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ITエンジニアが社会人大学院で学ぶという選択肢は一般的になりつつある。だが、忙しい業務の合間を縫って、多くのお金と時間を投資するには不安があるという人もいる。貴重なお金と時間を無駄にしないためにはどうすればよいのだろうか。 |
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キャリアチェンジに向けたノウハウ作りや今までの仕事経験の整理、新しい自分の可能性を拓くために、社会人大学院で学ぼうとするビジネスパーソンが増えている。そしてこの動きは、ITエンジニアにとっても見逃せないものとなっている。
しかし、いざ入学するとなると、「本当に仕事と学業の両立ができるのか」「2年間続けることができるのか」「投資に見合ったスキルを身につけられるのか」など、さまざまな不安が頭をよぎり、その一歩を踏み出せていない人も多いことだろう。
東京大学 大学総合教育研究センター
大学院 学際情報学府(兼任)
准教授 中原淳氏
「社会人大学院へ行こう」の編著を手がけた東京大学 准教授の中原淳氏はこんなアドバイスをする。「社会人大学院で学ぶことに不安を感じている人は、自分が納得のいくまで事前調査を行って、入学前にあらゆる不安を払拭しておくことが大切だ」。不安を抱えたまま入学したのでは、よい成果は得られない。社会人大学院に入ってからの貴重な2年間を無駄に過ごさないためにも、事前の準備は非常に重要なのである。
では、社会人大学院に入る前にどんな準備をしておけばよいのだろうか。「事前準備として、まずしておきたいのが、希望する大学院がどのくらい学びやすいのかを知ること」(中原氏)。例えば、職場から通いやすい場所にあるかどうかを調べるために、実際に仕事が終わってから大学院まで足を運んでみる。これにより、本当に、仕事の後でも大学院に通えるかどうかがシミュレートできる。
また、土日も開講しているかどうか、長期履修制度を用意しているかを確認することも学びやすさを判断するポイントだ。特に長期履修制度は、通常2年間の学習期間を3年間に伸ばすことができるもので、「仕事が非常に忙しい人や、家庭をもっている人など、2年間では不安だと感じている人にとっては、見逃すことができない制度」(中原氏)だという。事前に制度の有無を確認し、利用するかどうかじっくり検討してみてはいかがだろうか。
さらに、社会人大学院での学びやすさを大きく左右するのが、担当の指導教員の教育能力。大学院は、大学と違って何かを教えてもらうために行くところではなく、自分で問題を提起し、その答えを指導教員と二人三脚で探していく場所だ。知識が増えたり減ったりするのではなく、自分の考え方や物の見方を変えていく“変容学習の場”といえる。それだけに、指導教員個人の教育方針や指導力などが、自身に強く影響を与えることになる。「希望する指導教員が決まっているのならば、一度、会いに行ってみるといいでしょう」と中川氏は強調する。
大学院の指導教員は、院生に対して研究指導を行う義務があるが、その方法は自由。そのため、必ずしもゼミを開く必要はなく、大学院生とのコミュニケーションをあまりとっていない教員もいるという。つまり、いくら名の知れた大学の有名な指導教員であっても、「研究する能力」と「教育の能力」は別物として評価しなければならない。だからこそ、実際に指導教員に会って話をすることが重要となる。教育方針が自分に合っているかどうか、自分と一緒に問題解決に取り組んでくれるのかどうかを、事前に確認しておくことが必要なのである。
「それでもまだ不安が残っている人は、その教員が指導している大学院生を紹介してもらい、教え子に会ってみるのも1つの手」と中原氏。彼らは、まさに自分の将来の姿と重なる存在だ。実際に社会人大学院で学ぶことの大変さや、指導教員に対する率直な意見、学んでみての感想などを聞くことで、より多角的にその大学院や教員を分析することができるはずだ。もし、明確な理由もなく、院生の紹介を断る教員がいるのならば、「それは、自分の教育能力に自信がない証拠かもしれない」(中原氏)。このほか、インターネットを利用して大学院や教員の評価をチェックすることも、判断材料の1つとして参考になるだろう。
社会人大学院の学びやすさ、指導教員の教育方針などを確認し、学校側に対する不安を解消できたら、残るは自分自身の問題。何のために社会人大学院で学ぼうとしているのか、その目的を明確化しておくことが重要だ。
特に気をつけたいのが、仕事で抱えている問題を、そのまま社会人大学院で学ぶ目的にしてしまうこと。仕事での課題は短期的に解決する必要があるが、大学院は2年という長期間で問題に取り組む場だからだ。たとえ最初の目的が漠然としていても、方向性が間違っていなければ、徐々に研究目的を絞り込み、最終的に問題の本質までたどり着くことができるだろう。
中原氏は、「仕事をしながら2年間、大学院で学ぶのは非常に大変」と断言する。しかし、「本人がその厳しい状況を楽しいと思えるかどうか」が、社会人大学院で学習を続けるカギになるという。自分で研究プランを作り、自分のお金と時間を費やして、問題解決のために本気で取り組んでいく。苦労を楽しみに変える気持ちがあれば、社会人大学院で研究した成果は、決して無駄にならない。「そこで生まれた考え方や物の見方は、今後のビジネスにも必ず役立つはず」と中原氏はエールを送る。
中原氏はIT系の人材育成企業で顧問を担当している。IT業界の抱えている人材問題について、「上層部も一般社員も含め、会社全体で5年後のキャリアが描けていないことに驚いた」と話す。最初は、インドや中国でのオフショアの活発化を脅威に思ってのことか、と考えたそうだが、どうやらそういうわけでもないと感じたという。それよりも、今の仕事のやり方や仕組みが、このままずっとは続かないだろう、という不安の方が大きいように感じた。「明確な仮想敵や脅威が迫っているわけでもないのに、漠然とした不安感にさいなまれているのはIT業界だけだ」と指摘する。
