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第53回 そのひと言にムカッ! 年下上司vs.年上部下

Tech総研
2007/12/11

  その3
年下上司&年上部下 うまく付き合うためには?

 年下上司と年上部下の微妙な確執をクリアするために、世の人々はどんな手段を用いているのか。アンケートでは、「飲みニケーションで仲良くなる」「普段感じていることを、腹を割って話す」などの回答が目立つ。

 しかし、もともと人間的な部分がぶつかり合って始まる優劣争い。従来と同じような方法で、果たしてうまくいくのだろうか。自らも若くして上司の立場となり、さまざまな人間模様を目にしてきた高城幸司さんに話を聞いた。


 大切なのは、上司として、部下としてどう付き合うかということですね。お互いを人間関係で縛ろうとしてもダメです。

セレブレイン
代表取締役社長 高城幸司氏


1964年、東京生まれ。同志社大学文学部卒業。1986年リクルート入社。2005年にセレブレインを設立。若くして数多くの部下をマネジメントした経歴を生かし、マネジメントの強化による人生育成、上司と部下との関係を説く。経営メンバーの育成コミュニティ「オルティナ」を主催。著書『営業マンは心理学者!――商談がみるみるまとまるビジネスのコツ』(PHP研究所刊)はベストセラー。

 年下上司と年上部下の場合、年上部下が仕切っちゃうことがあるでしょ。「年齢」と「経験」がある分、年下上司を甘く見て、上司の領域にまで手を出してしまう。

 年下上司もバカにされたくありませんから、気付けば優劣争いに夢中。お互いの役割を忘れて、どっちが上かなんて競い合う。

 ここで、イチロー選手のことを考えてみてください。彼のコーチが、彼よりも技術を持っていると思いますか? 彼以上の技術を持っているべきですか?

 違いますよね。コーチはイチロー選手ほどの技術を持っていない。でもそれでいいんです。コーチに求められているのは、イチロー以上の技術を身に付けることじゃありません。彼の「役割」は、イチローに明確な指示を出し、具体的な目標を掲げ、何を彼に求めているのか、何を期待しているのかをきちんと伝えること。

 あなたにはこれをしてもらいます。これを期待しています。そのためにはどうすればいいか? 目的や目標、そのプロセスをしっかりと明示することが彼の仕事であり、それを果たしていれば「技術を教えられないくせに」なんて責められる必要はないんです。

 年下上司と年上部下の間に起こる摩擦は、技術がないからといってイチローがコーチをバカにしたり、イチローほど技術がないからといってコーチが自信喪失したりする状態に似ています。

 技術は教えられなくても、マネジメントし、結果として成果を上げる。お互いに「仕事としてどうなのか」と考えることが常に必要なんですね。

  おまけ
エンジニアに年功序列は必要ない?

 成果主義の人事が増えてきた現代社会。年功序列はこのまま時代の遺物となってしまうのだろうか? もはや無用の長物か? アンケートでは、実にさまざまな奥深い意見が集まった。

「周りが認める能力があれば、年齢は関係ないと思う。本当に優秀な人に活躍の場を!」

「年功序列にはあまり意味がないと思う。ただし、人付き合いなどのスキルはやはり年配の人にはかなわないと痛感する場面がある。経験によるスキルも絶対に無視できない」

「年功序列では新しいものは生まれにくい。だけど、年齢を重ねて得られるものもある。それを生かすポジションを明確にすべきでは?」

 多くが「基本的には年功序列は必要ない」と語っている。しかし、「だが……」と意見を加える人がほとんどだ。

 若いからこそできること、年齢を重ねたからこそできること……。われわれの心の中には、「年功序列、絶対反対」「実力主義万歳」と断言することのできない、「年輪を重ねること」への深い思い入れがあるのだろう。

 それは、人間には決して数字で割り切ることのできない底力と可能性があることを、それぞれが無意識に理解しているからなのかもしれない。



☆年齢の上下関係を重視するお国柄だが

 外国人が「日本人は(他国の人に比べて)年齢を聞いてくることが多い」という感想を述べるのをどこかで聞いたことがある。統計を取ったわけではないが、ありそうな気がする。日本人にとって相手の年齢は、コミュニケーションに重要な要素となっているのだろう。

 相手が年上であれば敬意を示し、年下には寛大な態度を取る。こういう習慣は日本語に尊敬語と謙譲語があることとも関係すると思う。上下関係を重んじ、それにふさわしい態度を取ることで、「正しいことをしている」という安心感を覚えるようになっているのではないかと感じる。

 相手の年齢が自分の態度や立場の指針となるため、相手が年上か年下か不明だと不安になることもあるのではないか。その良しあしはさておき、それが日本のコミュニケーションにおける習慣のような気がする。

 こうした風習の下では、組織が年功序列型で「年上なら上司、年下なら部下」なら問題ない。しかし人材の流動化で「年下なのに上司、年上なのに部下」という組み合わせができると、その関係に危うさが生まれてしまうのだろう。

 ただ年齢というのは人間の1つの要素であり、あまりそれに拘泥しない方がいいと思う。そうはいってもなかなか割り切れないのだが。もし年上の部下を持ってしまったら、「童顔で若く見られるんですけどね。実はけっこうな年なんですよ」など、年齢をうまくごまかすのもトラブル回避策になるかもしれない。

(加山恵美)


この記事は、Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載しています



 

今回のインデックス
やっぱりイヤだ! 年下上司&年上部下
それでも、うまく付き合うには? 年下上司or年上部下

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