「開発の全体像を把握して働きたい」「人の役に立っているという実感を得たい」と考えるITエンジニアは多い。その希望を満たす方法の1つが、「自社サービスを作り上げ、世に問うこと」だ。不動産情報ポータルサイト「HOME'S」などを運営するネクストは、「住まいと暮らしのワンストップサービス」を目指して大きな成長を遂げている。ネクストでITエンジニアとして働くことの喜びとやりがいを探った。 |
■技術力で「業界ナンバーワン」を目指す
住宅・不動産情報ポータルサイト「HOME'S」を企画、運営するネクスト。1997年設立という若い会社ながら、基幹事業の「HOME'S」はいまや日本を代表する総合不動産サイトに成長している。
「いろいろな尺度があるので一概にナンバーワンとはいえないのですが……」。同社 取締役執行役員 HOME'S事業本部長 森野竜馬氏は控えめに切り出しつつも「掲載物件数やユニークユーザー数、ページビュー、掲載不動産店舗数などで最大級であろうと思っています」と胸を張る。
ネクスト 取締役執行役員 HOME'S事業本部長 森野竜馬氏 |
「雑誌からスタートしている不動産サイトが多い中、弊社は最初からインターネットと不動産に特化して成長してきました。だからこそ、サイトの見やすさや検索のしやすさ、情報を網羅したデータベースといった技術力にこだわってきましたし、これからもこだわり続けたい。技術的にもナンバーワンでありたい。“内製”を貫くのもそのためです」(森野氏)
技術的に業界ナンバーワンでありたいというネクストにとって、ITエンジニアは会社の成長を支える原動力ともいえる存在だ。ネクストで自社サービスの開発に携わる魅力を森野氏はこう語る。「実際に世の中に出るサービスを作れ、リリース後の改良も自分の手でできる。これが弊社の開発の醍醐味(だいごみ)ではないでしょうか。単純にいわれたことをやるのではなく、世の中の人の幸せにどうつながるかを考え、サービスを使うユーザーの皆さまが幸せな顔をしているシーンを思い浮かべながら作っていける。それが弊社でものづくりをしていく楽しさ、喜びだと思います」
加えて「飛行機でいえば、ジャンボジェット機の翼や胴体といった部品の一部のみに携わるのではなく、セスナ機を1人で全部作り上げることが可能です」(森野氏)。この点もITエンジニアにとって大きな魅力ではないかという。
「HOME'S」は賃貸、不動産投資、新築分譲マンションなど、マーケットごとにセグメントされた複数のサイトで構成されている。それぞれシステムが異なるため、1つのサイトを1つの開発チームが担当する。それぞれのチームにはITエンジニアだけでなく、プランナー、ディレクターといった企画スタッフや営業スタッフがいて、いわば小さな会社のような構成だという。「すぐ横で営業やプランナーが仕事をしているので、ITエンジニアも気軽にプランを提案することができます。ITエンジニアという枠を超えていろいろなことができるのも、面白い点ではないでしょうか」(森野氏)
図1 「HOME'S」各サイトの開発体制 |
■受託開発とは異なる、自社開発の魅力
2007年に転職し、現在「HOME'S不動産投資」サイトの開発グループ長を務める安藤寛之氏。かつては通信キャリア大手の資本が入った元請けのシステム開発(SI)企業で、主に携帯や電子マネーに関するサービスの開発を手がけていたが、何をするにつけてもその「遅さ」が気になっていたという。
ネクスト HOME'S事業本部 賃貸・流通事業部 投資ユニット 開発グループ システムエンジニア 安藤寛之氏 |
「この世界、一番重要なのがスピードだと思うんですね。ところがクライアントとSI企業の関係だと、ちょっとした改修や機能追加でも、見積もりを必要とする場面が多いわけです。クライアントが『こんなサービスをやりたい』と企画してから実際にリリースするまでに、ものすごいタイムラグがある。これは非常にもったいないと常に感じていました。クライアントにとってもサービスを利用するユーザーにとっても、決して幸せなことではないと」(安藤氏)
さほど工数のかからない開発案件でも、必ず見積もりからスタートしなければならないSI企業ならではの壁。そのことに違和感を抱いていた安藤氏は、最初から最後まで自分で手がけることができる環境へ転職したいと思い始めたという。
