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エンジニアにとって、フリーという働き方は1つの選択肢だ。ただし、多くのメリットがある一方で、必要とされる知識や能力は少なくない。フリーエンジニアが成功するために必要なものとは何か。

仕事を獲得する人脈作りが重要 コミュニケーション能力もポイントに

　優れた技術力を生かし、さまざまな開発プロジェクトで活躍するフリーエンジニア。エンジニアにとって、フリーになることは重大な決断だ。とはいえ、会社の枠に縛られず自分の意志でプロジェクトを選ぶことができ、実力次第では大幅な収入アップが実現できるなど、フリーならではの魅力は多い。

　だが、フリーエンジニアになったからといって、誰もが成功できるとは限らないのが現実。「案件がなかなか獲得できない」「プロジェクトが終わるごとに新規の案件を探すのが大変」「自分のやりたいプロジェクトがない」など、思うように仕事が請け負えないフリーエンジニアが少なくない。特に最近では、コンプライアンスの観点から個人で働くエンジニアに業務委託することを控える企業が増えるなど、フリーエンジニアを取り巻く環境も変化してきている。

　では、そうしたなかでフリーエンジニアとして成功するために必要なものは何だろうか。1つは、仕事を獲得するための人脈作りだ。事前になるべく多くの人脈を確保し、フリーになってから仕事に困らないよう、準備しておくことがポイントとなる。次に、コミュニケーション能力がフリーとして成功する上では欠かせない。優れた技術力を持っていても、多くの人がかかわる開発プロジェクトをスムーズに進めていくためには、周囲とのコミュニケーションが重要になる。特にプロジェクトマネージャなど上流工程のフリーエンジニアを目指す人にとっては必須の能力といえよう。

　また、フリーになるにあたって必要な法律知識としては、業務委託契約にかかわる基本的な知識を押さえておくことが大切。具体的には、機密情報の取り扱いや個人情報保護、瑕疵（かし）担保の範囲、偽装請負に関する法律知識などだ。税務関連の知識については、フリーになった後から学んでも遅くない。

　このように、フリーエンジニアには技術力だけでなく、さまざまな知識や能力が求められる。しかし、人脈作りから案件獲得、事務処理まで、すべてを自分1人でこなしていくのは難しいと考える人も多いはず。そこで積極的に活用したいのが、フリーエンジニア向けに、開発プロジェクトの案件情報を始めとしたさまざまな支援サービスを提供している企業だ。なるべく複数の企業に登録し、多くの情報を集められるようにすることをお勧めする。今回は、フリーエンジニア支援企業として注目を集めているイントループ、聖コーポレーション、首都圏コンピュータ技術者の3社をピックアップし、各社が提供する支援サービスの特徴を紹介する。

INTLOOP：コンサルティングを中心とした上流系の案件情報が充実

　INTLOOPは、インディペンデント・コントラクター（IC）として独立を目指すフリーエンジニア、フリーコンサルタント向けにさまざまな支援サービスを提供している。同社の大きな特徴は、経営コンサルティング（戦略、BPM、人事、内部統制、IT、事業再生）を中心とした上流系の案件情報をメインに取り扱っている点だ。

　ディレクターの川本武士氏は、「もともとコンサルティングファームのメンバーが立ち上げたという経緯もあり、上流系の案件情報に強みをもっている。当初はコンサルティングの案件に特化していたが、現在はプロジェクトマネージャやプロジェクトリーダー、ITスペシャリストなど、幅広く上流系の人材ニーズをカバーしている」と説明する。

　そのため利用者も、すでにフリーとしてプロジェクトをこなした経験があり、優れた技術力を生かしてワンランク上のプロジェクトにチャレンジしたいフリーエンジニアや、活躍の場をさらに広げたいフリーコンサルタントが中心となっている。現在、同社では100数十人以上の登録者を抱えている。他のフリーエンジニア支援企業に比べてハイレベルのスキルを備えた精鋭たちがここに集まっているといえるだろう。

　その証拠に、同社の支援サービスは、個人のエンジニアだけでなくコンサルティングファームやシステムインテグレータからのニーズも高いという。川本氏は、「例えば、大きなプロジェクトで一部のプロフェッショナルメンバーが足りない場合に、当社の登録エンジニアが採用されている。中には、アウトソーシング的に当社を活用しているコンサルティングファームもある。当社が紹介する人材の質の高さが評価されている」と自信を見せる。

　登録者に対しては、面談を通じて、スキルレベルや業務経歴、希望するプロジェクト内容、条件面などをきめ細かくヒアリングし、要望にベストマッチするプロジェクトを紹介していく。その際に登録者は、豊富なコンサルティング経験をもつ同社スタッフから、的確なアドバイスを受けることができる。ときには、面談の中で本人も気付いていない能力が引き出されることもあるという。さらに企業との契約成立後、要望に応じて一定期間、フォローアップのコーチングを行うほか、プロジェクト期間が終了するタイミングで新しい案件情報を提供するなど、アフターサポートにも力を注いでいる。

　上流系のフリーエンジニアとして成功するためのポイントについて川本氏は、「優れた技術力に加えて、コミュニケーション能力と調整能力、そして柔軟性が大切」とアドバイスする。上流系へのキャリアアップを目指すフリーエンジニアにとって、INTLOOPは何より強い味方になりそうだ。

聖コーポレーション：エンジニアの視線で経営

　聖コーポレーションでは、フリーエンジニアとして成功するかしないかを分ける重要なポイントは、「情報量」にあると考えている。そして、エンジニアが主体となって、本当に働きたい仕事を選べる環境作りを目指し、質の高い案件情報を豊富に提供できる体制を整えている。

