近年、ダイバーシティーという働き方が多方面で話題に上るようになった。少子化問題による労働力の低下、グローバル化による企業力一層の強化には、いままで以上に自律した人材が必要で、企業も人材の可能性を広げる雇用の場を掲げている。さらに雇用の機会を広げる動きの1つとして、障害者基本法に基づき2008年度を初年度とする「重点施策実施5カ年計画」が策定された。多様性に対応した雇用や働き方があるように、障がいの有無も含め個別に対応することで、人それぞれが自分のキャリア構築を考えられるようになる。そうした環境と意識の基に、企業はいま、エンジニアを求めている。 |
障がいへの配慮を充実。働き方で区別はしない
ソニーは、創業者である井深大氏と盛田昭夫氏の時代からグローバル化を視野に入れた製品開発や商品展開を行ってきた。それ故、企業風土として個性豊かな人材が多く集まっている。世界で通用する強い企業には環境や意識にも垣根のない人材が必要だ。それは障がい者の採用方法や労働環境にも当てはまる。
ソニー 人事部門の森慎吾氏は、ソニーらしい雇用についてこう語る。
「『自律を目指すさまざまな障がいのある方々へ、障がいを感じない、感じさせない、生き生きとした環境を提供する』ことがソニーの基本的な考えです。環境作りには企業トップの深い理解が重要です。その点ソニーは、創業者である井深、盛田の考えがきちんと引き継がれています。今年は井深が設立した特例子会社「ソニー・太陽」の設立30周年の年です。本年度より、同社が30年をかけて培ってきた障がい者雇用のノウハウや知識を、グループ全体に本格展開しています」
ソニー・太陽は、特例子会社として障がい者を多数雇用しているが、会社全体として“障がい者”という意識をなくすことを徹底して考えてきた。そして、どうすれば障がいのある人が活躍でき、優れたものを作っていくことが出来るのかも徹底的に議論してきた。その結果、同社は、障がいの程度やそれによって起こり得る問題の解決に多くの経験を持つようになった。
問題は健常者と障がい者の意識の持ちようなのだ。障がい者と直接一緒に仕事をした経験がある人は少なく、どのような接し方をすればよいのかなかなか分からない。また、外部疾患や内部疾患、先天性、後天性など障がいのタイプはさまざまで、ひとくくりに「こうすることが良い」という対応はない。
一方、「障がい者は特別ではない」ということを強調しすぎると、障がい者に何もしなくていいという錯覚に陥る危険性がある。障がい者という意識を持たなくてよい環境を作るため、障がいについて個別に必要な配慮を検討し、それ以外の部分をフラットにすることが重要である。またそれを継続させる仕組みや施策が大切になってくる。障がいのある人への良き認知を深める仕組みを作り、障がいの有無に関わらず優秀な人材を集めることができれば、その企業は力強く成長していくだろう。
もちろんソニーでは、必要なサポートは個別に対応する体制を整えている。例えば、PC画面が点字で表記されるシステムや、通勤で業務に影響が出ないように車通勤を認めるような配慮、バリアフリーの施設や寮の提供などがそれにあたる。
また、同社では採用に際し、障がいの有無を問わず、フラットな目線で本人の持っている能力をしっかり確認することを重視している。知識だけに依存した能力ではなく、1対1のコミュニケーションを通じて、自分をしっかりアピールできる人材、問題解決ができる人材、自己成長ができる人材、チャレンジ意欲のある人材など、障がいの有無に関わらず、同じ基準で採用し、個人に合わせた配慮の元で自分の未来を切り拓いていけるフィールドがある。
「何が出来るのか」ではなく、「何をやりたいのか」の問いで可能性を広げる
富士通の障がい者雇用も特徴がある。メーカー系だが障がい者の特例子会社を持っていない、国内で数少ない企業だ。健常者と同じ土壌で仕事をし、キャリアを築きたいと思っている人を強く希望している。以前は地方の工場を対象としたライン業務や、サポート業務での採用が多かったが、現在では、ものづくりを支える開発職やシステムエンジニア、ソリューション営業など、最前線での採用が中心となっている。
橋元真実子氏
「富士通では『育成と対話』を大切にしています。選考過程で深く話をし、その人がやりたいことを実現するために必要なサポートをします」と、人事部 人材採用センターの橋元真実子氏はいう。
富士通では、採用時にエンジニアの経験やスキルだけを問うわけではないというスタンスを貫く。経験豊富な人には、総合ITベンダならではの幅広く活躍できるフィールドを用意している一方で、経験やスキルが少ない人には、スキルを身に付けられるだけの環境を用意する。経験やスキルも重要だが、それよりも本人が「何をやりたいのか」という部分を重視しているからだ。もちろん面接を受けに来た人が全員明確なビジョンを持ってやりたいことをはっきりいうわけではない。「『対話』によって障がい者自身が自ら気付き、変わるきっかけになれば」と橋元氏は話す。
選考過程では、何をやりたいのかを深堀りしていく。すると、「障がいがあるから自分にはこれしか出来ないのではないか」と自らの可能性を狭めているケースが多いと橋元氏はいう。そのような場合は、「一緒にやりたいことを見つけていこう」と、富士通での可能性やビジョンを語る。その結果、「何かを自分で見つけて頑張ってみよう」と思い直す人が多いという。
対話によってやりたいことを見つけ、その後に障がいで必要なサポートを話し合い、やりたいことに向かうための職場を検討する。施設が整備されていないから採用しないという姿勢ではなく、必要な改良はその時々に合わせて行っていけばいい。すべての従業員が持てる能力を遺憾なく発揮でき、多様な人がともに働くことができる環境を目指す。富士通は一歩一歩確実に前進している。