「開発だけでなく運用も好きだったので、作ったら終わりではなく、その後の運用も障害対応もできる環境を希望しました。それに企画段階、ゼロの状態からかかわりたいとも考えていました。SI企業だと運用にかかわることはできても、サービス内容はまずクライアントが決める部分ですから」(安藤氏)
そこで安藤氏は、自社サービスを持っており、自社で開発・運用している企業を中心に転職先を探した。「自社でサービスを行ってはいるけれど、開発も運用も外注任せというところも多いんです」という。業界は問わず数社の面接を受け、最終的に決めたのがネクストだった。
ネクストに入ってからは毎日が充実しているという安藤氏。実際に入社してみての違いをこう語る。「一番の違いは、3年後のサイトをどうするか考えられることです。SI企業でITエンジニアをしていると、何年後にどういう言語やフレームワークが使われているかという技術的な面は分かっても、自分の作ったサイトがどうなっているかは見えづらい。そのときの開発チームに自分はいないかもしれないし、開発自体が別の会社に移っているかもしれない。長いスパンで見ることができません。
でも、いまは自分が開発しているサイトが何年後にどうなっているかが明確に見えています。それに向かって今年はどうしよう、来年はこうしたいという目標も立てられるし、考えられる。これが楽しいですし、何よりやりがいにもつながっています」
■自分から意欲的に動く人間であれば、高いスキルが身に付く
前述のように、安藤氏は現在「HOME'S不動産投資」サイトの開発を担当している。森野氏の言葉を借りれば、「セスナ機」を丸ごと作り上げていることになる。「アイデア出しの段階から参加しました。プランナーが企画の詳細を詰め、開発チームがアーキテクト的な観点でシステムを設計します」(安藤氏)。今後は、さらに企画よりの仕事をしたいと語る。「もちろんITエンジニアとしてです。ビジネスやサービスを考えながら開発を行うというのは、自社サービスの開発でしかできないことですから」(安藤氏)
ネクストのITエンジニアが自分の考えを提案できるのは、普段の仕事の場ばかりではない。社内コンペで新規事業の提案をしたり、社内の研究所に技術提案をしたりなど、日々思っていることをいえる機会、環境がある。「作ることもできるし、何を作りたいかという提案もできる。こういうことをやりたいといえばやらせてくれるので、自分で動ける人であれば高いスキルが身に付けられる会社だと思います。サービス展開もスピーディですし、風通しもいいですね」(安藤氏)
「開発の全体像を把握して働きたい」と考えるITエンジニアは少なくない。安藤氏はそういう人こそネクストに向いているという。「受託開発のITエンジニアとクライアントの間には、どうしても壁があると思います。ネクストでの自社開発なら、数年先の目標も共有できる。開発に新しい技術を取り入れることも多く、やりたいことも尊重してもらえるので、やりがいを持って楽しく働ける職場だと思います」(安藤氏)
■企業理念の根底は「利他主義」
ネクストでは「HOME'S」に加え、新たに地域コミュニティサイト「Lococom」の運営をスタートしている。「住まいを核に、『働く』『学ぶ』『医療』など、暮らしに関する周辺情報を『住まいと暮らしのワンストップサービス』としてユーザーの皆さまにお届けしたいと考えています」と森野氏は説明する。「弊社では、『もうかるからこの分野に進出しよう』という考えで事業を立ち上げているのではありません。青臭いようですが、世の中の人の安心、喜びにつながっているかという点にこだわって事業を選別しています。住まいを探すとき、その地域の情報、学校や病院などの生活関連情報を知ることができればより安心ですよね。そういう観点でLococomもスタートしています」(森野氏)
こうしたネクストのチャレンジの根底にあるのは「『利他主義』。ユーザー、お客さま主義といい換えられるでしょうか。これからも、世の中のより多くの人が安心して暮らせるような仕組みをつくっていきたいと思います」(森野氏)
この「利他主義」は、同社 代表取締役社長 井上高志氏が企業を志したときの経験に由来する。マンションディベロッパーの営業だった井上氏は、新人時代、ある顧客のために、仲介手数料の得られない他社物件まで紹介するなどして尽力。上司からの激しい叱責と引き換えに顧客の満面の笑顔を得た井上氏は、「住まい探しを通して多くの人の役に立ちたい」と起業を決意。「住宅のすべての情報を1つのデータベースに格納し、ユーザーと不動産会社の情報の非対称性をなくそう」と立ち上げたのがネクストなのだ。
