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今年度は、不況で新卒採用の人数を大幅にしぼる企業が少なくなかった。学生にとっても苦しかったが、企業にとっても苦しかったはずだ。このような状況下では、せめて厳選採用した「少数精鋭」の新入社員たちはしっかり育てたい、というのが人事・教育担当者の本音だろう。
新入社員教育には、どのようなポイントが重要となるのか。IT業界における新入社員研修の大手、富士通ラーニングメディアに話を聞いた。
人事・教育担当者の熱意が、新入社員を動かす
富士通ラーニングメディアでIT人材の新入社員研修サービスを担当するナレッジ・ウィング本部の城陽子さんは、「人数が少ない分、新入社員教育に力を入れたいと考える企業は少なくない」と語る。
ナレッジ・ウィング本部
城陽子さん
「厳選採用のためか、近年は新入社員のスキルレベルは全体的に高い傾向にあります。ただ、それでも個人差はあります。彼らのスキルの底上げという点で、新入社員研修サービスに期待していただいているケースが多いですね」(城さん)
企業の人事・教育担当者の熱意はすごいものがある、というのが城さんの見解だ。富士通ラーニングメディアに新入社員研修サービスを依頼している企業の多くは、人事・教育担当者が丸投げをせず、研修会場に毎日顔を出し、新入社員や研修講師と積極的にコミュニケーションを交わしている。
こうした企業の場合、新入社員も「放ったらかしではない」「見られている」という意識を持ち、研修に対するモチベーションが上がる傾向にある。
「飛び出さない」新人たち。でも能力は高い
近年の新入社員の特徴として、富士通ラーニングメディア ナレッジ・ウィング本部の冨加見卓弘さんは「飛び出さない人が多い」と語る。
ナレッジ・ウィング本部
冨加見卓弘さん
「自分が飛び出さないようにコントロールしているように見えます。トップにもならず、逆にビリにもならないように。なるべくみんなと足並みをそろえたいのかな、という印象を受けます。リーダーシップを取るタイプも少ないですね」(冨加見さん)
富士通ラーニングメディアの新入社員研修では、グループワークを多く取り入れている。リーダーシップを取る新入社員が少ないとのことだが、どのような工夫をしているのだろうか。
「リーダーを持ち回り制にする、という形を取ることが多いです。実際にリーダーをやってもらうと、持っている能力が元々高いので、できる方が多いです」(城さん)
最近の新入社員は、基本的な能力は高い。それを発揮できる環境をうまく整えてあげることが、教育担当者には求められるということのようだ。
3つのコンセプトで新入社員をプロフェッショナルに
富士通ラーニングメディアの新入社員研修の内容についても見てみよう。富士通ラーニングメディアでは、3つのコンセプトで「新入社員の土台作り」に取り組んでいる。
- 社会人としてのマインドを醸成
- 業務に必要なIT基礎知識・スキルを徹底的に修得
- 社会人としてのビジネススキルを修得
●プロフェッショナルという意識を定着させる
まず何よりも重要視しているのは、「お金をもらって働く」という意識を植え付けることだ。「学生気分」からの脱却は新人教育において重要なポイントといえる。
富士通ラーニングメディアでも、研修期間中に「社会人として求められるマインド」が定着するように指導している。講師にとって新入社員は「お客さまからお預かりしている」形ではあるが、ビジネスの現場における「上司」のように振る舞い、厳しく接することで、「働く」ということに対する意識を実感させている。
●定期的なレビュー機会で「報告」の習慣付け
続いて、ITスキルの習得。ハードウェアからOS、データベース、ネットワーク、さらにJavaやCなどの言語スキルの基礎を学ぶことになる。特に、オープンコースに含まれる「ロジック研修」が好評だ。
「ロジック研修では、アルゴリズムや言語について学んだあと、課題に取り組んでもらいます。その際、成果物を毎回、講師がレビューするのが特徴です」(城さん)
設計→レビュー→プログラム実装・テスト→レビュー……という具合に、その都度、講師がレビューを行う。これにより、ITスキルの向上はもちろん、「こまめに報告する」という習慣付けや、「適切に報告する」というスキルの向上にも役立っている。社会人エンジニアとして求められる基本動作が、研修の中で自然に養われるのだ。
●システム基盤の要素技術から実際の設計・構築までを学ぶ新設コース
また、今年度からは「システム基盤構築研修」が新設された。Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバ、バックアップサーバといったシステム基盤の基礎を学び、実際に環境設計から構築、基盤テストまでをグループで取り組む。
