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「指示待ち社員」はもういらない! 新入社員を“自律”させる育成ノウハウ

ここ数年の傾向として、新入社員に「自律」を求める教育担当者が増えてきた。新入社員を「指示待ち」社員にせず、自ら考えて動く社員に育てるには、どのようにすればよいのか。新入社員育成のプロフェッショナルが、ノウハウを紹介する。

新入社員教育、多くの担当者が「自律してほしい」と悩んでいる

 今年も、次年度の新入社員研修のことを真剣に考える季節がやってきた。毎年、数多くの育成担当者や人事担当者と話をするグローバル ナレッジ ネットワーク ソリューション本部 NEW TRAIN担当部長 猪狩健治氏によれば、ここ数年、担当者が口をそろえていうトレンドの「キーワード」があるという。

グローバル ナレッジ ネットワーク ソリューション本部 NEWTRAIN担当部長 猪狩健治氏  
グローバル ナレッジ ネットワーク
ソリューション本部 NEW TRAIN担当部長
猪狩健治氏

 「どうやったら、新入社員が“自ら動く”エンジニアに育ってくれるのだろう……」

 「自発的に行動できる学生を採用したはずなのだけれど、どう育てればいいの?」

 企業規模や業種の違いにかかわらず、「新入社員を“自律”させたい」と悩む担当者が圧倒的に増えてきたと、猪狩氏は指摘する。

 「自律させる育成」、言葉でいうと簡単そうだが、実際に考えるとかなり難しい。そもそも「自律」の定義は何か、新入社員に何が足りないのか、そして「自律」をどう教えればいいのか――?

 これらの問いに答えるため、グローバル ナレッジ ネットワーク(以下、グローバルナレッジ)は新プログラムを開発し、2010年度の新入社員研修で実践したという。今回は猪狩氏に、その中でも特に効果があった「新入社員を自律させる」ノウハウを語ってもらった。

「自律したエンジニア」とは、どのような人か?

 そもそも、「自律」とは何か、「自律したエンジニア」とは一体どんな人なのだろうか。猪狩氏は「自律した人」=「自分で考えて行動できる人」という定義を示した。

 自律できていない人とは、いわゆる「指示待ち社員」のことを指すようだ。「『いわれるまで動こうとしない』『何のために行動しているのか考えようとしない』人は、いつの時代にもいます。しかし、ここ数年の新入社員を見ていると、指示待ちタイプの比率が増えてきたように思えます」と、猪狩氏は指摘する。

 毎年、何百人もの新入社員と接している講師陣から見て、最近の新入社員にはどのような特徴があるのだろうか。

 「わたしは『今年の新人は○○タイプ』といった世代論は、頭から信用はしません。ただ、近年は『失敗を怖がる』傾向が、以前より強くなったと思いますね」(猪狩氏)

 失敗を怖がるタイプの人は、「取りあえず上の人が与える指示を遂行しよう」と考える。すると、当然「指示待ちタイプ」になってしまう。研修担当者が「自律してほしい」と悩む所以(ゆえん)だろう。

 もちろん、良い傾向もあるようだ。例えば、「団結力の高さ」。昔は何十人もの新入社員が集まれば必ず一匹狼タイプがいたが、最近はあまり見られない。「助け合う文化」が根付いていて、できる人ができない人を上手に教える場面もしばしばあるという。猪狩氏は、「システム構築はチームでやる仕事。いろいろな企業の新入社員が集まって団結するのは伸ばすべきポイント」と評価する。

自律はまず「癖」をつけるところから

 「団結力」はあるが、「指示待ち」傾向――こうした新入社員を「自律」させる研修として最も効果があったのが、集合研修MIX TRAINで実施した「自律と成長の心理学」コースである。本コースの軸は「新入社員に自ら目標を立てさせて行動してもらうこと」にある。

 やり方は非常にシンプルだ。「なぜ自律しなければならないか」について説明する座学の後、新入社員1人ひとりに日々の行動目標を記入するシートを渡す。新入社員はシートに、「将来どうなりたいか」を考えたうえで、身につけたい日々の行動目標を書く。目標は、すぐに行動できるようなものにしてもらう。例えば、

  • グループワーク中は必ずメモを取る

  • ほかの人が話しているときは話を遮らない

  • 自分が話すときは、人の目を見て話す

といったことだ。そして、毎週1回、4〜5人のチーム内でミーティングを行う。新入社員は、目標が達成できたかどうかを、自分自身とチームメンバー全員でレビューする。できていた場合は目標を新しく設定し直す。この30分ほどの振り返りを、研修期間の数カ月の間、ひたすら繰り返す。

