Tech総研
2007/5/16
Q6 | 「プロジェクトのアサインメント自由度が高そうで、自分のやりたい仕事が何でもできそうな」IT企業とその理由 |
■トップ5編
グーグルが初の1位を獲得、自由度でほかを圧倒
グーグルが今回のアンケートでは初の1位を獲得した。投票理由は自由な社風。ほかの企業には出てこない回答も見られ、グーグル特有のルール「20 percent time」(勤務時間の20%を個人のプロジェクトに費やすルール)を挙げたものもいくつかあった。2位の日本IBMと3位のマイクロソフトは外資系であることで、4位のソニーは商品のイメージから自由度が高そうと評価されたようだ。5位のヤフーは若い人がたくさんいて自由なイメージがあるようだ。
1位 グーグル 36人 発想が奇抜な企業体制を感じる。(研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理ほか・31歳) 2位 日本IBM 26人 ジャンルにとらわれない自由な社風というイメージがあるから。(コンサルタント、アナリスト、プリセールス・39歳) 3位 マイクロソフト 17人 新しいプロジェクトを率先してさせてくれそうだから。(システム開発(Web・オープン系)・35歳) 4位 ソニー 16人 自由というイメージがいまだにあるので。(運用、監視、テクニカルサポート、保守・37歳) 5位 ヤフー 13人 いろいろなサービスを提供しているから。(通信インフラ設計・構築(キャリア・ISP系)・29歳) |
■少数派
独創性のあるIT企業、はてな、アップルが高評価
はてなの「自由度」を挙げる回答が多く、「開発提案がたくさんできそう」と高く評価。アップルジャパンも「自由」「柔軟性に富む」「独特の社風がありそう」と評価する人が多かった。
はてな 雑誌などのイメージから、自由度が高そうだから。(運用、監視、テクニカルサポート、保守・28歳) サイバーエージェント 新しい会社だから、社員層が若そう。(運用、監視、テクニカルサポート、保守・32歳) USEN 社長が社員の積極性を第一に考えてくれそうな方なので。(研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理ほか・31歳) ライブドア 混乱が収まりこれから再度立ち直らなきゃいけない会社。会社を軌道に乗せるためにいろいろやっていく必要があり、そのための提案もしやすい。(通信インフラ設計・構築(キャリア・ISP系)・34歳) アップルジャパン 柔軟性に富んでいそう。(運用、監視、テクニカルサポート、保守・38歳) |
Q7 | 「自分以上に、自分の子どもや家族のことを親身になって考えてくれそうな」IT企業とその理由 |
■トップ5編
外資系が人気だが日本企業の追い上げも?
1位日本IBM、2位マイクロソフトは「外資系は福利厚生が充実していてファミリー的」という評価を得た。続いて日本を代表する大企業NTT。やはり元国営という意識が根強くあり、福利厚生がしっかりしていると評価する声が多かった。4位のNEC、5位の松下電器産業は「家庭的なイメージで社員を大切にしそう」という回答が目立った。このように昔ながらの日本の大企業を評価する声も多い。
1位 日本IBM 22人 ファミリー的だから。(社内情報システム、MIS・34歳) 2位 マイクロソフト 13人 外資系であれば仕事よりも家族優先の考え方のような気がする。(パッケージソフト・ミドルウェア開発・32歳) 3位 NTT 12人 やはり公共企業というかお役所的なイメージが強い。(研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理ほか・31歳) 4位 NEC 11人 家族的な風土を大事にしそうな企業。(システム開発(Web・オープン系)・39歳) 5位 松下電器産業 9人 社員を大事にしていそう。(運用、監視、テクニカルサポート、保守・32歳) |
■少数派
愛妻家の社長率いる楽天はファミリー的なイメージ
この質問は「そんなIT企業はない」と回答する人が多かったことも確かではある。一方で、ノリや社長のイメージから家族思いと連想する回答が目立った。楽天には「日本的な雰囲気を感じるから」という回答もあった。
サイバーエージェント 東京・渋谷の本社から2駅以内に住めば、毎月3万円の家賃補助をしてくれる。また、休日出勤をしても、社内に嫌々(嫌々な人もいるだろうけど)仕事をさせられている雰囲気がなく、それこそ休日も深夜も同僚と仕事の議論をしたり、遊んだりとまるで学生のノリ。そんな会社らしくないところが良いから。(システム開発(Web・オープン系)・32歳) 楽天 社長自身が愛妻家であり、家族を大事にしているのではないかと。(システム開発(Web・オープン系)・34歳) ディー・エヌ・エー 社長も人妻なので、配慮してくれそうな印象がある。(ネットワーク設計・構築(LAN・Web系)・37歳) サイボウズ ブログでの評判や写真などで見る社内の雰囲気から。(システム開発(Web・オープン系)・26歳) 日本オラクル 福利厚生がしっかりしているから。(通信・インフラ設計・構築(キャリア・ISP系)・31歳)) |
Q8 | 「有休などの休みを自分の都合に合わせて自由に取れそうな」IT企業とその理由 |
■トップ5編
長期休暇も自由に取れそうな外資系企業がランク入り
1位日本IBM、2位マイクロソフト、4位グーグルと外資系3社がランクインした。3社共通の選出理由は「自由な社風」「社員のプライベートを尊重している」「福利厚生が充実している」などで、それぞれの大半を占めた。さらに、長期休暇も自由に取れそうという回答が多かったことも外資系ならではという感じだ。
1位 日本IBM 47人 2位 マイクロソフト 28人 3位 NTT 19人 4位 グーグル 16人 5位 ヤフー 11人 |
Q9 | 「新卒採用組よりも、中途採用組のエンジニアの方が活躍できそうな」IT企業とその理由 |
■トップ5編
即戦力を求めるIT企業は中途採用がほとんど?
