自分戦略研究所 | 自分戦略研究室 | キャリア実現研究室 | スキル創造研究室 | コミュニティ活動支援室 | エンジニアライフ | ITトレメ | 転職サーチ | 派遣Plus |

最新データで見る「エンジニアのキャリア事情」

第49回 もう通わない心……部下から上司へ7通の手紙

Tech総研
2007/8/27

5.評価の基準が分かりません。どう評価しているのですか?

絶対評価ができるわけがないのは、
子どもでも分かる理屈。相対評価なら、
仕事を見てりゃ十分にできる。

(制御設計:43歳:係長)



・ソースや試験工程、バグ数などの作業結果や、お客さまからの評判を基に評価をしているんだよ。(オープン系SE:32歳:係長)

・実績重視。ビジネスである以上、実績を重要な評価基準に置くのは当然。(社内SE:33歳:課長)

・アピールしてくれ! 報告する場はいくらでもある。週報、期末レビュー、評価面談、どこでもいいから。ただし、根拠・証拠となる内容も用意してくれ。(回路設計:43歳:係長)

・1人で仕事をしているわけではないだろう? 君と一緒に作業をしている人から様子をヒアリングしているのだ。(オープン系SE:34歳:係長)

・最も良くできている者に比べてどれくらいかだ。(オープン系SE:36歳:係長)

・まず所属部署の成績。あとは仕事を依頼したときのレスポンス。(制御系SE:34歳:係長)

・お客さまからのアンケート回答、営業の意見。(運用・監視・保守:38歳:係長)

・そもそも会社に基準がなく、おれも同感。(オープン系SE:32歳:係長)

・学生のころ、平素点ってあっただろ? それだよ。おれも感情に左右される人間だからな。ウマが合う合わないも評価のうちだ。(ネットワーク:40歳:係長)


人の評価は難しい、技術の評価はもっと難しい
 回答を1行で書く人が多かった。そのため、例えば「仕事の内容とアウトプットから」を、「日ごろの勤務態度と仕事の結果・成果」の項目に入れるなどした。その意味でグラフは正確性に欠けるかもしれないが、それでも見て取れるのは、上司によって基準が大きく異なることだ。

  気になったのは、「社内(同僚や他部署)や顧客からの評価」という回答の多さ。評価の集め方や聞き方、信ぴょう性の判断にも興味がわく。また、「数字に表れない技術力をどのように評価しているか」という質問もしたが、納得できるような回答は極めて少なく、グラフも作成できなかった。技術力の評価がどれだけ難しいかが分かる。


6.スキルを磨く時間がないのですが、部下のスキルアップはどう考えていますか?

時間は自分でつくるものです。
通勤電車の中でメールするひまがあったら、
スキルを磨いてください。

(FAE:39歳:係長)



・忙しいときは現場で覚えて、時間があるときに研修に行ってもらう。(オープン系SE:35歳:課長)

・私は自宅でやってきた。(オープン系SE:35歳:係長)

・深夜、休日を当てるしかない。(制御系SE:32歳:係長)

・OJTが効果的であり、その中で最大限吸収してほしい。(汎用機系SE:41歳:課長)

・なぜお前のスキルアップをおれが考えなきゃいけないんだ! 休みの日や帰ってからでも自己勉強しろ! 甘えるな!(機械・機構設計:31歳:係長)

・日々の業務以外でのスキルアップにまでなかなか及ばないのは事実。できる限り考慮するが、何かあれば要望を出してほしい。(機械・機構設計:39歳:係長)

・機会は与えているつもり。本人のやる気との関係もあるので、一概に判断できない。(制御設計:41歳:係長)

・それは僕も同じです。(品質管理・評価:32歳:係長)


悪いとは思うが、時間は自分でつくるものだ
 上司の総意は、「スキルアップは、基本的に仕事中か時間外に頼む」だろう。なぜなら、彼らがそうしてスキルを磨いてきたからだ。研修を勧めたり要望を求めたりする回答もあったが、部内の皆が多忙な中で、個人にその時間を用意するのは現実的ではない。「時間をつくってやれないのは悪いと思うが、時間は自分でつくるものだ」が本音ではないだろうか。

  ただ、「求めるだけでなく方法を探せ」という上司の意見にも一理あるだろう。部下の要望が分からなければ、手の打ちようがないからだ。ダメモトで進言する価値はあるのかもしれない。


7.本音では部下のことをどう考えていますか?

アンケートだから分かる上司のホンネ

6割が部下を何らか重視しているが、
1割はほかの仕事より比重が低い。




ハードウェア系職種の上司は部下に厳しい?
 この質問にはフリーアンサーではなく選択肢で答えてもらった。「仕事の中で部下を重視している」という回答がほぼ60%。この数値が高いか低いかは読者の判断に任せるが、職種別ではソフトウェア系によりその傾向が強く(特にネットワーク、社内SE、オープン系SE)、ハードウェア系は逆の傾向が出た(特に生産技術、機械設計、品質管理)。より職人気質の強いメーカーなどの現場では、部下に厳しく接しているのかもしれない。

 あなたも疑問があるなら、上司に本音を聞いてみたら?


「☆上司に落胆する前によく話そう」

 筆者がエンジニアをしていたころの話。上司が「この仕事は納期どおりに終わりそうですか?」と担当者に確認すると、筆者の先輩だった担当者が「残業をすれば間に合いそうです」と答えた。すると上司は「残業を前提に仕事を見積もってはいけません」と厳しく諭した。このときは驚いた。

 いつも温厚な上司が厳しい顔をしたことにも驚いたが、何よりも驚いたのは「残業を前提としないのが基本」と初めてはっきりいわれたことだ。いまから思えば、ここまで正論をきちんと述べられる上司というのはなかなか希少な存在だったのかもしれない。

 だが現実には往々にして「残業しても間に合うかどうか……」と、不確かな状態でずるずると残業しがちだ。本文にあるように「残業は必至」となる仕事が上司命令で降ってくることもある。それを命じられる側は今回のような疑問をぶつけたくもなるだろう。

 対して上司の回答はどうか。本文には厳しい反論もあるが、現実にはここまで露骨な応酬が突発的に起きることはないだろう。なぜならこうした質問は一朝一夕には出てこないからだ。そして部下から一方的に上司に失望する前に、普段から会話を重ねていきたいものだ。そうすれば致命的な亀裂に発展することは防げるだろう。

(加山恵美)


この記事は、Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載しています


 

今回のインデックス
 もう通わない心と心……部下から上司へ7通の手紙
 (なぜいつもお客のいいなり?)
 もう通わない心と心……部下から上司へ7通の手紙
 (評価の基準はいったい何?)

自分戦略研究所、フォーラム化のお知らせ

@IT自分戦略研究所は2014年2月、@ITのフォーラムになりました。

現在ご覧いただいている記事は、既掲載記事をアーカイブ化したものです。新着記事は、 新しくなったトップページよりご覧ください。

これからも、@IT自分戦略研究所をよろしくお願いいたします。