 このコースのポイントは、

  • 自分だけでなく、ほかのメンバーからもレビューをもらうこと

  • 講師は立ち入らず、新入社員にすべて任せること

  • 毎週繰り返すこと

にある。

 「自分だけでなく、仲間からの評価が大きく影響しているようです。内省だけだと『まあいいや』と思ってしまうことでも、周囲から『できていないよ』といわれると意識せざるを得ませんから」(猪狩氏)

研修の様子   
研修の様子

 チームで実施するため、「団結力が高い」新入社員の傾向をうまく生かせる。また、最初の説明時以外、講師はミーティングに立ち入らない。指示をする人間がいないのだから、新入社員は自ら考えて行動するしかない。これが「自律」につながるのである。

 猪狩氏によれば、最も重要なポイントは「ひたすら繰り返す」ことにあるという。「目標設定⇒実行⇒見直し改善」という自律に必要なPDCAサイクルを「癖」にさせてしまうのだ。

「うまくいくだろうか」と半信半疑で始めた研修だったが……

 「実は、わたしはこのコースを作った当初はここまで効果が出るとは思わず、半信半疑でした」と、猪狩氏は告白する。

 「自律と成長の心理学」は「自律したエンジニアを育ててほしい」という要望に応えるため、ヒューマン・スキル系の講師陣を中心としたインストラクター部隊が「そもそも自律とは何だろう?」と考えたことから生まれている。議論の結果、「あるべき姿を思い描く=ビジョン」「それを達成するために行動する=アクション」を繰り返すことが重要なのではという結論にたどり着いた。しかし、猪狩氏は冷ややかな目で見ていた。

 「それはOJTでやるものであって、研修のコースで完全にできることではないよ」「先輩とある程度会話ができる知識が身につかなければ、そもそも自律なんてできるわけがない」――。

 ところが、トライアルとして集合研修のMIX TRAINで導入してみたところ、思いもかけない効果が出たのだ。

 「効果はいろいろありますが、まずあいさつ量が段違いでしたね。『あいさつをする』という行動目標が、新入社員の間で実践されて広がったのだと思います。講師や新入社員同士のあいさつはもちろんのこと、別の研修で来ているお客さんにも全員が元気にあいさつする。ヒューマン・スキル研修直後だけでなく、研修が終わるまでずっと続きました。これは、『自律と成長の心理学』を受けた新入社員のみに際立った特徴でした」

 研修が終了して自社に戻った後、同期同士で目標設定ミーティングを自ら継続する人、バラバラに質問に来ないで新入社員の間でまとめてから質問に来る人など、教育担当者から「昨年の新人と全然違う」と驚きの声が寄せられたこともあったという。

 高い効果が出た理由について、猪狩氏は「癖をつけることの重要性」と「新入社員自身の納得度」を挙げている。

自律と成長を促す仕組み  
自律と成長を促す仕組み(クリックで拡大します)

 「自ら学ぶ姿勢は、繰り返しによってある程度『癖』をつけられることが分かりました。また、新入社員自身が『自分はできるようになっている』と達成感を得られることが、さらに良い効果を生んだのではないでしょうか」

新入社員の知識を“定着”させるノウハウ

 「自律と成長の心理学」以外にも、グローバルナレッジでは、さまざまな研修の工夫と改善を行っている。2011年のテーマは「知識の定着」と「学習効果の高さ」だ。

 研修のゴールの1つは、「先輩社員のいっている内容が分かる」、つまり先輩社員と「会話」ができることである。「知識の修得」はもちろんのこと、「知識が定着している」ことが重要な鍵をにぎる。だが、「知識の定着」はなかなか難しい。「知識の定着」のために、同社は「試験体制の見直し」と「復習日の設置」という工夫を行い、2011年度はさらに発展させるという。

●試験体制の見直し

 まず、選択式のテストだけでなく「筆記テスト」を導入した。また、新たに「検定試験」も用意するなど、試験方式を大幅に変更した。検定試験は、ベンダ試験のように点数を細かく採点してレベルを可視化させている。

 問う知識レベルは基礎的なものだが、量は「できるかできないかギリギリのところ」を設定してある。「ちょっとムチャぶりぐらいがちょうどいい」と猪狩氏。この筆記テストや検定試験には、「大量に書かせることの学習効果」を織り込んである。

