困った新人、どう育てる? “ゆとり教育世代”の戦力化に 不可欠なのはスキルバランス! |
人材育成担当者にとって、新入社員の育成は重要な課題の1つだ。特に近年の“ゆとり教育世代”をどう育てるべきか、専門家に聞いた。 |
経営とITが直結している今日、組織の屋台骨を支えるIT人材の育成は企業にとって非常に重要な責務となっている。
しかし実際には、研修講師の確保や時流に合った研修プログラムの立案を独自に行うことは非常に難しく、頭を抱える人材育成担当者は多い。
そこで活用したいのが、人材開発のプロフェッショナルサービスだ。中でもNECラーニングは、人材の育成に50年近い実績を誇り、最近のゆとり教育世代への接し方も熟知している。同社によると、いま最も重要なのは“スキルバランスの取れた人材”の育成だという。NECラーニングが自信を持つ新入社員研修サービス、その内容を取材した。
継続的な成長を考えたら、 新人採用と手厚い教育は不可欠だが…… |
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“企業は人なり”という言葉があるとおり、組織を動かしていくのは人間である。企業が健全な成長を続けていくためには、健全な人材ポートフォリオを形成する必要がある。カギを握るのは新人採用だ。特に、経営とITが直結している現在、将来的に企業の屋台骨を支えるIT人材を基礎からきちんと育成していくことは、業態業種を問わず企業にとって非常に重要な任務である。
しかし、自社内の教育は、想像以上に難しい。人材開発のスキルやノウハウを持つスタッフは多忙で、社員教育のために十分な時間を割くことができない。また、今日はITのかかわる領域が従来に比べて大きく広がり、社内の人材だけではとても全体をカバーしきれなくなっている。さらに、IT人材だからといって技術だけがあればよいものではない。彼らはIT人材である前に社会人、企業人である。そのためのマナーやモラルといったものも、業務の最前線へ送りこむ前にしっかり身に付けさせたい。
“IT人材教育の重要性は把握しているが、時流にあったプログラムを組むのはとても難しい”というのが、人材育成担当者の本音ではないだろうか。
人材開発の総合サービス会社、 NECラーニング |
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人材開発の総合サービス会社 NECラーニングは、ITスキルやビジネススキル研修事業を展開してきたNECのeラーニング事業部と、マネジメント研修・グローバル研修・技術研修などを行ってきたNECユニバーシティが統合して2005年7月に誕生した企業だ。
内海房子氏
NECラーニングそのものは若い会社だが、「教育サービスの提供ではすでに50年近い歴史を有し、豊富な経験と実績、技術力を培ってきた」(NECラーニング代表取締役執行役員社長 内海房子氏)。現在は、企業における人材像策定からアセスメント、研修体系構築といったコンサルティング、研修を実際に企画・開発し、それを実施する研修サービス、その後のスキル診断、その結果を踏まえた新たな人材像の策定支援など、一連のPDCAサイクルにのっとった総合的な人材育成ソリューションを提供している。
また、研修メニューそのものも、IT、ネットワーク、データベース、さらに最近は時代を反映して人気の高い組み込み技術などといった技術研修、プロジェクトマネジメント研修、ビジネススキル研修、語学研修、新入社員研修など、多岐にわたる企業の人材育成ニーズに応えている。
まさに人材育成に特化したプロフェッショナルサービスベンダだ。同社がとりわけ得意としているのが、社名からも推測できるとおりIT人材の育成だ。内海氏自身、エンジニア出身の経営者。トップ自らエンジニアのキャリア思考が理解できる貴重な人材開発企業なのである。
ゆとり教育世代が社会に着地できるよう、 “組織が求める社会人像”を教育 |
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新入社員研修サービスは、同社の主要な研修サービスの1つだ。
“ゆとり教育世代”の新入社員には、これまでの新人と違った行動傾向が見られるという。
グループマネージャー
川瀬訓範氏
内海氏はいくつかの特徴を挙げてくれた。非常に素直だが、詳細な指示がなければ自分からは動かない。動くべきだと気付いていない。競争に関心を示さず、高いところに目標を設定しない。失敗を怖がる。コミュニケーションの中心は電子メールで、面と向かって話し合うことが苦手、などなど。
こうした新しい世代を一人前の社会人として世に出すため、NECラーニングは、面と向かって一定期間、温かくも厳しく教育するという。その方針について、NECラーニング IT・NW研修本部グループマネージャー 川瀬訓範氏は次のように語る。
「彼らは、社会で自分たちがどう振る舞うことを期待されているか、まだよく分かっていません。そこで私たちは、彼らが社会へうまく着地できるよう、“組織はあなた方にこういう風に働くことを求めている”ということを、さまざまな研修項目の中で明示的に示していきます」
そう考える同社が最も重要視しているのが、偏りなくバランスの取れたスキルを持った人材の育成だ。具体的には、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルの3つを指している。
