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第19回 ワガママ営業を操るコミュニケーション術

Tech総研
2005/10/26

ワガママな営業にほんろうされることなく、逆にうまく操ってしまおうという提案だ。果たしてそんなことは可能なのだろうか。その秘技やいかに。(Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載)

  その1
「おまえらエンジニアは自己チューだ!」
エンジニアに対する本音から探る、営業操作術

 「エンジニアに対する本音」について100人の営業にアンケートを実施したところ、エンジニアへの不満として最も多かったのは、「自己中心的で視野が狭い。相手の立場も考えてくれ」という意見。「相手の立場」という点を分析してみると、1.顧客の立場、2.会社の立場、3.営業自身の立場の3つに均等に分類されることが分かった。

 今回はそれら3つの対象別の不満事例を基に、営業とエンジニアの橋渡しコンサルタントの松本隆博さんから、ワガママ営業をうまく操るためのアドバイスをいただいた。

今回のワガママ営業操作術アドバイザー 松本隆博さん

松下電器産業とヒューマンアカデミーの共同出資によるITベンチャー企業、ヒューマックス取締役。長年エンジニアと営業、双方の立場で活躍され、その豊富な経験に基づいたアドバイスをいただいた。ダウンタウン 松本人志氏のお兄さんとしても有名。


CASE1
顧客は神様。怒らせるなんて論外だ!
(情報サービス営業・29歳)

エピソード

 エンジニアが同席した打ち合わせで、得意先の顧客が難しい案件を打診してきた。するとエンジニアが「無理です!」と即答。顧客は激怒し、結局その仕事はよその会社に取られてしまった。無理な案件でも相手はお得意さまなんだから、多少の無理は気合で何とかしろ! そもそも顧客を怒らせるなんて非常識だ! 大体エンジニアには口下手でぶっきらぼうなやつが多い。ちょっとは相手に気に入られるよう、会話力も鍛えるべきだ。

問題点

 お得意さまには愛想よく接してほしいのが営業の本音。しかしエンジニアにしてみれば、「無理なものは無理」。相手が誰だろうとその事実は変わらない。このギャップが問題となっているようだ。

松本流コミュニケーション術
「検討します」を口癖にすべし

 経験上、エンジニアには確かに口下手な人が多いんよね。同じことをいうてもいい方ひとつで全然ちゃうのに、と思うことはしょっちゅう。営業はその辺の機微をよう知っとる(笑)。客先に悪いイメージを与えんためには、そんな営業を存分に使うべきやね。例えばお客が目の前におるときは、案件をその場で断るんやなくて「社に持ち帰って検討します」と答えればいいんです。

 その後、営業にしっかりと「できない」と伝え、角の立たない方法で解決してもらえばパーフェクト。口下手を無理に直そうとせず、口達者な営業をうまく使えばいいだけですよ。

CASE2
会社のためだ! おまえらが無理をしろ!
(機械メーカー営業・33歳)

エピソード

 他社ではできる案件を、いつも「できない」のひと言で断るエンジニアがいる。よそでできるのにうちの会社でできないなんて、単なる勉強不足か、面倒くさいだけとしか思えない。そもそもエンジニアは、自分の都合ばかり優先して会社のことをまるで考えない。難しい案件がきたらすぐに断ろうとするやつが多すぎる。もっと会社の利益のことも考慮して、多少無理な案件でも必死で残業して何とかするべきだ。それが会社のためなんだ!

問題点

 エンジニアは固定給のため、したくない仕事から逃げているとの声も多かった。営業がこのようにいってくるのには、本当にその案件が会社のためになるケースと、自分の成績を上げたいがため、会社を盾にしているケースがあるという。

松本流コミュニケーション術
「あなたも協力してください」といってみるべし

 こういうケースは結構あるんやけど、「それだけ重要な案件なら、あんたも精いっぱい協力してや!」と営業にいうてみたら、物の見事に化けの皮がはがれよる(笑)。自分のことしか考えん営業は、そういうと明らかに嫌そうな顔をしよる。見ていてもこっけいでしたわ。

 営業の反応を見て本性を探り、それに応じた対応を考えてみることも必要なんですわ。ただしその案件が本当に会社のためになる場合には、ちゃんと営業に歩み寄ってやらんとね。

CASE3
おれらが仕事を取ってきてやってるんだぞ
(ソフトハウス営業・35歳)

エピソード

 赤字で納期もむちゃな案件だったが、客先に通い詰めて何度も頭を下げ、何とか取れた仕事。それをエンジニアは即座に断ってきた。どれだけ苦労したか、エンジニアはまったく分かってやしない。もっと営業の苦労や気持ちに配慮してモノをいうべきだ。だいたいおれたち営業が仕事を取ってきてやってるんだから、おまえらは黙っていわれたとおりに仕事しろ!

問題点

 エンジニアは営業の努力をまるで分かっていないというのが営業の本音。自分の仕事がいかに大変かを大げさにアピールしてくる営業には、自尊心の高いタイプが多い。

松本流コミュニケーション術
ひたすらおだてて、質問攻めで反撃すべし!

 僕のエンジニア時代も偉そうな営業は結構おったけど、こういうタイプはおだてるだけおだててから、技術的な質問攻めで反撃してましたわ。技術的なことが分からん営業は、答えられなくて早々にどっか行ってしまう。ごっつ気持ちええですねえ。これはオススメの方法やね(笑)。

 要は、営業の自尊心を傷つけると大きなもめ事に発展して、無駄な時間を取られてしまうということ。うまく営業をおだてながら、得意分野でスマートに撃退するのが、優秀なエンジニアなんとちゃうかな。

 

その2
アンケートから探る、営業の心をがっちりつかんで楽をする!
対営業コミュニケーション術とは?

