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第38回 ソコがヘンだよ! 日本人エンジニア

Tech総研
2007/1/11


 

Part3
外国人が職場に入ることのメリットと日本サイドの対処法

 確かに身近に外国人エンジニアが増え始めてはいるものの、日本の職場ではまだまだ彼らは少数派。異国の地で働く彼らの不安も大きい。ともに仕事をするパートナーとして日本人はどんな配慮をしていくべきか? 中国・インド・ベトナムの人材採用と育成、サポートを行うパソナテック海外事業部の小平達也氏、下平康子氏に話を伺った。

企業が外国人エンジニアを雇用強化する理由

パソナテック 海外事業部 部長
小平達也氏


大手グローバル企業の中国における人材採用と育成支援を行う。早稲田大学アジア太平洋研究センター「日中ビジネス推進フォーラム」講師も務める。

 企業が外国人エンジニアを雇用する背景には大きく3つあります。まず、少子化による理系の人材不足から、「優秀な人材であればもう国籍は問わない」という考えです。そしてもう1つが、今後発展していく海外市場を見据え、「自社DNAを備えた外国人のグローバル要員を育成したい」という考えです。オフショアリングありきの状況も背景にあります。この2つが大きいですが、最近では「ダイバーシティマネジメント」という目的も徐々に増え始めました。これは、異文化の方を入れることによって職場を活性化させたいという考えです。

 外国人エンジニアで一番多いのがやはり中国人です。彼らは技術力と語学力に秀でていますが、専門分野に対して頑固な傾向があります。個人差も大きい。次いで多いのが韓国人。インド人やベトナム人は横並びとなっています。インド人にはシリコンバレーと直結した優秀な頭脳を持った人材も多いのですが、日本はまだ彼らを活用できる状況にない。残念ながら、彼らも日本を眼中に入れていません。ベトナム人の中には日本で活躍する人も増えてきており、「柔軟でマジメ」というヒューマンスキルの部分で企業から好評価を受けています。

外国人の「獲得」に終わらず、「活用」するサポートと配慮

 弊社では外国人エンジニアの「獲得と活用」をワンセットで考えています。いくら優秀な人材を獲得しても、活用する意識とサポート体制がなければ定着せずにすぐに辞めてしまう。彼らに定着してもらうためには、外国文化への理解も大切です。例えば中国の方は「旧正月」、欧米の方は「クリスマス」を大切にします。また、外国人の方は「家族」をとても大切にしますので、場合によっては転職にも家族の意向が反映されます。家族とのきずなあっての仕事であることを理解したうえで、残業や休暇を割り当てる配慮が要されてきます。

 逆説的な発想になりますが、われわれは優秀な外国人エンジニアを日本に迎え入れることによって、日本の若手エンジニアに問題意識を持ってもらい、克己心を高めてもらいたいと考えています。世界的な頭脳の「獲得と活用」を進めることが、今後、日本の国際競争力を高めていくための国家的な課題にもなっています。

 
中国
インド
ベトナム
語学 日本語
英語
日本文化との親和性
柔軟性・環境適応力
企業コメント 個人差が激しいが、やはり「技術+日本語」と、自己実現意欲が強く行動力があるところが強み 「技術+英語」が最大の売り。日本語はしゃべれるが読み書きは弱いという弱点も 「柔軟・純朴・まじめ」な性格で日本人との相性がよさそう。今後の可能性は大きい
出典:パソナテック 海外事業部の調査(上記はあくまでも既卒の社会人経験者に対する日本企業のコメント例です)

日本語コミュニケーションのココに気を付けよう!
1.目的と手法を明確に伝える

日本人同士のコンセンサスから成り立つ「暗黙の了解」は外国人には通用しない。まず目的をはっきりさせたうえで、そこに至るための手法を明確に伝える意識が、仕事をスムーズにする。

2.主語と代名詞を明確にする

英語や中国語は、「私」「あなた」など主語・代名詞がはっきり示される。日本では「私が私が」というと自己主張が強く感じられ敬遠されがちだが、外国人との仕事では「誰がやるのか」をはっきりと示す必要がある。

3.カタカナ用語の乱発は避ける

日本では一般的なカタカナ用語だが、省略形の和製英語であることが多く、英語のつもりで使っても外国人には伝わらないことが多い。「インフラ」「ハード」といったIT用語に注意が必要。

4.ほうれんそう(報告・連絡・相談)が大切

日本人の資質のように考えられている「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」は、外国人との行き違いをなくすためにもいっそう重要となる。
出典:パソナテック海外事業部

孤立しがちな外国人にちょっと言葉をかける配慮が大切

パソナテック 海外事業部 キャリアコンサルタント
下平康子氏


主に中国人エンジニアのサポート業務を担当。特にメンタルケアを大切にし、母国語による悩み相談を24時間体制で受け付けている。

 日本で働く中国人エンジニアの多くはビジネスレベルの日本語力を持っていますが、敬語・丁寧語の使い分けや微妙なニュアンスなど、やはり日本語コミュニケーションへのプレッシャーが大きい。そうした焦りから孤立感を募らせるメンタルな悩みが多いんです。

 一方で、中国で働いている大学時代の同級生たちは、着実にステップアップしている。「日本の就業先に順応できず、簡単な仕事しか任せてもらえない」と職場での孤立感と仕事への焦燥感を募らせ、「自分はもう役に立たない」と落ち込んでしまいがちです。

 孤立しがちな外国人エンジニアを、ぜひ遊びや食事に誘っていただきたい。出社時と帰り際にちょっと声を掛けてあいさつするだけでも、彼らは安心感を得られます。外国人を受け入れる企業サイドも外国の文化や社会的背景を勉強して、彼らを理解する努力をしていただきたい。語学力だけの問題ではなく、相手の文化を理解しつつ、意思を伝え合うコミュニケーションスキルが大切です。



☆違いがあって「ヘン」で当たり前、そこが出発点

 「ソコがヘンだよ!」といわれても、「ソコ」こそが日本なのだ。「郷に入っては郷に従え」とまではいわないが、日本で働くなら良くも悪くも日本の慣習を踏まえてもらいたい。現実的に考えればそうだろう。それに異なる文化・慣習の国から見れば、日本の文化や慣習が奇異に思える部分があるのは当然ではないか。……といいたくなるがそれは少し意地悪か。

 ただし外国人の意見を拒絶するつもりはない。職場でなくとも外国人と接する機会は増えてきた。日本人にとっては「普通で当たり前」でも、他国から見たら「ヘン」なことも多いのだろう。しかし逆だってある。お互いに素朴な違和感を話し合うのはいいことだと思う。そうした意見交換を通じて逆に共通点を見いだすこともあるだろう。そこから真の親近感や信頼関係が築いていけたらいいと思う。

 かつて筆者もインドのエンジニアと一緒に働いたことがある。人形のようなまつげの長さに驚き、インドの気候などについて教わったのは貴重な経験だった。彼らは日本語がペラペラで、やさしい日本語で話す配慮は不要だったが、もしそうでないなら日本人にとっても日本語を学び直すいい機会となる。互いに違いを越えて尊重しあうことができればと願う。

(加山恵美)


この記事は、Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載しています


 

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