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新人研修ではJavaが人気 | |||
2008年度の新人研修がひと段落したが、一息いれる間もなく2009年度の新人研修は動き始めている。新人研修では、プログラミング言語の研修にJava言語を採用する企業が増えてきているが、理系出身者・文系出身者・コンピュータ経験者の有無などさまざまなスキルレベルの新人に、いかにJavaのスキルを植え付けるかは、研修担当者の悩みの種ではないだろうか。
今回、Javaテクノロジの生みの親であるサン・マイクロシステムズ(以下 、サン)のラーニングサービス本部長 堀内謙一氏と、多くのIT研修をコンサルトしてきたカスタマーラーニング部 専任部長 田辺美奈子氏に、Javaの新人研修を成功させるコツを聞いた。
研修のねらいを定義する | |||
Javaで新人研修を実施したいが、具体的なプランニングに悩む研修担当者は多い。田辺氏は「まず、研修の狙いを明確に設定することが重要」と指摘する。「例えば、サンが提供する新人研修では、『Javaのテクニカルスキルをしっかりと身に付ける』ことはもちろん、それだけではなく、『ヒューマンスキル』や『ビジネススキル』にもフォーカスし、新人が『自分で考え、問題を解決していく』ことを重視しています」(田辺氏)。最初に、研修のコンセプトをしっかりと決めておくことが重要だ。
カリキュラムの良し悪しを見極める | |||
専任部長 田辺美奈子氏
「サンが実施するJava研修だからこそ、研修内容に妥協はしません」 (田辺氏)。確かに、すべてのJavaテクノロジを新人研修で網羅することは期間的に不可能だ。カリキュラム内容に関して田辺氏は「ティーチングポイントを洗い出し、どのレベルまで修得させるべきか、研修担当者と事前に十分に話し合います。たとえ新人研修であっても、単に『難しいから』という理由で、安易にカリキュラムから外すようなことはせず、Javaエンジニアとして必ず知っておくべき内容は的確にカリキュラムに盛り込むようにしています」と語る。分かった気にさせるだけの研修ではなく、ITエンジニアとして真のスキルを身に付けられる研修になっているかどうかの見極めが肝心だ。
演習をふんだんに取り入れる | |||
入社して間もない新人は、はじめこそ熱心に受講しているが、毎日7時間にも及ぶ講義で研修中盤ともなれば徐々にモチベーションが低下してくる。日々新しいことを学ぶが、完全に理解できていなくてもカリキュラムはどんどん進む。小さな取りこぼしが、のちに大きな開きになる。
田辺氏は「プログラミングスキル定着の近道は、演習を多く行いプログラミングのパターンを体得させること」と語る。サンでは「ドリル演習」と呼ばれるプログラミング課題を数多く繰り返す演習を重視している。コードの穴埋め問題ではなく、最初から最後まで自分でコードを書き、プログラムを完成させるという成功経験を積み重ねることで新人は自信と達成感を得ていく。なぜ、演習中心のカリキュラムが知識の着実な定着につながるのか。田辺氏は「Javaプログラミングも言語という意味では英語と同じです。話せるようになるためには、文法を1から教わるより、“話す”、“聞く”を多く行う方が習得は早い。プログラミング言語も文法を教わるより、実際にコードを多く書き、慣れることが大切」と答える。
同社では、単元ごとの「ドリル演習」のほか、「ワークショップ」と呼ばれる総合演習にJava研修全体の3分の1を費やしている(図1)。
図1 新人研修カリキュラム (※クリックで拡大) |
ワークショップでは、新人に、「従業員管理システム」や「会議室予約システム」の開発といった実際の開発プロジェクトに近い擬似プロジェクトを体験してもらう。このワークショップによって、アプリケーション開発プロセスの全体をとらえることが可能となる。また、各機能間の連携を理解するにもつながる。さらに、工程管理や品質管理も経験できるので、コミュニケーションスキルやリーダシップスキルを修得することにも役立つ。このように、総合的なワークショップの利点を研修の各要所に取り入れていることが、サンの研修の特徴である。
スキルレベルの二極化を考慮する | |||
