サン・マイクロシステムズがUNIXの新資格制度を開始した。一体どんな資格なのか。同社 ラーニングサービス本部 カスタマーラーニング部 ビジネスマネージメントグループの澁谷督陽専任部長と同スペシャリストの原剛氏に新資格の対象者、ポイントを聞いた。 |
UNIX入門者向け資格の全容が明らかに | |||
――新しい資格試験がはじまったとのことですが、詳しくお聞かせください。
ビジネスマネージメントグループ
選任部長 澁谷督陽氏
澁谷 この10月からUNIXの入門資格をスタートしました。「サン認定UNIX(R)(Solaris)アソシエイツ (英語名:Sun Certified Solaris Associates、略称:SCSAs)」という名称で、UNIXの基礎知識について広く出題し、その習得度についてサンが認定する資格です。
――UNIXの入門資格。ありそうでなかった資格ですね。なぜいま、そうした資格制度をはじめられたのですか?
原 これまでUNIX認定資格というとシステム管理者を対象にしたものであり、ハードルの高いイメージが強かったと思います。実際、サンの認定資格もUNIX管理における高度な知識を問うものでした。
近年、部門サーバなどでのUNIX/Linuxベースのシステム増加に伴い、UNIX系エンジニアの必要性は年々高まってきており、新人エンジニア向けの研修を例に挙げても、UNIX系OSの基礎学習が必須になってきています。しかし、このような状況にありながらも、UNIX系OSの基礎レベルの知識習得を測る物差しがありませんでした。そこで、UNIX系OSにおける基礎学習の効果測定に適した内容の試験制度を考えたというわけです。
実際、弊社でもこれまで数多くの企業さま向けに新人研修を実施させていただきましたが、その際、多くのご担当者さまから、効果測定のための認定資格についてご要望をいただくことがありました。
基幹系システムではますますUNIXの需要が高まる | |||
Windowsシステム管理取得者が次に身に付けたいスキル (@IT自分戦略研究所 読者調査結果 2007年11月) |
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――@IT自分戦略研究所の調査でもUNIX系のスキルを身に付けたがっているエンジニアは多いようです。
澁谷 UNIXは、これからもミッションクリティカルな基幹系システムで使われ続けると共に、部門サーバや情報系システムでも広く使われるようになっています。(図2)。これまでWindowsシステムの開発しか経験してこなかったエンジニアの方は、ぜひこの資格取得を目指して、UNIXの勉強をしていただければと思います。
図1 UNIXの構造 |
――Linux系の認定資格制度としてはLPICが有名です。すでに取得している読者も多いと思いますが、これとの違いは何でしょうか? また、LPIC取得者にとってもこの新資格を取得するメリットはありますか。
ビジネスマネージメントグループ
スペシャリスト 原剛氏
原 Linuxは、広い意味でUNIXの1つで、UNIXと共通部分が多いOSです。よって、LPIC取得において習得された知識はUNIXでも生かせるはずです。ただ、LPIC取得者であっても、すぐに現場で「Solarisの管理ができるか」と問われると、躊躇する方も多いのではないでしょうか。LPIC レベル 1取得者がすんなりUNIXに移行できるレベル、それが今回のSCSAsのターゲットです(図2)。この資格を、商用UNIXに取り組む入り口として活用していただければと考えています。また、商用UNIXはSolaris以外にもいくつか種類がありますが、このSCSAsはUNIXの入門レベルを想定していますので、どの商用UNIXにも共通する内容です。
図2 LPICと比較したSCSAsのレベル |
原 いまやOSは無償化によって公のものとなりつつあります。Solarisもオープンソース化してすでに数年が立ちました。今回こうした入門レベルの資格制度を作り、集合研修やCD-ROM教材、eラーニングなどさまざまな学習機会を提供することで、さらにUNIXの普及に貢献できればと思っています。
――ところで、この資格は日本発だとうかがいましたが?
澁谷 そうですね。先ほどもお話しましたが、新人研修での具体的なニーズがあり、さらに、弊社の教育パートナー企業さまからも同様の要望をいただいておりましたので、私たちで企画を練り、US本社に提案しました。
――実際の試験はUSで作られているわけですね。
原 USの試験作成の専任担当者が作り、私たちもレビューしています。サンでは統計手法などを駆使してできるだけ精度の高い試験問題を作るようにしています。例えば約2000人のユーザーにモニタ受験をしていただいた結果、正答率が50%となった問題があったとしましょう。このとき、もしこの問題が受験者の実力を正当に評価するいわゆる「良問」であれば、正解者の内訳はトータル成績の上位者で占められ、逆に不正解者の内訳は成績の下位者で占められるはずです。しかし、まったくそのよう傾向が見られずに、成績の上位者も下位者もまんべんなく正解者が分布している場合はどうでしょう? このようなケースでは、ほとんどの受験者が当てずっぽうで解答した結果と推測でき、実力を測る問題としては不適切なものと判断できます。こうして1問1問、良問を絞り込んでいますので、試験はかなり完成されたものだと自負しています。
サンプル問題 |
【問題1】 |
◇◇◇
これまでUNIXを勉強したいと思っても、ハードルが高くてなかなか手を出せなかった人とって、打ってつけの資格制度といえるだろう。まずはこのSCSAsにチャレンジしUNIXの基礎を学んでから、Linuxを学ぶもよし、Solarisを極めるもよし。サンの認定資格取得者はワールドワイドですでに50万人を突破している。新たな資格を1つ身に付けることで、エンジニアとしての可能性もまた少し広がるだろう。
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提供:サン・マイクロシステムズ株式会社
企画:アイティメディア営業本部
制作:@IT自分戦略研究所編集部
掲載内容有効期限:2008年12月19日
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■SCSAs試験概要
質問数 | 52 |
合格ライン | 50%以上 |
質問形式 | 多岐選択式 |
時間 | 90分 |
料金 | 未定 |
前提条件 | 特になし |
対応推奨 コース |
UNIX(Solaris10)入門 インストラクタによるコース CD-ROMで学習 |
対象者 | ・Solarisなどの商用UNIX上において、ウィンドウシステム、コマンド使用などで、ユーザーとして作業を行うオペレーターの人 ・将来、システム管理者を目指す人 ・将来、SCSA(Sun Certified System Administrator)資格の取得を目指す人 |
スキルレベル | 以下に示すような、Solaris、およびUNIX/Linux上における基礎的なスキルを持っている。 ・ログイン、ログアウト ・マニュアルの参照 ・ファイルとディレクトリ管理(コピー、移動、編集、削除など) ・viエディタ ・シェル機能の活用(シェル変数と環境変数、ヒストリ機能、リダイレクション、ジョブ管理、エイリアスなど) ・ファイル、ディレクトリに対するパーミッションの管理 ・ACL:Access Control List の設定 ・ファイルやディレクトリの検索 ・プロセスのコントロール ・シェルスクリプトの作成と実行 ・ファイルアーカイブ、圧縮、解凍操作 ・リモート接続、ファイル転送 |
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