この研修を通じて、OSやデータベース、ネットワークの要素技術を学ぶとともに、運用管理の考え方や、システム基盤の設計・構築の理解の促進を狙う。オープンコースでは16日間と、ロジック研修に匹敵する期間を割いていることからも、富士通ラーニングメディアの力の入り具合が分かる。
「以前も同じようなコースはあったのですが、もっと短期間でした。しかし企業からのニーズが多く、今回このように新設しました」(冨加見さん)
ニーズの背景には不況の影響があるのではないか、と冨加見さんは語る。不況で新規の開発案件が減っている昨今、新入社員がすぐアサインされる開発案件は少ない。どちらかというと、運用を担当することが多かったのだろう。実務で必要となる運用管理の知識を、新入社員研修でしっかりと学ばせてほしい、というのはよく分かる。
●ロジカルシンキングから文章作成まで
最後に、ビジネススキルの修得が挙げられる。ロジカルシンキングや問題解決スキル、プレゼンテーションスキル、文章作成スキルなど、ビジネスパーソンとして求められるスキルのカリキュラムが用意されている。
トレンドを追いかけ、自分で考え、アウトプットする
さらに、今年度は「ITトレンド研修」というコースをリニューアルした。2006年にできたこのコースは、これまで情報セキュリティに関する研修という色合いが強かったが、情報セキュリティ自体は専用コース化し、より「ITトレンド」という言葉に即した内容に変化させる。
内容としては、まず「ITトレンドを常に追いかける重要性」を説き、実際に近年のトレンド――今年度はクラウドやHTML5などを取り上げる予定だ――について紹介する。ただし、これらはあくまで座学であり、メインはこの後に行うグループワークだと冨加見さんは語る。
「『トレンドを引っ張っていく』という力を養ってもらいます。具体的には、実際に最近のトレンドについて各グループに調べてもらい、さらにそれがどう活用できるか、どんなサービスが考えられるか、どんなビジネスモデルが実現できそうか、といったことを考え、発表してもらうのです」(冨加見さん)
インプットだけでは、それで終わりである。アウトプットを行うことで、研修が終わった後も「日々トレンドを追いかけ、それについて考える」という行動が持続するよう、習慣付けを狙う、というのがこのコースの趣旨だ。
近年のIT業界では、新しい技術について調べて勉強会で発表する、というエンジニアが増えている。習得した知識を自分なりにアウトプットする習慣をつけるのは、エンジニアにとって非常に重要だ。このコースは、そうした「現代型アウトプット志向エンジニア」を育成するのに適しているといえる。
「教育に対するこだわり」を実現する
IT業界の新入社員研修といえば富士通ラーニングメディアは「老舗」といわれる存在だが、そのブランドに拘泥することなく、常に研修内容をブラッシュアップしている点も大きな魅力だ。
「お客さまからいただいたフィードバックを元に、常に研修内容を成長させています。特にロジック研修は好評なコースですが、毎年PDCAサイクルを回し、フィードバックを元に常に改善させようと努力しています」(冨加見さん)
また、なるべく顧客のニーズを組み込む、というのも富士通ラーニングメディアの特徴だ。近年は企業ごとにこだわりが強く、ニーズが千差万別である。それらはすべて「熱心に新入社員を教育しようという熱意の現れ」であるとし、なるべくニーズに合わせた研修コースとなるよう工夫を重ねているという。
「例えば『クラウド環境のシステム構築を研修で学ばせたい』というお客さまがいました。このときはセールスフォース・ドットコムのサービスを活用して、お客さまと一緒に研修課題を作りました。別のお客さまでは、『品質管理について演習を交えて研修を行ってほしい』というご要望がありましたので、実際にお客さまの企業で使われている品質指標値を、研修の中に組み込むという形で実施しました」(城さん)
新入社員の教育にこだわりがあればあるほど、富士通ラーニングメディアの新入社員研修は適しているといえそうだ。厳選採用した大切な新入社員を「プロフェッショナル」に育て上げるための選択肢として、ぜひ候補に入れてみてほしい。
富士通ラーニングメディアは新入社員研修に関する無料セミナーを実施する予定だ。興味を持った人事・教育担当者は、まずはセミナーに参加してみてはいかがだろうか。
【無料セミナー】 2011年度 新入社員の育成を考える | ||||||
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提供:株式会社富士通ラーニングメディア
企画:アイティメディア営業企画
制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2010年10月29日
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