　代表取締役の岸康一氏は、「フリーエンジニアとして活躍の場を広げていくためには、価値のある案件情報をいかに多く集められるかが重要になる。その情報が多ければ多いほど、自分のやりたい仕事を選ぶことができ、スキルアップにもつながっていく。つまり、“生活のために働く”のではなく、“成長のために良いチームで働く”という、新しいワークスタイルを支援するのが当社の大きな特徴」と語る。

　同社では、大手コンピュータ会社や主要大手銀行、生損保など400社以上の取引企業を持っており、システム開発者を始めネットワークエンジニア、オペレーター、ヘルプデスク、OA事務まで幅広い案件をカバーする。その中から複数の案件情報が同社の登録エンジニアに提供される。「１つの案件よりも10の案件、10の案件よりも100の案件の中から希望の仕事を選ぶことが大事」という考えから、営業全員がエンジニアのために働く。このためエンジニアは、より確実に、素早く、良い案件を探すことができる。具体的には、50数人の人材コーディネーターが、エンジニアの視点から、新しいプロジェクトやエンジニア募集の情報などを常にチェックし、登録エンジニアにマッチした質の高い案件情報を提供している。

　利益を追求しない独自の給与システムを採用しているのも特徴。契約金額の90％（内税）を登録エンジニアに支払い、4％（内税）を人材情報の収集者、4％（内税）を案件情報の提供者に分配し、残りの金額で会社の運営を行っている。これにより、案件情報を提供する側にも利益がもたらされるため、非常に信頼性の高い案件情報を収集できる仕組みとなっている。

　案件情報には、単なる業務内容だけでなく、契約金など細かい契約条件がすべて公開されている。そのため、登録エンジニアは自分が希望する条件に最も合った案件を選ぶことが可能となる。

　「登録エンジニアにとって、価値ある案件情報を豊富に得られることは大きなメリットになる。ただ、最終的に仕事を選ぶのは本人の判断。本当に自分のやりたい仕事なのか、スキルアップにつながる仕事なのか、最良の仕事を選択する力を養うことも、フリーエンジニアとして成長するためのポイントだろう」と岸氏は指摘する。

　豊富な情報量を基盤にして、共存共栄のフリーエンジニア支援サービスを展開する同社の取り組みは、「人材ビジネス」というよりも「情報ビジネス」といえるだろう。岸氏は、「現在の登録エンジニアは約900人だが、まだまだ成約に至らない案件情報がたくさんある。将来的には、登録者数を今の十倍に拡大し、IT業界以外にもフリーランスを支援する情報提供サービスを横展開していきたい」と意欲を見せている。

首都圏コンピュータ技術者：コミュニケーション能力を高める支援サービスに注力

　首都圏コンピュータ技術者は、フリーエンジニアへ、案件情報やサポートサービスを提供する企業。パートナー事業本部 パートナー推進の菅原康寛氏は、「当社の大きな特徴は、フリーエンジニアと共同受注のパートナーとして契約を結ぶという共同受注方式で発注企業から仕事を請け負っている点。これにより、下請け階層を深めることなく、当社とフリーエンジニアがフラットな関係で仕事に取り組める環境を構築できる」と説明する。

　具体的には、同社のパートナーとなるためのパートナー契約を結んだフリーエンジニアへの支援サービスとして「営業支援」「事務代行」「福利厚生」の3大サポートを提供している。「営業支援」では、案件終了時期の約1カ月前から、同社の営業担当がパートナーのスキルにマッチした案件を紹介する。これにより、仕事のない期間が生じるリスクを回避できる。「事務代行」では、請求書の作成や入金確認などの事務処理を同社が責任を持って代行する。さらに、税務署への納税代行や積立金からの納税など、手間のかかる確定申告事務も全面的にサポートする。「福利厚生」については、共済会に加入することで、医療保障及び所得保証から事業資金の貸付まで、フリーエンジニアが安心して働ける充実した共済制度を提供する。

　これら3つの基本サービスに加え、同社では、パートナー同士の横のつながりを深め、コミュニケーション能力向上を支援するサービスにも力を注いでいる。「フリーエンジニアとして、さらに1ランク上のITプロフェッショナルにキャリアアップするためには、コミュニケーション能力は不可欠」（菅原氏）としており、キャリアアップセミナーや各種イベントを開催しているほか、同社のセミナールームを無料開放し、パートナー同士が交流会や研究会などで活用できるようにしている。また、同社ではパートナー向けに「マイホームページ」を提供しているが、その中の掲示板では、パートナー同士で情報交換が行われているという。

　同社のパートナーになっていない一般のフリーエンジニア向けサービスもある。「MCEA会員」に無料登録することで、同社のイベントやセミナー情報、新着案件情報などをメール配信するサービスだ。

　現在、同社とパートナー契約を交わしているフリーエンジニアは約1800人。将来的には、首都圏に約7万人といわれるフリーエンジニアの約1割をパートナーとして獲得したい考えだ。菅原氏は、「そのためには社内の営業体制を強化し、最強のエージェント組織となる必要がある」と力を込める。あわせて、今後は積極的に全国展開を進めていく計画で、9月13日には仙台（東北営業所）でキャリアアップセミナーの開催を予定している。

提供：INTLOOP株式会社
株式会社グッドワークス
首都圏コンピュータ技術者株式会社
株式会社 聖コーポレーション
企画：アイティメディア営業本部
制作：＠IT自分戦略研究所編集部
掲載内容有効期限：2008年9月30日