SAS認定プログラムが日本で本格展開
来たる分析の時代を生き抜く
「IT×分析のプロ」になるキャリアパス
「データ分析」の時代がやってくる。企業は膨大なデータを蓄積し、そのデータを使って新しいビジネスを模索している。いま、多くの企業がデータ分析ができるエンジニアを求めている。データ分析のスキルを身に付けるなら、SASの認定資格は有効な手段の1つである。 |
いま、日本の企業の情報システムには、WebサイトのログやPOSデータなど大量のデータが眠っている。これらのデータを貯蔵するために、膨大な数のデータベースが日々稼働している。
だが、時代は次の局面に来ている。「データ分析」の時代だ。SAS Institute Japan(以下、SAS)プロフェッショナルサービス本部 エデュケーション部長の杉山真理子氏によれば、「データ分析ができる人材、データ分析のためのプログラムを書ける人材の需要が、日本企業の間でも高まってきている」という。
データ分析の需要は、ITエンジニアにとって決して無関係な話ではない。ITエンジニアの多くが抱える「技術だけでは食べていけない」という悩みを解決する手段の1つとして、「データ分析スキルの獲得」「分析のプロフェッショナルというキャリアパス」を杉山氏は提示している。
なぜ、いまデータ分析が求められているのか。新しいITエンジニアのキャリアパスとはどのようなものなのか。杉山氏に詳しい話を聞いた。
■日本では、これから「データ分析」の能力が必要とされる
SASは、大規模なデータ分析用のSAS製品を活用するエンジニアやアナリスト、コンサルタントのスキルを認定する「SASグローバル認定プログラム」の日本語版を展開している。SASの認定プログラムは世界中で受験者がおり、英語版プログラムでは約3万人が認定資格を取得している。
エデュケーション部長
杉山真理子氏
2010年9月に、「SAS Base Programmer for SAS9」と「SAS Advanced Programmer for SAS9」の日本語版を公開。さらに2010年内に、「SAS Data Integration Developer for SAS9」「SAS Platform Administrator for SAS9」「SAS BI Content Developer for SAS9」といった各種資格の認定プログラムを追加する予定だ。
SASにとって、英語以外の言語での認定試験は日本語が初めてである。なぜ、SASが日本語による認定プログラムに力を入れているのか。それは、「国際的な競争力を高めるため、日本企業にとってデータ分析は最重要事項であるから」だという。
今日、データ分析のスキルの需要は高まる一方だ。
例えば、製造業であれば、事業計画立案の精度を高める必要が出てきている。最近の急激な為替相場変動に対応するためのリスク分析も必要となる。好景気のときのように、一律な伸びを想定した計画では、もはや対応できない。営業情報や顧客情報などの多様なデータを、クロス集計を始めとする各種手法で分析し、さらに為替変動などリスク要因も加えたモデルを作成することになる。このような計画作りにおいて、高度なデータ分析のスキルが必要となることはいうまでもない。
厳しい時代を生き抜くために、企業はこれまで蓄積してきたデータを活用することに注力している。しかし、データ分析のスキル、データ分析のためのプログラミングスキルを持つ人の需要が高いにもかかわらず、日本ではまだまだ人数が少ないのが現状だ。SAS認定資格を所有している日本人は、現在300人ほどである。
■論理思考能力と技術を駆使しながら「分析」のプロになる
ITエンジニアの多くは、ネットワークの資格やデータベース管理システムの資格などを取得している。「では、これからのキャリアパス形成を考えたとき、次にどうすればよいか?」、こう杉山氏は問い掛ける。
ITエンジニアは、IT技術を駆使して「顧客の課題を解決すること」が仕事である。従来は、ITアーキテクトやITコンサルタントなど、顧客に近い立場での仕事を求めて上流工程に移っていくキャリアパスが主流だった。だが、課題解決の道は何も「システム開発」だけではない。データベースに集まった膨大なデータ資産を分析・活用できれば、IT技術を生かしながらより顧客に近い立場で「課題解決」に貢献できると、杉山氏は指摘する。
製薬や保険、通信に流通など、データ分析を必要とする領域は数多い。
「製薬会社では、新薬開発のためSAS製品のスキルは必須といえる状態です。また、保険会社では商品設計のために顧客の健康状態を中心に高度なデータ分析が必要となります。データ分析の精度を高めるため、専門的な勉強をしたいと考えている人は多いのです」