 「とある企業の研修で、『とにかく実践力がある人、1人でプログラミングできる人を短期間で育ててほしい』という要望に答えるため、1人で大量にプログラミングだけをさせる試験を続けてやりました。すると、伸び方がほかの研修とは違ったんですね。この経験を2011年度はさらに発展させるつもりです」

●復習日の設置

 「できる人とできない人の差がある」ということは、研修における大きな課題の1つである。まず、対処として思いつくのは「研修時間を増やす」ことだ。しかし、グローバルナレッジの講師陣は、あえて逆の方向に舵を切った。つまり、「復習日」という、研修を行わない日を設けたのである。復習日を設けたことによって、できる人とできない人の差が縮まっただけでなく、できる人ができない人を教えることによって両者の学習効果が高まったという。受講者からも「知識の整理に役立った」と、評価が高かった。

 この「復習日」は、フレキシブルに使えるところがポイントだと、猪狩氏はいう。もし、できる人の割合の方が大きい場合は「復習日」にする。「15人中 10人が同じ場所で間違える」場合は、講師が補講を行うといったように、新入社員の修得状態に合わせた対応ができる。

 「復習日を設定している教育ベンダは、意外と少ないのではないでしょうか。『講師が教壇に立たない』ということで担当者が採用を渋ると思われがちですが、学習効果がかえって高まる復習日の意味をきちんとお話しすると、納得してくださる担当者の方は多い」と、猪狩氏は語る。グローバルナレッジは「学習効果を高める」ための工夫をこれからも追い求めていくようだ。

異なる企業同士の情報交換の機会を提供する

 今回紹介した育成ノウハウの詳細は、同社主催のセミナーで聞くことができる。

 「『実際に導入してどのような効果があったか』『自分たちが目指す教育方針にどのように応用できるか』を知りたいという要望に応えるため、セミナーでは具体的な導入事例を相当数、紹介するようにしています。成功事例だけではなく、失敗事例こそが重要だと思っているので、できる限りの範囲で失敗事例もお話しします」と猪狩氏は語る。

 また、セミナーでは教育担当者同士の「情報交換=ダイアローグ」の機会を設けている。普段、異なる企業の教育担当者が一堂に会する機会はほとんどない。「皆、同じような悩みを抱えていることが分かって安心した」「うまくいったノウハウなど、生の声を聞く貴重な機会が得られた」と、参加者の間で評判を呼んでいる。「この情報交換があるからセミナーに参加するのだ、というご担当者もいます」と猪狩氏は笑う。

 今年は、厚生労働省の助成金制度の申請締め切りが前倒しになったことが影響してか、以前よりも「早い時期に」「詳細な」研修内容を決めなくてはならなくなった企業が多いようだ。この助成金制度の事例も、セミナーには盛り込むという。

 具体的な事例を知りたい、ノウハウを知って自社の研修に生かしたいと考える教育担当者は、同社主催の無料セミナーに足を運んでみてはいかがだろうか。

提供:グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社
企画:アイティメディア営業企画
制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2010年12月7日

グローバルナレッジネットワーク
会社概要
会社名
グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社
本社
東京都新宿区西新宿6-8-1 住友不動産新宿オークタワー 19階〜20階
会場案内
東京会場
大阪会場

■問い合わせ先
「詳しく話を聞きたい」「見積もりがほしい」など、新入社員研修に関してご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
無料セミナー
「 2011年度新入社員研修セミナー 〜イマドキの新入社員の傾向と最適ソリューション〜 」
■開催概要
日程 2010年10月20日(水):東京
2010年11月17日(水):東京
2010年11月22日(月):大阪
2010年12月15日(水):東京
2011年1月26日(水):東京
2011年2月14日(月):東京 
時間 14時〜17時30分
(13時30分受付/入場開始)
場所 グローバル ナレッジ ネットワーク
東京: 新宿ラーニングセンター
大阪: 大阪カスタマビジットセンター
定員 20名
参加費 無料(事前登録制)

■プログラム
講演1 「転ばぬ先の他社事例 〜イマドキの新入社員の傾向と対策〜」
講演2 「グローバルナレッジの新入社員研修の特徴 〜最適なラーニングスタイルの提案〜」
ワークショップ お客様同士の情報共有
体験セッション 仕事の効率UP、組織の生産性を高める、ビジネス文書の作成
そのほか キャリア形成促進助成金制度の紹介と実績
2011年度内定捨向け研修の紹介〜社会人マインド・基礎力を身につける〜
参加費 無料(事前登録制)
お申し込みはこちらから
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