育成面では、例えば、聴覚障がい者を受け入れる部署などを対象としたPCによる要約筆記講座を実施している。会議の場であえてプロの筆談通訳を雇わず、職場や社員同士、お互いに支えあうことで、障がい者を必要以上に特別視せず、同じ仲間として受け入れる社員の意識醸成に繋げようとしている。
障がい者が企業面談で最初にいわれることの多くは「どんな障がいがあるのか」、つまり「何が出来るか」だというが、そんな質問では「出来る枠」をあらかじめ作ってしまうことになる。富士通では、最初に何をやりたいのかを問うことで人材の可能性を広げるよう配慮している。ずっと同じ部署にとどまることなく、キャリア形成を自分で築けるよう、今後はさらに障がい者採用の職域や職場を広げていく考えだ。
キャリアは十人十色。だから、1人1人に合ったサポートをします
「自己実現のための手段として会社を選んでほしい」とトレンドマイクロ 人事部の大久保修一氏は、強く語る。トレンドマイクロは、ネットワークセキュリティソフトの開発・販売におけるリーディングカンパニー。ソフトウェア企業は、「目に見えないモノ」を製品やサービスとして提供している。それを生み出すのは社員1人1人の頭脳であり、創造力であり、技術にかかっている。
1日約7時間を週5日間。人生の中で、仕事をしている時間はどれほどの割合を占めるだろうか。われわれは、人生が幸せと感じるか、そうでないと感じるかにも影響するほどの時間を仕事に費やしている。だからこそ仕事をより愉しいものにしていこうじゃないか。トレンドマイクロは仕事を「愉しむ」ことをとても大切にしている。
大久保氏は、「『愉しい』というのは『楽(らく)』をすることではありません」と述べる。さまざまな壁にぶつかりつつも、あきらめず1人1人が知恵を絞り、協力して目標を達成するからこそ、仕事をする本当の「愉しさ」に出会えると考えているからだ。
トレンドマイクロは世界展開をしている企業である。本社は日本にあるが、支社があるそれぞれの国や地域の文化や特徴を取り入れて事業を展開をしている。各国で技術、知識に長けたチームがリーダーシップを取り、開発、サポート、マーケティングなどを行っている。そのため、1つのプロジェクトを動かすにも世界中のプロジェクトメンバーと話し合いを重ね、進めていく。社内の雰囲気は風通しが良く、会議の場でもいろいろな意見が飛び交い、元気がいい。
大久保氏によると、トレンドマイクロのビジネスは、PCのセキュリティ対策だけではなく、デジタル情報の交換のあるところすべてにあるのだという。なぜなら「そこに“脅威”があるからです」(大久保氏)。脅威は毎年ものすごいスピードで変化しているという。トレンドマイクロは、そんな脅威を未然に防ぐことに可能な限りの技術と知識を注ぎ込んでいる。大久保氏は「トレンドマイクロで働くということは、日本の経済に多大な影響を及ぼす、社会性の高い仕事を任せられるということです。そしてそのことに社員全員が、誇りと責任を持って取り組んでいます」と語る。
どこに新しい脅威が迫っているのかをリサーチし、その脅威に先手を打つ技術とサービスを提供するという使命。それは、未知の世界への挑戦だ。「前例のないことへのチャレンジがトレンドマイクロのビジネスです。それを企業のあるべき姿と考え、社員1人1人が失敗を恐れず“チャレンジ”する精神を持っています」(大久保氏)。20年間、成長し続けてきたトレンドマイクロの原点がここにある。
今年は、初めてエンジニアにフォーカスした採用にチャレンジしている。トレンドマイクロのコア技術にかかわり、影響力の高い仕事をしていける人材を積極的に探しているという。
「すでにコア技術をもってトレンドマイクロに来た人はいません。皆、技術的なトレーニングだけでなく、周りのサポート、バックアップのある中で成長してきました。必要なサポートは、惜しみなくする会社です。人のキャリアは十人十色という考え方を持ち、1人1人に合った形のサポートをしています」(大久保氏)。
「まずはあなたのやりたいことを聞かせて下さい。いままでどのようなことを、どう考えてきたのか? 今後どういった事をしていきたいのか? そのために必要なサポートを一緒に考えていきましょう。高度な技術を持っている必要はありません。スペックシートだけを見てあきらめないで、どんどんチャレンジしてほしいと思っています。私たちはそういう方を求めています。」(大久保氏)
トレンドマイクロが求めている人材とは、何をしたいかを明確に持ち、失敗を恐れずに挑戦し、共に成長できる仲間である。
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個性を大切にする企業の代表であるソニーは、創業当時から世界を視野に入れた多様性のある働き方、人材を考えてきた。障がい者雇用に長い歴史を持っており、雇用体制は充実している。
総合IT企業である富士通は、障がいの有無によって可能性を限定せず、対話の中で応募者とともに新たな可能性を見出していく、そんな懐の深さをもっている。
セキュリティーソフトウェアを提供するトレンドマイクロは完全なボトムアップ型の社風で、自社のコア業務をけん引するエンジニアを今年から集中して募集している。
3社に共通しているのは、障がい者を特別扱いせず、自律した人材を求めていることだ。困ったときに支えあってこそ人は生きていける。多様性の対応は、障がいの有無に関係ない。彼らは、共に成長し、チャレンジする意欲ある人材を求めている。
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提供:ソニー株式会社
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企画:アイティメディア営業本部
制作:@IT自分戦略研究所編集部
掲載内容有効期限:2008年9月25日
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