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不況による新入社員採用数の減少、コストの削減、「すぐに使える新人が欲しい」という現場からの要望――例年以上に、教育担当者は新入社員研修に関して、頭を悩ませているようだ。
グローバル ナレッジ ネットワーク
企画本部企画第一部部長
猪狩健治氏
日々、新入社員研修担当として、教育担当者と対話をするグローバル ナレッジ ネットワーク 企画本部企画第一部部長 猪狩健治氏によると、ときおり新入社員教育に関する「誤解」があるという。
通常、新入社員教育というと、入社してから行うマナー研修や技術研修のことを思い浮かべる人が多いという。しかし、猪狩氏は「新入社員教育は、4月から6月にかけての3カ月が全てではない」と主張する。
「新入社員教育は、2年スパンで考えるべきなのです。特に4月から6月にかけての新入社員研修を効果的に実施するためには、研修の前後をしっかりと設計しておくことが必要不可欠です」。
同社は、採用決定後の内定者研修や新入社員研修の期間だけではなく、配属後のOJT、研修成果の振り返り、次年度の研修計画までが「新入社員教育」だととらえている。「短期視点の研修は、研修後の効果の持続が期待できない」と猪狩氏は語る。
新入社員をオープン講座に入れるのは得策ではない
グローバル ナレッジ ネットワークでは、「NEW TRAIN(R)」「MIX TRAIN」という2つの新入社員研修プログラムを用意している。
「NEW TRAIN(R)」は、1社専用サービスで、10名以上の新入社員がいる企業を対象としている。「MIX TRAIN」は、複数社・少人数の新入社員が集まる合同研修で、企業につき1人から参加することが可能だ。「MIX TRAIN」は、1社向けの「NEW TRAIN(R)」と同様の充実した内容であるため、採用人数の減少やコスト削減を行っている企業の注目を浴びている。
通常、採用人数が少ない企業はオープン講座を利用するケースが多い。しかし、猪狩氏は「新入社員研修としてオープン講座を利用することは、新入社員研修の性格上、実は得策ではありません」と指摘する。
オープン講座は、あくまでも社会人向けの講座であって、新入社員向けの運営は行わない。『入門』とあっても、大学を卒業したばかりの新入社員にはついていけない場合が多く、結局自社に戻ってから再教育しなければならないこともあるという。
目標設定によって、自主的な行動力を身に付けさせる
では、オープン講座とは違う、新入社員向け研修ならではの特徴とは何だろうか。同社 ソリューション本部 コンテンツ開発グループ ラーニングデザイナーの宅島美絵氏は「プロジェクトマネージャのアサイン」と「目標設定と振り返りができること」だと説明する。
ソリューション本部
コンテンツ開発グループ ラーニングデザイナー
宅島美絵氏
「NEW TRAIN(R)」や「MIX TRAIN」では、1人のプロジェクトマネージャが、新入社員研修全体を把握する。プロジェクトマネージャは、新入社員それぞれの特徴や様子を、自分の目と講師との打ち合わせによって、毎日のように確認する。
これは、講座ごとに講師が入れ替わり、新入社員全体を見ることができないオープン講座とは大きく異なる点だといえるだろう。プロジェクトマネージャと講師が情報共有を徹底するため、もし何か問題があった場合でも、すばやく対応することができる。
「目標設定をしっかり行い、振り返る」ことも、新入社員研修ならではの特徴だ。通常、オープン講座に参加する人々は、「自分はこういう技術を身に付けたい」という明確な目標を持っている。しかし、新入社員は目標が曖昧(あいまい)な場合が多い。目標設定は、新入社員が「自ら学ぶ」姿勢を身に付ける重要な要素である。そのため、「NEW TRAIN(R)」や「MIX TRAIN」では、オリエンテーションや受講日誌、研修の手引きを使用して、新入社員が目標を設定し、振り返りを行う手助けをしている。
一方的に教えられることに慣れてしまっている新入社員たちに、突然自主的な行動を求めるのは難しい。しかし、現場で必要なのはまさにこの「自主的に動く行動力」なのだ。 そのため、「NEW TRAIN(R)」や「MIX TRAIN」では、新入社員に自主性を身に付けさせるためのさまざまな工夫を凝らしている。
例えば「日直制度」。1日2名、日直に指名された新入社員は、教室の整備などを行う。このことにより、「研修は自分たちが作っている」という意識を新入社員に持たせることができるという。