顧客が持つデータ資産をデータ分析のスキルで読み取る。あるいはプログラミングスキルを使って、読み取るプログラムを書く。IT技術と分析のスキルを組み合わせれば、より付加価値の高い仕事ができるという。需要が高い「分析のプロ」となるキャリアパスは、自らの価値を高めたいエンジニアにとって魅力的な選択肢の1つである。
「ITエンジニアとして培ってきた論理思考能力を生かしつつ、顧客に近い立場で仕事がしたい人にこそ、SASの認定資格は効果的です」
■プログラミングのスキルを問う「Programmer」
こうしたデータ分析プロフェッショナルの需要に対応できる資格が、SAS認定資格ということになる。「訓練された分析のプロフェッショナルである」という1つの基準として、SAS認定資格は有効だ。
それぞれのSAS認定資格の内容を見てみよう。
●SAS Base Programmer for SAS9
プログラミングスキルを認定する資格。データの加工と変換、データセットの組み合わせ、SASプロシージャを使用したレポート作成、エラーの識別などのスキルを問う。目安として、SASプログラミングで2〜3年程度の経験を持つプログラマを想定している。
「SAS製品にとってのSASプログラミング言語は、人間でいうと神経や血液に相当します。すべてのSAS製品をつかさどるものです。言語としては、従来の主要なプログラミング言語の経験がある人であれば、比較的なじみやすいものです。ITエンジニアがまず目指す資格として、お勧めです」
●SAS Advanced Programmer for SAS9
大規模データ分析に特有の問題への対処を含むスキルを認定する。効率化のテクニックやSAS特有のSQLコード、マクロ機能などのスキルを問う。
「SAS製品は、大容量データに強いという特色があります。ただし、下手なプログラミングだと、大容量データで極めて遅い処理になることがあります。また、ほかのデータベース管理システムをインプットとするプログラムを書く場合もあります。こうした大規模なデータ処理の実務経験に関するスキルを認定します」
●SAS BI Content Developer for SAS9
BI(Business Intelligence)のプロフェッショナルとしてのスキルを認定する。ビジネスユーザー向けのアプリケーションや、レポーティングのテクニック、Information Mapの作成、SAS BIダッシュボード・アプリケーションやSAS Stored Processの構築、多次元(OLAP)データソースの上級テクニック、メタデータ環境などのスキルを問う。
「SASの認定プログラムは、エンジニア向けの資格というだけではありません。BIは、経営企画、事業企画の担当者向けの資格ともいえます。ITエンジニアが企画担当者やコンサルタントへと業務範囲を広げるときにも助けとなってくれるでしょう。ITエンジニアの目線から見ても、BIの資格は付加価値として面白いものだと思います」
●SAS Data Integration Developer for SAS9
SAS製品で分析するデータセットを作るプロフェッショナルのスキルを認定する。アーキテクチャ定義、メタデータ作成、データ変換などのスキルを問う。
「データベースからETL(Extract/Transform/Load)ツールでデータを抽出した後、キューブなどの分析目的に即した“データマート”を作る際に求められるスキルを認定します。BIがデータ分析する“ユーザー”だとすれば、DI(Data Integration)はユーザーの分析ニーズに対するデータ環境を最適化する“コーディネータ”のような役目といえます」
●SAS Platform Administrator for SAS9
SAS製品を導入する際のスキルを認定する。コンフィグレーションの保護、モニタリング、サーバのオペレーション、ログ管理、バックアップ・プロセスの確立、ユーザーの追加とアクセス管理、データソースへの確立、メタデータ関連のセットアップなどのスキルを問う。
「SASの動作、オペレーションの方法論、権限の付与などの知識を問う資格です。システム技術者にお勧めです。セキュリティの保ち方、バックアップのやり方などのスキルを生かすことができるでしょう。管理しなければならない材料を、どう管理するか。利便性とセキュリティを目的に応じてどのように両立させるか。そうした問題に対応します」
大量のデータはすでに存在する。あとは、高度な分析ツールを武器として使いこなし、深い分析ができるエンジニアや分析コンサルタントの登場を待つばかりだ。日本企業は、彼ら/彼女らの活躍によって大きく変わっていくだろう。
提供:SAS Institute Japan株式会社
企画:アイティメディア営業企画
制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2010年12月21日
|
|
|
|