 下のグラフを見ると分かるように、実は80%近くの営業がエンジニアを「仕事のうえで必要不可欠なパートナー」と考えている(図1)。一方、以前エンジニアに対して行ったアンケートによると、営業を必要不可欠なパートナーと考えているエンジニアは4割強と少ない(本連載第17回「どう反撃する? エンジニアvs.営業壮絶バトル」)。このことからも分かるように、営業側がエンジニアに一定の信頼を置いているにもかかわらず、エンジニアがつっぱねているというのが現状だ。営業の本音を理解してエンジニア側が歩み寄る姿勢も、時として必要なのかもしれない。

 また、営業にとって最も頼りになるエンジニアとは、「トラブルやアクシデントのときに迅速な対応で解決してくれる」タイプだ(図2)。営業がトラブルに直面して困っているときに迅速に対処してあげるだけでも、営業のエンジニアに対する印象はぐっと良くなるに違いない。

図1 営業にとってのエンジニアの存在
図2 営業にとっての「理想のエンジニア」像

 

その3
松本隆博さんが語る「営業にウケがよく、エンジニアのためになる
とっておきのコミュニケーション術」

 今回、ワガママ営業操作術についてアドバイスいただいた松本さんに、ご自身の経験から得た、エンジニアと営業がうまくつき合えるとっておきのコミュニケーション術について語っていただいた。


 僕も昔、年上のワガママ営業にキレた経験があります。こっちは連日徹夜で仕事をしていて、作業が終わった早朝、ようやく寝られるわとほっとしたのもつかの間、営業から電話がかかってまた呼び出され、さらに徹夜をして……。でもこっちから連絡すると、営業は電話に出ない。揚げ句の果て、そのワガママ営業は会社に遅刻してきましたわー。さすがにブチ切れますよ。でも、それって例えば前日の夜遅くに様子を見にきて、缶ジュースの1本を置いていくだけでも、防げた衝突だったりするんですわ。

 そんな経験があるから、僕は後輩をあんな気持ちにはさせたくなくて、いまでもちょこちょこ様子見に行ったり、差し入れしたりしますよ。

 とはいえ、これは僕にエンジニアの経験があったからこそ気付いたことやと思いますし、エンジニア経験のない営業にエンジニアの気持ちを理解しろというても、正直難しいですやん……。その点も考えながら、ワガママ営業とうまくつき合う秘訣(ひけつ)を考えなあかんのですわ。

 一番のポイントは、営業に「客先に同行してほしい」と頼まれたら、嫌な顔をせんと積極的に同行した方がええです。それはエンジニア自身にとってもホンマにためになること。僕も初めて客先に出向いて、自分が作ったシステムが実際に使われている現場を見て、えらい興奮したのを覚えてます。あれ以来、仕事のモチベーションも高なったし、現場を見たり顧客の意見を聞いたりすることで、次の開発へのアイデアが生まれる。それに顧客の顔を知っておくのと、電話のやりとりだけなのでは、仕事の姿勢もだいぶ変わってきます。

 やっぱり顔見知りの顧客の頼みなら、多少無理をしてでも聞こうかという気になりますし……。営業に同行を頼まれると面倒くさがるエンジニアも多いと思うんやけど、同行にはめっちゃ隠れたメリットがある。それを心に留めて、まずは客先に名前を覚えてもらわんとね。それを目標に顧客の元へと出向いて、積極的にコミュニケーションを取るべきやと思います。

 自分ができることはやってやるっちゅう姿勢も大事。例えば、一緒に仕事をする営業の方が自分よりも明らかに仕事ができひんと感じた場合、こちらが積極的にイニシアチブを取ってあげることが、トラブルを未然に防ぎ、効率よく仕事を進めることになります。面倒くさいからと、できない営業に仕事を任してしまい、後でとんでもないトラブルに発展するケースも多いんですわ。自分ができることはなるべくやってあげるようにすると、営業に恩を売ることもできるし、結果的には仕事を円滑に効率よく進めることもできるしで一石二鳥。一見損な役回りに思えることでも、広い視野では結果的にお得ということです。

 目の前の損得だけにこだわらず、隠れたメリットも考慮しながら、営業に恩を売っていくこと。そして営業を味方につけて、エンジニアが苦手なことを代わりにやってもらうこと。それが大事なんだと思います。


☆反感を避けつつ撃退

 エンジニアと営業が衝突すると、寡黙なエンジニアは営業の無理な相談をウルトラC級の技術で何とか切り抜ける、というのがありがちなパターンのような気がする。エンジニアが営業を言葉で撃退するというのは、なかなか難しいことのように思える。

 だが本記事にあるように、エンジニアにも言葉で営業のワガママを撃退する「決めセリフ」がいくつかある。覚えておくと役に立つだろう。ただしコミュニケーションは、格闘技のように相手の出方次第のところがあるから、必殺技を覚えるだけではダメだ。タイミング良く、効果的に繰り出さなくては意味がない。

 エンジニアが営業の優位に立てるのは、何よりも技術力によってだ。営業は奥深い技術的なノウハウには太刀打ちできない。自信を持とう。さらにエンジニアなら、客観的に物事を分析する能力が優れていることが多い。事実関係を基に理路整然と説明すれば、ただワガママをいうだけの営業は反論できなくなるだろう。

(加山恵美)


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