また、受講日誌には「講義内容に関する質問を書いてはいけない」という決まりがある。「分からないことは講義中に解消するべき、というのが基本的な姿勢です」と猪狩氏。受講日誌に質問を書いてはいけないという決まりがあると、新入社員は授業中に疑問を解消するようになる。初めは皆、手を挙げて質問をしようとはしないが、だんだんと手を上げて積極的に質問をするようになるという。
「自ら学ぼうとする姿勢を研修中に体得しておくと、研修が終わってからもその効果が持続するんですよ」と猪狩氏は狙いについて語る。
さらに同社は、2010年から「自律性」を養うためのコースを提案する。同コースでは、「目標を設定し、目標達成のための行動を確認する癖」を付けさせるために、新入社員に社会人として「こうなりたい」という目標、つまり自分が身に付けたいスキルや姿を書かせる。また、設定した目標に対する日々の行動をグループ内で発表する機会も設ける。他者の評価を受けることで、新入社員は自分の目標達成度を客観的に知ることができるという仕組みだ。
300項目にも上るインタビューを実施
理想の人材像は、企業によって異なる。それぞれの企業に合わせたサービス提供を可能にするため、グローバル ナレッジ ネットワークでは、研修実施前に徹底した打ち合わせを行っている。
企業へのヒアリング・インタビューは、数時間をかけて複数回実施する。質問項目数は300近くにものぼる。研修の目的、研修で目指す人材像から、遅刻・早退・残業に対する考え方、日々の行動指針に至るまで、研修ニーズの詳細を徹底的に打ち合わせる。
300近くの項目を、
何時間にも渡って徹底的に検討する
ニーズの詳細を綿密に把握することで、講師側はクライアント企業の要望を研修に反映させることができる。インタビューは、クライアント企業からも、思考を整理する良い機会になると評価されているという。打ち合わせ内容は、講師と新入社員それぞれに配布する「研修の手引き」に記載し、研修全体に適用する。
新入社員研修を成功させるコツ
最後に、猪狩氏に、新入社員研修を成功させるコツを聞いた。
「教育担当者の方が初めから終わりまで関わろうとする研修は成功します。『そちらに預けたので、後はお任せします』という担当者の方もいらっしゃいますが、教育担当者の方に積極的に関与していただかないと、結果的に期待された効果は出にくいのではないでしょうか。例えば、新入社員は、担当者の方が頻繁に顔を見せると、『自分達は期待されている』と安心して頑張るものです」。「後は任せました」型の担当者に、担当者の関与の大切さを熱弁し、結果的に非常に良い研修ができた事例もあるという。
うまくいかない研修もある。「MIX TRAIN」で、日程が合わないなどの理由で一部のコースだけ受講させると、研修効果が薄れる場合がある。例えば、ヒューマンスキル研修を受けずに技術講座だけを受けた場合、「別の場所でヒューマンスキルについて学んできたかどうか」「どう学んできたか」が分からないため、人間性を含めた評価をすることが難しくなる。
「わたしたちは、トータルで研修を提供できるのが強みです。配属後に研修効果を継続させるためにも、最初から最後まで受けていただきたい」と猪狩氏は語る。
教育担当者同士で交流ができる無料セミナー
研修プログラムに関して、より詳しい情報を知りたい場合は、同社主催の無料セミナーに参加してみるのもいいだろう。セミナーでは、導入の具体的な事例、内定者研修用のeラーニング教材「ITルーキーズ 応援パック」などを紹介する。
「新入社員研修における7つのルール」のチェックをする機会も設けてある。
- 適切な研修・育成期間を獲得しているか
- 適正な研修環境を考えているか
- ステークホルダーを巻き込んでいるか
- 2-6-2の法則を考慮しているか
などの「7つのルール」を、詳細なチェックリストで確認できる。「普段から考えているつもりでも、確認してみると、不足している部分があることを実感する」と参加者の1人は語る。
セミナー参加者の間で評判を呼んでいるのが、「ダイアローグ」と呼ばれる情報交換会だ。ここでは、人事や教育担当者がお互いに、新入社員教育に関する悩みや、「こうしたらうまくいった」「こうしたら駄目だった」などの経験談を交換することができる。
多くの教育担当者たちは、同じ立場にある人との出会いが少ないという。同じ立場の者同士が話をすることでしか得られない「気付き」もあるだろう。気になった人は、グローバルナレッジ主催の無料セミナーに足を運んでみてはいかがだろうか。
提供:グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社
企画:アイティメディア営業企画
制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2009年10月24日
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