ITエンジニアが狙うビジネス系資格として脚光を浴びる「中小企業診断士」。経営コンサルタントとしては唯一の国家資格であり、経営を学びたいITエンジニアの人気は高い。中小企業診断士の資格取得講座を開設している日本マンパワーと、実際にその講座を通じて中小企業診断士を取得した合格者に話を聞いた。 |
@IT自分戦略研究所の読者調査(*1)によると、今後取得を目指すビジネス系資格として、全体の13.9%が「中小企業診断士」と回答している(図1)。ビジネスパーソンの定番であるTOEICを除けば、「中小企業診断士」はITエンジニアが今、最も注目しているビジネス系資格といえる。
(*1:調査期間:2008年10月21〜31日、集計サンプル数913件)
図1 資格取得状況:ビジネス系資格・認定
しかし、あなたは「中小企業診断士」という資格がどのようなものか、正確に理解しているだろうか。中小企業診断士とは何か。そして、なぜITエンジニアが中小企業診断士に注目しているのかを探った。
4人に1人はIT系!
日本マンパワーで中小企業診断士の資格取得講座を受け持つキャリアプランナー(*2) 栃尾祥之氏は、中小企業診断士を「中小企業を対象とした経営コンサルタント」であると説明する。
「中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断と助言を行う専門家です。つまり、経営コンサルタントですね。経営コンサルタントとしては唯一の国家資格でもあります」
日本の企業の約99.7%は中小企業だといわれる。日本経済の屋台骨を支える中小企業をサポートする、という意味を込めて、「中小企業診断士」と名付けられたのだという。
どのような人が中小企業診断士の資格取得を目指しているのだろうか。日本マンパワー東京校の調査によると、中小企業診断士通学講座受講者の25%、つまり「4人に1人」がIT・情報サービス業に従事している(図2)。これは製造業(21%)や金融・保険業(21%)、サービス業(11%)を抑えて1位である。「特にシステムエンジニアの方が多いですね」と栃尾氏は語る。
図2 日本マンパワー 東京校通学講座 受講者職業属性
1年間の通学講座は「クラブ活動みたい」
情報サービス系企業に勤める真田佳明氏は日本マンパワーの通学コースを受講し、2008年12月に見事、中小企業診断士の試験に合格した。真田氏が中小企業診断士の資格取得講座を受けたのは、「自分には何もない」という焦りのような感情があったからだという。
真田佳明氏
「会社がなくなるかもしれない、という時期がありまして、わたし自身、いまが人生の岐路かなと考えていました。仮に会社がなくなったら、自分はその後、生き延びていけるだろうかと。そんな自問自答を繰り返していた時に、中小企業診断士という言葉が目に入ってきたのです」
日常業務が終わった後、夜間に教室へ通う日々が1年以上続く。「肉体的には大変だった」と真田氏は語る。しかし、「教室通いは、新しい知識が得られる喜びに満ちていた。だから続けられたんだと思います」と、その顔は晴れやかだ。
「さらにいえば、これは自分の人生に関わることですから。いま、ここで本気にならなければ、いつなるんだ、と思っていました」
最初に学ぶことになる「企業経営理論」が一番面白かったそうだ。財務・会計のような実務や経済学のような学問的な部分は後回しで、まず企業経営の最もリアルな部分に触れられる、という点が良かったのだろう、と真田氏は振り返る。
途中でくじけそうになったことはないのだろうか。真田氏は「一度もありません」と断言する。
「ここ(教室)に来ると、同じ志の仲間がいますからね。講座を通じてクラスの仲間が友達になってしまうんです。年齢も業界も違う人たちですけれど、すごく刺激になります。今でも飲みに行ったりしていますよ」
クラブ活動みたいだった、と真田氏は表現する。教室はさながら「部室」といったところだろうか。
エンジニアが中小企業診断士の合格に有利な理由
栃尾氏と真田氏、両名が口をそろえるのは、「受かるかどうかは重要ではない」ということだ。意外に思うかもしれないが、中小企業診断士の資格取得に向けて学ぶ、そのプロセスと、そこで得る知識こそが重要なのだ。「合格するかどうかは、1つのアウトプットでしかない」と真田氏は笑う。
日本マンパワー 栃尾祥之氏
栃尾氏は「エンジニアがキャリアアップしていくのに、経営の知識は必須」と語る。プロジェクトマネージャやITコンサルタントを目指すのであれば、エンジニアリングの知識だけでは、顧客企業の経営課題を適切に解決することはできないのだ。中小企業診断士の講座にシステムエンジニアが多いのは、そうした理由があるからだと栃尾氏は分析する。
また、「システムエンジニアは中小企業診断士の資格取得に有利だ」と栃尾氏は秘密を明かす。中小企業診断士の1次試験は「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・政策」の7科目。合格基準は「総点数の60%以上で、かつ1科目も40%未満の科目がないこと」である。つまり、平均点が60点を超え、なおかつ40点未満の「赤点」を取らなければよいということだ。システムエンジニアにとって「経営情報システム」は得意中の得意分野。ここで平均点を上げ、苦手な分野をフォローすることが可能なのである。
日本マンパワーでは、これら7科目を単純に教えるだけではなく、ゼミ形式のインタラクティブな講義を通じて、積極的に議論に参加する場を作っている。中小企業診断士はコンサルタントなのだから、議論を通じて「自分の考えをまとめ、それを他人に伝える」能力が必要なのだ。ゼミ形式は、その能力を育成するための工夫なのだと栃尾氏は語る。
こうしたインタラクティブな講義は、定期的に開催している講座説明会で実際に体験することができる。また、8月30日には「【IT×診断士】資格を仕事に最大限に活かすセミナー(大阪)」が、9月12日には「【IT業界から転身!】〜独立診断士3年間の活動履歴〜(東京)」が開催される。興味を持った読者は一度、説明会に足を運んでみてほしい。
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(*2:「キャリアプランナー」は日本マンパワーの登録商標です)
提供:株式会社日本マンパワー
企画:アイティメディア営業企画
制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2009年8月30日
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