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「先進的なネットビジネスを始める際に、法律面から見た、サービス提供者が行うべき事項がほとんど定まっていないことが悩みの種でした。そのような、かなり先行した分野、『まだカテゴライズされていない領域』について学べる、というのが魅力でした」
みずほ情報総研に勤める高尾美由紀さんは、情報セキュリティ大学院大学に入学したきっかけをそのように語る。
当時、高尾さんはネットバンキングサービスの企画支援に従事していた。法律面から見た「サービス提供者が準備すべき技術要件」や「サービス提供者と利用者、それぞれが負う法律面でのリスク」を考える必要があった。しかし、数多くのITベンダや有識者にヒアリングしてきたものの、誰も明確な答えを持っていなかったという。
「ネットビジネスの世界では、法解釈が現実に追い付いていないケースが多い。新サービス企画における法律面の確認は、相当の部分を自分で研究するしかありませんでした。半年くらい研究できる場を探して、情報セキュリティ大学院大学にたどり着いたのです」
情報セキュリティ大学院大学では、ネットワークや暗号技術といった情報セキュリティの技術だけでなく、情報セキュリティにまつわる管理運営や法制度・倫理といった領域のカリキュラムも取りそろえている。ネットビジネスを立ち上げる上で、法制度や情報倫理といった分野の知見は不可欠だ。「ここなら自分の求めている研究ができる」――そう高尾さんは確信した。
先進的なネットビジネスにおける法解釈を学ぶ
情報セキュリティ大学院大学への入学の決め手となったのは4つ。まず、カリキュラムの自由度が高かったことである。前述の通り高尾さんは、まだ世間に出ていない、先進的なネットビジネスにおける法解釈を研究する必要があった。技術だけでなく、管理運営や法制度をカリキュラムに組み込めるのは、この大学院以外になかったという。
2つ目は「通学期間が2年『以上』」だったことだ。多忙だった高尾さんは「2年間で卒業できるか不安であったため、それ以上の時間をかけることができるという点で安心できた」と語る。結果として、高尾さんは仕事の合間を縫って研究に励み、2年で卒業することができた。
合わせて、「横浜駅の近くで、会社と自宅の間にあったこと」と、「土曜日も授業を実施していたこと」が高尾さんの希望に合致したという。
幅広い講義内容で、2種類の「セキュリティ人材」を育成
「技術だけでなく、法律やマネジメント系の知識を学べる大学院はなかなかありませんでした。そういう点で、この大学院はわたしにとても適していました」
情報セキュリティ大学院大学では、育成する人材像として2つのモデルを用意している。情報セキュリティの知見を企業戦略に生かす「情報セキュリティマネージャ」と、セキュアなシステムやプロダクトの開発、設計、構築を実現する「情報セキュリティエンジニア」だ。
高尾さんは主に「情報セキュリティマネージャ」寄りのカリキュラムを選択した。「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」や「プレゼンテーション技法(カリキュラム変更により、現在は『Presentations for Professionals』と『マスメディアとリスク管理』の2科目に分かれている)」などを始め、幅広い分野の科目を履修することができる。
中でも特に「衝撃的だった」というのが「セキュア法制と情報倫理」という科目だという。「情報セキュリティをめぐる倫理と法」「『情報窃盗』という概念と倫理性」「知的財産の侵害と救済」「『自己情報コントロール権』と個人情報」など、ITやインターネットの世界を法律でどう定義すればよいのかについて、学長の林紘一郎教授と、サイバーリテラシー研究所の代表でもある矢野直明客員教授が講義を行う。
「いまの日本の法律は、明治時代の法律にマイナーチェンジを繰り返してできています。基本的には『有体物』、つまり手に取ることができるものしか対象にしていません。そのため、ITやインターネットの世界に追い付いていない。ITに対する法律の根本的な問題を講義してくれたのがこの科目でした」
この講義は高尾さんの仕事にも直結した。ネットバンキングサービスにおける法律的な整備やリスク回避を研究する上で、この講義は非常に役立ったという。
「履修した科目の中で、一番大変だったが、同時に大変面白かった」のが「セキュリティ管理と経営」という科目だ。「守り」としての情報セキュリティではなく、情報セキュリティをビジネスに結び付けていくというコンセプトの下、「実際にセキュリティ製品の会社を立ち上げたつもりで事業計画書を作る」などの課題に取り組んだ。
「不正アクセス技法」という科目は、情報工学者として有名な神戸大学の森井昌克教授が「インターネットの世界で何が起きているか、最先端の話題を取り上げてくれる」という内容で、高尾さんにとって楽しみな講義の1つだったそうだ。例えば、リアルマネートレーディング(RMT)が、まだそれほど話題になっていなかった2006年段階で、同講義で取り上げられた。それも、単純な解説ではなく、通常ではなかなか知り得ない「裏事情」についての話が含まれていたという。
「次のネットビジネス」を考えるための、新しい視点
「ネットビジネスの世界では、現実が法律を追い抜いてしまう。そのような状況で重要なのは『本質論』です。法律やビジネスの『本質』に立ち戻って学ぶことで、次のネットビジネスを考えるための新しい視点が得られます。そういう視点を、この大学院は与えてくれました」
ネットビジネスについて、「ビジネスとして成功させる方法」や「実際に構築する技術」を学べる場所はほかにあっても、「すべての人が安心して使えるものにするための知識」を学べるのはここしかない、と高尾さんは語る。
さらに、「ネットビジネスや情報セキュリティの各分野の最先端の人たちと出会える」こともこの大学院の魅力だと高尾さんは付け加える。集まる学生や講師陣も「世の中にまだあまり知られていない最先端の領域」について模索している人たちだ。人脈作りという観点でも非常に魅力的だといえるだろう。
高尾さんの話からも分かるように、情報セキュリティ大学院大学は「情報セキュリティ」の名を冠しながらも、取り扱う内容は多岐に渡る。ITやインターネットの世界で「次のビジネス」を模索している人であれば、きっと得るものがあるだろう。興味を持った方は、まずは説明会(11月と12月)に足を運んでみてはいかがだろうか。
大学院(情報セキュリティ研究科)説明会 [regular] | ||||||
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大学院(情報セキュリティ研究科)説明会 [plus] | ||||||
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提供:情報セキュリティ大学院大学
企画:アイティメディア営業企画
制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2010年1月31日
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