参加することができる。正社員なので、プロジェクトに参加していないときにも給与(基本給)が支給されるほか、年2回の賞与も出る。もちろん社会保険にも加入する。
「報酬は一貫して市場評価に基づいて決定されます。具体的には、当社の顧客企業に対する請求単価を基準に基本給=年収を決定し、年2回改定を行います。また配属プロジェクトでの個人の売り上げが一定以上に達していれば、その利益額に業績給係数を掛け合わせた額を業績給として支給します。プロジェクトに所属していなくても基本年収は支給されるので、じっくり自分のやりたい仕事を選べるのが最大のメリットです」(佐久間氏)
基本給は、以前に所属していた会社の年収や、本人の希望額もヒアリングしたうえで、市場評価に基づいて算出される。個人の努力によっては今後大幅に年収がアップする可能性もある。それも自分の目指す仕事をしながらだ。向上心はあるがフリーや派遣にちゅうちょするエンジニアにとって、願ってもない制度といえるだろう。
■スキル/キャリアアップを支援する教育制度
インテリジェンスでは、エンジニアが仕事に対して抱いている問題点を5つ挙げ、これらを解決できるように正社員エンジニア派遣制度を構築している。
(1)キャリアアップの機会が得られない
(2)社内に目標とする人物がいない
(3)納得のいく報酬制度がない
(4)教育体制がしっかりしていない
(5)多種多様な働き方を認められない
これらの問題点のうち、エンジニアのキャリアと密接に関連する(1)と(4)について詳しく見てみよう。
(1)キャリアアップの機会が得られないという問題について。「当社には常にありとあらゆるプロジェクト、技術、職種についての派遣問い合わせがきています。一般の派遣エンジニアの方や外部に公開している案件が大半ですが、中には『社内用案件』として外部公開していないものもあります。正社員エンジニア派遣では、公開案件/社内用案件の両方から、自分のキャリアを実現するための仕事やプロジェクトを選択できます」(佐久間氏)
その「仕事の選択」だが、佐久間氏は「一時の思い込みだけで決めず、得たい報酬や方向性をじっくり検討してほしい」とくぎを刺す。インテリジェンスでは正社員エンジニアに対し、本人の能力や実績を考えたうえで、本当に力を付けるための案件の選び方もサポートしているそうだ。
佐久間氏は「キャリア構築で最も大事にしているのは個人のライフプランです」という。3年後はどこで何をしていたいか、何歳までに何をやり遂げたいかといったことだ。「ライフプランを意識して根本的なところから目標設定を行えば、いま経験しておくべき案件も決まってきます。場合によってはライフプランづくりからサポートします。『人材マネジメント企業』だからこそできることです」(佐久間氏)
報酬にしても、必ずしも本人の希望額が支給されないケースも考えられる。その場合、一般的な市場価値からすると本人に何が足りないのか、そこを満たすためにはどういうスキルや実績を身に付ければよいかを指導する。
(4)教育体制がしっかりしていないという問題に関しては、正社員エンジニアの有料セミナーや講座の受講は基本的にインテリジェンスがサポート。資格試験についても「合格した試験に関しては、試験に掛かった諸費用を負担します」(佐久間氏)という。個人のキャリアプランに沿っており、最終的な目標を達成するためのものであれば種類は問わないそうだ。中小企業診断士試験の勉強をしているエンジニアもいるという。
プロジェクトに所属していないときには、こうした勉強にいそしんでいてもいい。その間の給与や諸費用は保障されている。
一般に、教育熱心といわれる大手SIerで社員の教育に掛ける費用は全売り上げの3%程度、大半は1%未満だという。インテリジェンスでは、この「全売り上げの3%」に相当する費用を正社員エンジニアの教育に割くそうだ。勉強する時間や費用に悩むエンジニアにとって、非常に大きな魅力といえる。
■正社員エンジニア派遣がIT業界の構図を変える
現在の仕事や職場に不満を持つエンジニアにとって願ったりかなったりの新しい就業体制、正社員エンジニア派遣。この正社員エンジニアとして採用されるポイントは何か。佐久間氏は次のように語る。
「われわれがこの制度を始めたのは、能力や資質、向上心を十分に備えているのに、業界の構図の中で埋もれているエンジニアを支援したいと考えたからです。それが最終的には業界の発展にもつながる。ですから採用するかどうかは、共に業界を変えようという確固たる意思があるかどうか、一緒に新しい構造をつくっていける人物であるかどうかに懸かっています」
現在、正社員エンジニアとして採用されている1人であるITPサービス統括部 アプリケーションスペシャリスト 藤井哲也氏は、本制度が始まる前にインテリジェンスからスカウトされた人物だ。
インテリジェンス ITPサービス統括部 アプリケーションスペシャリスト 藤井哲也氏 |
もともと受託開発系のSIerに勤めていた藤井氏は、自分で仕事を選べないことに対する不満や、経験のない分野に挑戦したいという思いを抱えていた。開発だけでなくコンサルティングのスキルも伸ばしたいと考えていたところ、自分で仕事やキャリアを構築できる正社員エンジニア派遣の制度を聞き、「これだ! と思いました」(藤井氏)
さっそく面接を申し込み、通常の採用担当者による1次面接、営業担当者による2次面接、最終の役員面接を通過。「仕事を選び、キャリアの道筋をつくれるという環境、いろいろな経験をしながら自分の道を模索できるという新しい就業体制に引かれて」(藤井氏)、正社員エンジニアの3期生となった。1週間のビジネス研修を受けた後、実際にプロジェクトを選ぶ段階に入ったという。
参加するプロジェクトを選ぶときにも、専任のキャリアコンサルタントに相談し、多くの案件の中から自分の目標設定に沿って決定。キャリアプランを基にして決めた案件だからこそ活躍できる可能性も高まるし、それが発注企業の満足度や信頼にもつながる。
「まだ始まったばかりの制度であり、私たち正社員エンジニアが制度をつくっていくパイオニアです。私自身、この制度のうちでやりたいことや、『こうだったらいいのに』という希望がある。そのうえでIT業界の構造を変え、正社員エンジニア派遣という制度が業界的に確立できるように、体制を整えていきたいし、自分の働き方も模索していきたいと考えています。同じようなパイオニア精神にあふれる方と一緒に、制度をつくりながらキャリアアップを図っていきたいと思います」(藤井氏)
現在勤務中の方で、今後どうするかまだ未定の方でも参加はご自由です。 勤務中のエンジニアの話を聞くことで、今後のキャリアビジョンの参考にしていただけます。 ■ 2005年11月 2日(水) 20:00〜 ■ 2005年11月 5日(土) 14:00〜 ■ 2005年11月 9日(水) 20:00〜 ■ 2005年11月12日(土) 14:00〜 ■会場 |
インテリジェンス
企画:アイティメディア
営業局
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2005年10月12日
会社情報 |
■会社名 株式会社インテリジェンス ■本社所在地 東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング 27F・28F ■エンジニア派遣サービス 新宿支社 東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビル 51F TEL:03-5322-6321 ■代表取締役 鎌田 和彦 ■設立年月日 1989年6月15日 ■資本金 2,041百万円 (単体) ※2005年7月末現在 ■事業内容 人材紹介サービス エグゼクティブサーチサービス ファッション業界専門人材紹介サービス 再就職支援サービス 人材派遣サービス エンジニア派遣サービス 製造派遣サービス/製造請負サービス テクニカルアウトソーシングサービス 「OPPO」サービス 組織・人事コンサルティングサービス |
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