1位の日本IBMと2位のマイクロソフトの選出理由として、「外資系は転職が普通だから中途採用組のエンジニアが活躍できそう」「中途採用組が多そう」という回答が多かった。
1位 日本IBM 29人 2位 マイクロソフト 22人 3位 ヤフー 17人 4位 ソフトバンク 15人 5位 ソニー 14人 |
Q10 | 「履歴書に書くときにも有利で、その企業の名刺を持つだけで自分の価値が劇的にアップしそうな」IT企業とその理由 |
■トップ5編
圧倒的な人気を誇るIBMのブランド力
日本IBMが圧倒的な評価を得た理由は「ブランド価値がある」「ワンランク上のイメージ」「かっこいい」など、そのブランドイメージに価値を見いだす回答が続出。2位のマイクロソフトは「世界的に有名」と回答する人が多く、日本IBMとは異なる観点から評価されている。
1位 日本IBM 75人 2位 マイクロソフト 49人 3位 ソニー 22人 3位 グーグル 22人 5位 NTT 10人 |
今回のランキングのキーワードは「大手志向」「堅実」 |
今回のアンケート結果には、過去にTech総研で実施したIT企業人気ランキングでいつも上位に入る有名企業が顔をそろえた。これを基に、IT業界のトレンドに詳しい水上浩一氏にお話を伺った。
ドリームエナジーコンサルティング 代表取締役社長 水上浩一氏 1964年8月5日東京生まれ、神奈川の鎌倉育ち。グラフィックデザイナーとして活躍した後、2000年にネットショップ「おいしい紅茶の店 ディンブラ」をオープン。月商1000万円を達成し、ほか3店舗を運営。2005年からはAll Aboutの「IT業界トレンドウォッチ」ガイドとしても活躍中。著書に『教わる技術』(ソフトバンククリエイティブ刊)、『人気ネットショップ店長セキララ奮闘記』(ソフトバンククリエイティブ刊)がある。 |
「ミクシィやはてな、サイバーエージェントなどの新興IT企業もランキング入りすると思いましたが、結果はまったく違いましたね。エンジニアの皆さんは『堅実』『大手志向』だなというのが正直な感想ですね」と水上氏は今回の結果に少々驚いた様子。また、「昔からの人気企業が今回も選ばれたのは、『保守的』『大手志向』という理由以外にもエンジニアが次のステップアップを考慮しているためという可能性がありますね。キャリアアップという観点から考えれば当然の結果なのでしょう」と語る。確かに、将来独立を考えていたら技術力の高い大企業でスキルを高めることが賢い選択であるし、転職の際には有名企業の肩書が有利になる。
トップ5に選ばれた企業については、「IBMは確かに面白い企業。パソコン事業からいきなり撤退したりと変化も激しい。時代を見る目のある企業だと思います。Googleも奇想天外の面白さがありますね」と水上氏。また、「はてなはビジネスモデルの設計力に優れ、イメージを形にするまでのプロセスがとてもユニーク。いままでの日本にはなかったビジネスモデルです」とのこと。
水上氏が最初に予想したように、急成長する新興IT企業がランキング入りする日もそう遠くはないのかもしれない。
☆みんなの考えは大体正しいだろうけど | |
世の中はいろいろなランキングであふれている。こうしたランキングや人気度は「ついつい気になる」というのが人情のようだ。一般の感覚を把握していたい、また一般に後れを取りたくないという心理が働いているのだろう。 今回はエンジニアから見たIT企業のランキングだ。エンジニアにとって気になる数々の項目がピックアップされている。主に研修制度、待遇、社風だろうか。どれも会社選びの際には気になるものばかりだ。 ただし今回の記事はエンジニア300人から収集したアンケート結果を基にしている。つまり外部の人間から見た「あの企業は○○らしい」というイメージのランキングだ。事実から大きく乖離(かいり)していることはないだろうが、どうしても知名度の高い大企業が上位にランクインしてしまうのは防げないだろう。「大手志向」の傾向と併せ、留意しておきたい。 とはいえ、人気投票なのだから堅いことをいっては面白くない。もしエンジニアが多く集まる場で雑談する機会があれば、今回の結果は格好の話題となるだろう。「あなたの会社は○○って思われているみたいだよ」「みんなはそう思うかも知れないけど、実はね……」と意外な事実を知ることに発展するかもしれない。 (加山恵美) |
この記事は、Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載しています |
今回のインデックス |
最新データで見る「エンジニアのキャリア事情」(44) (1ページ) |
最新データで見る「エンジニアのキャリア事情」(44) (2ページ) |
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