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ITエンジニアは、常に新しい知識や技術を追いかけ続ける必要がある。実務では学べない体系だった知識を習得するためには、どうしたらよいだろうか。選択肢の1つとして、社会人大学院がある。だが、近年は一般的になりつつあるものの、まだまだ抵抗がある人は少なくないだろう。
「仕事と学業を両立させられるか不安」
「求めているものが学べるのだろうか?」
こうした悩みはどのように解決したらよいか。「いきなり入学ではなく、少し『お試し期間』が取れれば」――実は、そのような制度は存在する。公立大学 産業技術大学院大学が提供する「AIIT単位バンク制度」を活用して仕事と学業をうまく両立させている社会人学生に話を聞いた。
まずは科目等履修生として
「入試には受かったのですが、実際に入学するかはちょっと迷っていました。そのとき『AIIT単位バンク制度』を知って、まずは科目等履修生として始めてみようと決意しました」
製造系大手企業で、計測技術と、その技術を活用した業務プロセスの開発に携わるエンジニアの渡辺将弘さんは、産業技術大学院大学 情報アーキテクチャ専攻で学び始めたときのことを、そのように語る。現在30代中盤の渡辺さんは、職場でさまざまな「技術プロフェッショナル」たちに囲まれる中で、「自分は彼らとは違う部分を伸ばして差別化したい」と考えるようになった。ソフトウェア開発の上流部分や、アーキテクチャのデザインについて学びたいと思い、いくつかの社会人大学院を検討した結果、産業技術大学院大学を受けることにした。
渡辺将弘さん
「ソフトウェア開発の上流部分から実際のテクノロジの部分までトータルで実践的に教えているところは、ここを含めてあまり多くありませんでした。家と勤務地の関係で、場所も良かったので、まずは受験してみることにしました。公立の大学院なので、財布に優しいのもうれしかったですね」
こうして2008年8月に受験した渡辺さんは、見事合格。だが、実際に入学するかは迷っていた。本当に自分の求めていることが学べるのか。そして、自分はやっていけるのか――。
そんなとき、渡辺さんは導入されたばかりの「AIIT単位バンク制度」を知る。これは、科目等履修生として修得した単位を蓄積し、正規学生として入学した際に活用できる制度のことだ。単位バンクに蓄積した単位は、その後に正規学生として入学すると、5年前までの分は修了単位として認定される。また、認定単位数に応じて授業料減額が受けられるのである。
まずは科目等履修生として挑戦してみよう。そう考えた渡辺さんは、「マイニング技術特論」「データベースシステム特論」「情報システム特論II」「情報ビジネス特別講義III」の4科目を学び始めた。週2回、仕事のあとや土曜日に、大学院に通う生活が始まった。
半年後、改めて入学。アーキテクチャエンジニアを目指す
半年ほど科目等履修生としての生活を続けた渡辺さんは、2009年4月、正式に入学した。科目履修生として修得した単位は、そのまま単位バンク制度を利用して単位認定を受けた。
「半年通ってみて、求めているクオリティが学べると思いましたし、仕事が忙しくない時期だったこともあって、両立も可能だろうと判断して、実際に入学することにしました」
現在はデータモデリングに関する研究PBL(Project Based Learning=問題解決型学修)に参加しているという渡辺さん。PBLは、課題解決をグループで行うというスタイルの講義だ。渡辺さんのPBLでは、企業との共同プロジェクトを通じてアーキテクトとしてのコンピテンシーを高めることを目標としている。
「エンジニアが進む道として、テクノロジエンジニアか、アーキテクチャエンジニアか、という方向性があると思います。わたしは後者に進みたいと考えています」
「まずは、やってみないと分からない」
仕事との両立については、「単位バンク制度のおかげで、結果的に助かっている」と渡辺さんは正直に語る。
「講義の時間までに仕事を終わらせるのは、それほど大変ではありません。ただ、講義に最後まで参加していると、やっぱり翌日の朝はつらいですね」
履修科目はあまり欲張って取り過ぎないように、優先順位を付けてバランスを取っている。「本当はもっと開発系の講義も取りたかったんですが、生活とのバランスを取るために我慢しています」と渡辺さんは苦笑い。こうしてバランスに注意しつつ、すでに単位を取り終えている「貯金」を活用することによって、仕事と学業の両立は問題なく行えているそうだ。
産業技術大学院大学 情報アーキテクチャ専攻の良いところはどんなところだろうか。
「教員の方々が、ただの研究者ではなく、実際のビジネスの現場で研究・開発してきている、という点は大きいと思います。実社会と接してきているわけで、その経験が講義にも現れています。特に、上流工程で活躍してきた方々の講義を受けられるのは、貴重な機会だと思います」
AIIT単位バンク制度についても「おすすめ」だと語る。
「入学する前に、科目等履修生として試し、判断できるというのはとても大きいと思います。結果的に入学しなくても、そこで学んだ知識は無駄になりませんし、入学するとしたら、それまでの分が活用できる。悩んでいる人は、まずはこの制度を活用して試してみるといいと思いますよ」
自分の求めていることが学べるか。方向性は合っているか。そして、仕事と両立できるか。「いろいろな意味で、試してみるといい。まずはやってみないと分からない」――そう渡辺さんは「未来の後輩」に対してエールを送った。
第2期推薦入試に向けた大学院説明会・キャンパス見学会 | ||||||
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提供:産業技術大学院大学
企画:アイティメディア営業企画
制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2010年10月31日
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