井上氏は「情に厚い」と森野氏は評する。「社員は家族という意識なのです。家族なら、ちょっと能力が足りないからといって簡単に縁を切ることはありません。欠点も家族だからこそ真剣にしかる。社内を見ても、単純に実力主義で自分だけがもうかればいいという風潮はありません」(森野氏)
■毎週金曜日の「クリエイターの日」でさらにスキルを磨く
ネクストの社員への思いは、「日本一働きたい会社」を目指した取り組みにも現われている。その1つがITエンジニアなどを対象に設けられた「クリエイターの日」だ。「業界内で技術的優位を保つために、毎週金曜日の1日、業務と直接関係のない勉強・研さんの時間を設けています。ニッチな分野で成長している弊社にとって、ITエンジニアは大きな財産。より成長してもらうためにも欠かせない制度だと思っています」(森野氏)
安藤氏は、「クリエイターの日」をどのように活用しているのだろうか。「関心のある分野や新しい言語を勉強する時間に当てています。僕はアプリケーションエンジニアですが、だからといってインフラを知らないというのでは通用しません。クリエイターの日を使って、サーバ構築やネットワークなどインフラの勉強をしています。そのほか、業務では直接使用しませんが、Pythonを学んで役立てています」(安藤氏)
ITエンジニアとして第一線にい続けるために、学習は欠かせない。同様の主旨の制度を掲げる企業はほかにもあるが、有名無実となっているところもある。安藤氏の転職前の企業にもあったそうだが、「いつもスケジュールに追われていて、実際には取れませんでした。ネクストでは基本的には『クリエイターの日』が優先されます。もちろん状況に応じますが、障害の発生などがない限り、きちんと勉強時間が確保できています」という。忙しいITエンジニアにとって、こうした時間が約束されているのは「相当魅力」(安藤氏)だ。
企業の真の良さは、働く社員を見れば分かるといわれる。ネクストで働くITエンジニアの生き生きとした明るい表情を見れば、同社が掲げる「みんなを幸せにしたい」という思いが決して言葉だけのものではないことが分かるに違いない。
提供:株式会社ネクスト
企画:アイティメディア営業本部
制作:@IT自分戦略研究所編集部
掲載内容有効期限:2008年5月12日
会社概要 |
■会社名 株式会社ネクスト NEXT Co.,Ltd. ■本社所在地 〒104-6215 東京都中央区晴海1-8-12 晴海アイランドトリトンスクエア オフィスタワーZ棟 15階 ■代表執行役社長 井上 高志 ■設立 1997年3月12日 ■資本金 1,981百万円(2007年10月30日時点) ■従業員数 403人(2007年12月31日現在、グループ連結、派遣・アルバイト社員含む) ■事業内容 【住宅・不動産ポータル事業】 日本最大級の住宅・不動産情報ポータルサイト「HOME'S」の企画・運営 新築分譲マンションポータルサイト「HOME'S新築分譲マンション」の企画・運営 新築分譲マンションポータルサイト「イースマイドットコム」の企画・運営 新築分譲戸建住宅ポータルサイト「HOME'S新築一戸建て」の企画・運営 不動産投資ポータルサイト「HOME'S不動産投資」の企画・運営 不動産オークションサイト「HOME'Sオークション」の企画・運営 【広告代理事業】 Web広告プロモーション、バナー広告の企画提案 【その他事業】 「HOME'S CARD 家賃サービス」の企画・運営 「HOME'S マイルーム保険」の企画・運営 「HOME'S保険生活」の企画・運営 「HOME'S引越し見積り」の企画・運営 地域コミュニティサイト「Lococom」の企画・運営 ■支店 大阪支店 〒530-0002 大阪市北区曽根崎新地2-1-23 JPR堂島ビル7階 代表電話 06-6440-1777 福岡支店 〒810-0004 福岡市中央区渡辺通4-9-18 福酒ビル4階 代表電話 092-738-3588 |
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