テクニカルスキルは、文字通りITのスキルである。同社では基礎が大切と考えることから、たとえプログラマ志望であっても、プログラミングだけではなく、アーキテクチャ、データベース、ネットワークなど広範囲な知識を身に付けることを勧めている。そのため、あらかじめスキルチェックを行って自己評価を行い、修得すべきスキルや不得意な分野を把握。研修の前には、研修内容を明示し、研修後にはテストで理解度を測定する。
理論学習だけではなく、システム構築プロジェクトを想定したロールプレイングを行うことで、実際業務にITがどうかかわるかを実践的に学ばせる。
ヒューマンスキルは、いいかえれば対人力である。研修のあらゆる場面でビジネスマナーが問われるだけではなく、毎朝、研修開始前にビジネスパーソンとしての心構えを考える時間が設定される。さらに、人前で発表したり、報告書を作成したりするなどの場面を通じてビジネスマナーを身につけていくのである。一日の終了時には自己の行動を振り返る時間も持つ。自己チェックを習慣づけることによって、研修が終了した後も常にビジネスマナーを意識できるようになる。
コンセプチュアルスキルとは、思考と実践のスキルである。ものごとを論理的に考え、整理して相手に伝えるロジカルトレーニング、事例から顧客の状況・ニーズを読み取り、考えながら解決策を導き出していくケーススタディ演習などを用意している。
コミュニケーション力の習得、 成長実感やモチベーション維持にも気配り |
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NECラーニングでは、このようなスキルバランスの取れた人材育成に加えて、チームワークの基礎となるコミュニケーション力の習得、成長実感、モチベーションの維持による向上心の醸成も重要と考えており、そのために以下のようなプログラムを実施している。
「グループでの振り返りワーク」は、あらかじめ振り分けられたグループごとに、一日の行動を振り返るというものだ。研修によってメンバー間で理解度にバラつきが出るものだが、教え合うことで教えられる側も教える側も学んだ内容を確認することができる。これにより、メンバーシップやコミュニケーションのスキルも合わせて習得することができる。
また、同社の新入社員研修サービスでは、研修講師とは別に、特定のクラスマネージャが割り当てられる。いわばクラス担任教師だ。受講者の日々の研修を同じ人間が見守り、進ちょく状況の把握や、受講者の疑問・不安の解消など、講師と連携を取りながら受講者のモチベーション維持をサポートする。
さらに、受講者は毎日必ず日報を作成することになっている。これは受講状況や課題点を整理するためのもので、自分のスキル修得状況を整理できるだけでなく、ビジネス文書作成のトレーニングとしても有効だ。同時にこの日報は、受講者が所属する企業の人材育成担当部門や配属先に毎日送信される。企業にとっては、NECラーニングに託した新入社員の成長度が目に見える形で把握できるというわけだ。来年度に向けて、企業側が新入社員の作成した日報に直接フィードバックできるサービスを開始する。これにより、企業が新入社員のモチベーション維持向上をサポートすることもできるようになる。実際、企業によるモチベーション維持サポートは“研修参観”という形で、すでに一部実現している。これは人材育成担当者や配属先の上司が新入社員研修の成果発表会を見学できるというもので、多くの社会人1年生たちは、自分の成長ぶりをアピールできるほか、“この会社で働くために研修を受けている”という自覚を持つのに役立っているようだ。
NECラーニングは、受講者の研修メニューの習得度合いにもこだわっている。「フォローアッププラクティス」というプログラムがあり、カリキュラムごとにレベル別の追加問題を用意している。理解度の低かった受講者には基本問題を中心に、理解度の高い受講者には応用問題にチャレンジしてもらい、誰もがスキルアップをめざせる環境を提供している。
これからの新入社員教育を考える 専門セミナーもこの秋開催 |
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新人のときに一定期間勉強したからといって、一人前の社会人になれるわけではない。むしろ、2年目には2年目ゆえの課題が、5年目には5年目ゆえの悩みが生じるものである。企業の継続的な成長を考える上でも、恒常的な人材開発投資は不可欠といえる。そうしたニーズに応えるため、NECラーニングでは新入社員研修後の2年目・3年目の継続研修にも力を入れている。継続研修を希望する企業に対しては、研修記録の履歴を保存し、受講者の今後の成長に適した研修プログラムを組めるサービスも用意している。
2008年10月、NECラーニングでは、企業の人材育成担当者を対象にした“これからの新入社員教育を考える専門セミナー”の開催を予定している。“ゆとり教育世代”にはどのように接し、どのように戦力化するのが最適なのか。人材育成のプロの声に耳を傾けてみてはいかがだろうか。
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提供:NECラーニング株式会社
企画:アイティメディア営業本部
制作:@IT自分戦略研究所編集部
掲載内容有効期限:2008年9月30日
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