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クラウド時代の主役はネットワークエンジニアだ!
インターネットはビジネスや社会のインフラとして定着し、膨大なデータやITリソースがクラウドに収容され、必要なときに必要なデータを即座に活用できるクラウド時代が到来しました。さらにインターネットは、スマートグリッドやスマートシティへと広がり、車や家電、家や町などがネットワークにつながり始めています。
中島洋氏 国際大学 グローバルコミュニケーションセンター理事・教授 1947年生まれ。1973年日本経済新聞社入社、1988年から編集委員。この間、日経コンピュータ、日経パソコンの創刊に参加。1997年〜2002年慶応義塾大学教授。1998年〜2008年日経BP社編集委員。現在、国際大学グローバルコミュニケーションセンター理事・教授、MM総研・代表取締役所長、首都圏ソフトウェア協同組合理事長、全国ソフトウェア協同組合連合会会長を兼務。 |
クラウド時代に入り、「ネットワークエンジニアはクラウド時代の主役になった」と、国際大学 グローバルコミュニケーションセンター 理事・教授の中島洋氏は話します。
――最近は一般のマスコミにも「クラウド」というキーワードが登場しない日がないほどですが、なぜそれほどクラウドが注目されるようになったのでしょうか?
中島 「クラウド」はネットワークの劇的発展によって、CPU、ストレージ、ソフトウェア、コンテンツなどの情報資産がネットワークの中に膨大に蓄積されることで実現しました。端末は、この膨大な情報資産を活用する機能をどう装備するかに競争の場所が移っています。これがスマートフォンやiPadなどの爆発的な普及を促しているわけです。
それまでの時代を振り返ると、端末となるCPUやストレージのコストが高く、また、ネットワークが貧弱だったため、膨大なデータを収容してトランザクションを瞬時に処理するという、今日のクラウド時代では当たり前のように享受できる機能は不可能でした。
ところがCPUやストレージのコストパフォーマンスが高くなった結果、膨大なデータやITリソースをネットワークの中、つまり「クラウド」に収容できると同時に、トランザクションを高速に処理できるようになって情報ネットワークの利用方法は激変しました。また当然ですが、ネットワークのパフォーマンスが格段に向上したこともクラウドの実現を後押したわけです。
クラウド時代においては、エンドユーザーは高性能のPCやソフトウェアを所持する必要はなくなり、ネットワーク処理に特化したiPhoneなどのスマートフォンやiPadのようなタブレットデバイスなどでも間に合うようになりました。いわばクラウドは、高性能なスポーツカーではなく軽自動車でも必要な結果をすぐに得られるような仕組みなのです。
端末には、データ処理に必要アプリケーションやそれを処理する高性能なCPU、データをためるストレージがなくとも、ネットワークにつながる優れたインターフェイスさえあれば、情報リソースを適宜組み合わせることで必要な結果を得られる時代になったのです。
――ネットワークの比重が高まることによって、縁の下の力持ちであったネットワークエンジニアの役割はどう変化したのでしょうか?
中島 CPUは10年で100倍、ネットワークは10年で1000倍も性能が向上し、2000年代に入ってそのコストパフォーマンスが逆転しました。ネットワークを利用した仕組みの方が、パソコンをベースに築き上げた情報システムとしては断然、有利になった。それを見たグーグルのCEOエリック・シュミットが「オンプレミスの時代は終わった」と指摘したのが、クラウド時代の幕開けでした。
ネットワークが貧弱な時代、ITエンジニアの大きな役割はサーバやストレージ、アプリケーション、データベースを活用したシステムの開発・構築・運用でした。つい最近まで、システムの主役はアプリケーションやデータベースだったのです。
ITエンジニアは、脇役であるネットワークをブラックボックスとして扱うことで、主役であるシステムに注力すれば良かったわけです。つまり、ネットワークのお守りをネットワークエンジニアに任せておけば、ビジネスや社会に必要なシステムを構築・運用できたのです。一方、それはエンドユーザーがシステムという柵に囲われていることを意味します。
しかし、クラウドが登場した結果、エンドユーザーはシステムという囲いから解放され、クラウドを活用して必要な結果を得ることができるようになりました。問題はシステムではなく、必要な結果をいかに素早く得ることができかるかということに、エンドユーザーが気付いたのです。
いまや、システムからネットワークへというパラダイム転換が起こり、ITエンジニアはネットワークをブラックボックスとして無視するわけにはいかなくなりました。ITエンジニアはシステムだけでなく、ネットワークに関するスキルが不可欠になったのです。また、ネットワークエンジニアは従来のスキルに加えて、いま進行しているプライベートクラウドやスマートグリッド、スマートシティなどに対応できる新たなスキルを身に付ける必要が出てきました。
――そうするとネットワークに対する期待はますます大きくなり、ネットワークエンジニアの果たす役割もますます大きくなりますね。
中島 クラウド時代はあらゆるものがネットワークにつながります。EV(Electric Vehicle)や家電製品はネットワークの端末となり、必要な情報をやりとりします。例えば、EVは走行中にサーバとつながって、どこの充電スタンドが空いているのか探して予約できます。冷蔵庫はネットスーパーとつながり、使い切った野菜や肉、魚などを自動的に注文できる仕組みが実現できる段階に来ようとしています。
さらにEVは、スマートグリッドの端末として、電力のピークシフト(昼間電力消費の一部を夜間電力に移行させる方法)による電力設備の有効活用と省エネに貢献するなど、ますますネットワークのプレゼンスは高まります。
これからのネットワークは、文字通りビジネスや社会の神経網としての役割を果たすために、外界の動向を探るセンサーとの連携が不可欠になります。ネットワークはセンサーと連携して初めて従来の枠を超えた社会の神経網として機能します。そうしてこそ、社会に必要な最適なソリューションをスピーディに提供できるようになります。
いまだかつてないほど広く深くネットワークと社会をつなぐためには、ネットワークエンジニアの育成が急務となります。しかも、新たなマインドとスキルセットを備えたネットワークエンジニアが求められています。これからのネットワークエンジニアの眼前には、広大なフロンティアが横たわっています。
提供:シスコシステムズ合同会社
企画:アイティメディア営業企画
制作:@IT自分戦略研究所 編集部
掲載内容有効期限:2011年2月6日
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