他の業界であれば、ある程度、脅威や問題が見えているため、企業として対策を立てることができる。しかし、IT業界は問題自体が明確化できていないため、何をしたらよいのか分からず、業界全体に不安感が漂っているのが現状だ。ただ、このような時だからこそ、ITエンジニアにとって社会人大学院が必要なのではないか。
漠然とした不安を抱えているITエンジニアは、その不安の理由を明らかにし、解決するための1つの方法として、社会人大学院を活用してはどうだろう。社会人大学院には、さまざまな業種から幅広い年齢層の参加者が集まってきている。IT業界だけに閉じこもらずに、他の業界の人たちと交流をもつことで、あらためてIT業界の抱える問題点を見いだすことができるかもしれない。
産業技術大学院大学
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産業技術研究科 情報アーキテクチャ専攻 2年
小川嘉孝さん
非情報系企業のユーザー部門で、システムアドミニストレータとして働いてきました。しかし、スキルやノウハウは独学で身につけたもので、いつまで通用するか不安でした。そんなとき、@IT自分戦略研究所に掲載されたこの大学院の記事を見て、入学を決意しました。情報分野全般を幅広く学べることと、授業料が年額52万800円と財布にやさしかったことが選んだ決め手になりました。平日の夜と土曜日は、ほぼ大学にいるので、仕事との両立は正直、大変。ですが、1年次から単純な座学ではなく、レポートと発表の日々です。自主的に学んでいるという実感が味わえます。社会人にとっての高度専門教育とは、『なりたい自分になる』ためのものだと思います。まだ自分が何になりたいのか分からない人は、ここへ来ることからスタートしてもいいのではないでしょうか。
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千葉商科大学大学院 |
会計ファイナンス研究科 会計ファイナンス専攻
上遠野敦子さん、芳野祥子さん
今後のキャリアアップを目指して、金融機関で働きながら今年会計専門職大学院を修了しました。私は公認会計士を目指しているので、公認会計士短答式試験の科目免除の申請が可能であることも魅力的でした。先日短答式試験に合格しました。現在も科目等履修生として本大学院で勉強を続けながら、公認会計士の資格取得に向けて準備を進めています。(上遠野敦子さん、左写真)
楽天でマネージャとして働いていますが、日々の業務を行ううえで、財務会計やコンプライアンスに関する専門的な知識は不可欠です。そこで、『土日に集中し、効率よく学んでMBAを取得しよう』と考えて、専門職大学院に入学しました。働きながら学ぶのはたいへんな面もありますが、講義の内容と日々の業務が直結しているため、確かな手応えを感じています。(芳野祥子さん)
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デジタルハリウッド大学院 |
デジタルコンテンツ研究科 デジタルコンテンツ専攻
佐藤倫之さん
システムインテグレータとして、業務系Webアプリケーションや、モバイル向けアプリケーションの開発を行っています。以前から映像に興味があり、今の業界でコンテンツとしての活用方法を学びたいと思い、また、会社だけの人脈に限界を感じ、大学院で学ぶことを決意しました。多くの大学院の中からデジタルハリウッド大学院を選んだ理由は大きく2つ。ITビジネスを軸に、自分自身でさまざまな方向性を模索できること。そして、教員が社会人経験を持っており、現実をしっかり見すえた授業が期待できたことです。今の業界にはIT技術とコンテンツ、それぞれを個別に理解している人は多くいますが、総合的に組み合わせて提案できる人はまだまだ少ないと思います。将来は独立も視野に入れ、総合力を生かした企画プロデュースをしていきたいですね。 |
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情報セキュリティ大学院大学 |
情報セキュリティ研究科 情報セキュリティ専攻
北野晴人さん
日本オラクルでソフトウェア製品の戦略立案や、ビジネス開発に従事しています。変化の激しいIT業界でこれからの自分のキャリアを考えたとき「50歳を過ぎたら何で食べていこうか?」と考え始めたのが入学のきっかけです。
この大学院を選んだ決め手は自分の仕事に直結した専門性の高さと、夜間授業を中心に社会人学生が学びやすい環境・カリキュラムが用意されている点です。仕事との両立については大変ですが、勉強するのは楽しいです。企業で働きながら学ぶ場合、なるべく出願の段階で上司に理解を得ておくことをお勧めします。
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K.I.T.虎ノ門大学院(金沢工業大学) |
ビジネスアーキテクト専攻(09年改組)
伊藤暢朗さん
総合ITベンダで、営業支援企画をしています。これまでは、ほぼ我流で仕事を進めてきました。しかし、社外の人と接することで、自らのスキルを棚卸しする必要があると考えました。自分の実力を測り、今後に役立てようと考え、社会人大学院への入学を決意しました。会社の理解もありますが、学んだことを可能な限り業務に生かすことで、日々の仕事とのバランスを取っています。ここで学んだことを生かして、みんなに信頼される「ビジネスアーキテクト」になれればと思っています。入学してよかったと思うのは、講師や院生の仲間と議論しているとき。刺激をびんびん受けます。「学びたい!」と思ったときこそ、学習が一番身につくときです。入学を迷っていた時間がもったいなかった……と、今心底思えます。
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提供:K.I.T.虎ノ門大学院(金沢工業大学)
産業技術大学院大学
情報セキュリティ大学院大学
千葉商科大学大学院
デジタルハリウッド大学院
企画:アイティメディア株式会社
制作:@IT自分戦略研究所編集部
掲載内容有効期限:2008年10月31日