Javaテクノロジの普及に伴い、Javaプログラムの作成経験を積んで入社する新人が増えている。一方、学生時代は、ほとんどコンピュータと無縁の生活をしていたという新人もいる。このように、新人の入社前におけるJavaのスキルレベルの二極化が拡大する傾向にある。新人研修のレベルを初心者に合わせると上級者が“退屈”し、上級者に合わせると初心者が“道に迷う”。研修のレベルをどこに合わせるべきか、頭を悩ませる研修担当者は多い。
この問題の解答として、田辺氏は「まず、事前に新人1人1人のスキルレベルを的確に把握しておくことが重要です」と語る。サンでは、研修実施前に各新人のスキルをチェックする。スキルチェックの結果を基に、カリキュラム内容を受講者のレベルに合うよう調整していく。
「新人のスキルレベル別クラス分けをお勧めしています。そうすることで、初心者には手厚いフォローを、上級者には実践的な演習をたくさん提供することが可能となります。入社早々、レベル分けをすることに抵抗を感じる研修担当者もいらっしゃいますが、(レベル分けは)新人が自分の力量を把握し、そのうえで何をすべきなのかを認識し、行動するための第一歩となります」と語る。
研修コンサルティングを活用する | |||
サンは研修コンサルティングにも力を入れている。研修コンサルテイングは顧客企業の要望をヒアリングし、最適な研修ソリューションを提案するための準備作業であるともいえる。
「新人研修の実施・運営で不安なことがありましたら、遠慮なくサンの教育コンサルタントに相談してください」と田辺氏は語る。
教育コンサルタントは、顧客の要望に合わせて、カリキュラムのカスタマイズを行う。「お客さまのご要望は、カリキュラムの追加や削除、研修日数の調整などさまざまです。例えば、研修の最後にJava認定資格対策講座を追加してほしい、といった個別のリクエストをいただくこともめずらしくありません」(田辺氏)。
研修が始まってからの研修運営も重要だ。日々の確認テストや実習課題達成度、日報、アンケートなどの情報から、受講者1人1人の理解度を確認し、状況に応じて随時カリキュラムをチューニングしていく。さらに、講義や実習の進ちょく管理、研修担当者への状況報告など、教育コンサルタントと講師が一体となって顧客の研修運営をサポートする。
図2 新人研修の流れ (※クリックで拡大) |
『Training』から『Learning』へ | |||
ラーニングサービス本部
本部長 堀内謙一氏
ここ数年の傾向として、新人は1から10までいわないと行動を起こすことができず、一歩先を考えることができないという声をよく耳にする。堀内氏は、「このような『ゆとり世代』に対しては、教える側がすべての答えを与える『Training』ではなく、解決するためのヒントを与え、本人が自ら考え、気付き学んでいく意識を身に付けさせる『Learning』に主眼を置かなければいけません」と述べる。
いまの世代は、携帯電話など新しいデジタル機器を手にしたとき、マニュアルを見るのではなく、ともかく触っていろいろと試す。そしていつの間にか使えるようになる世代。堀内氏は「ゆとり教育でレベルが下がっているわけではなく、むしろ自ら学ぶ力は持っている。教育現場は、その学ぶ力を導き出す『気付き』と『環境』を提供することが必要」と主張する。サンの新人研修は、講師による講義だけでなく、各種アセスメント、eラーニング、認定資格、ワークショップなど、いろいろな手法を組み合わせて提供できる。これによって「学生時代の受身の姿勢を排除し『自ら学ぶ力を付ける』人材を育成します」と堀内氏は語る。
意識を改革するのは、どんな技術をマスターするよりも難しい。サンの研修では、Javaテクノロジのスキル修得はもちろんのこと、目まぐるしく変化するITの世界で生き残るための「学ぶ力」の修得も可能としている。「ゆとり世代の新人教育に頭を抱えている」「Javaをどう教えればいいか悩んでいる」という教育担当者は、まず一度サンに相談をしてみてはいかがだろうか。
提供:サン・マイクロシステムズ株式会社
企画:アイティメディア営業本部
制作:@IT自分戦略研究所編集部
掲載内容有効期限:2008年11月15日
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