自分戦略研究所 | 自分戦略研究室 | キャリア実現研究室 | スキル創造研究室 | コミュニティ活動支援室 | エンジニアライフ | ITトレメ | 転職サーチ | 派遣Plus |

最新データで見る「エンジニアのキャリア事情」

第54回 彼女も納得? きたみりゅうじのお仕事説明術

Tech総研
2007/12/25

TYPE
03
「最初からあきらめて、説明放棄!」型
結局分かってもらえないのに、頑張って説明するだけ無駄っしょ

IT関連です……以上

Webからオフコンまで何でもありのシステム開発。上流工程から下流工程まで、プロジェクト規模によっていろいろやってます。でも仕事を尋ねられたら「IT関連の……」と漠然と答えてお茶をにごしちゃう。(システム開発/28歳)
どうせ分かんないでしょ

扱っているのはビルの空調や給湯を一括管理できるコントローラの組み込みソフト。でも基本的にBtoBなので、説明の相手はまず間違いなく、そんなものは見たことがないです。どうせ分かってもらえないのだから、「ソフトウェアの開発」以上は触れませんね。(システム開発/29歳)
例える語彙(ごい)がないんです

仕事はカーナビ用のソフトウェア開発なんですが、詳しく説明しようとすると、相手は専門用語が分からないのに、こちらは専門用語でしか説明できず、どう一般的な言葉に置き換えていいやら一苦労。例え話をしようにも、そんな語彙がなくて……。(システム開発/31歳)
最初から説明しません(きっぱり)

他社の情報部門のアウトソーシングなので、その仕事が何の役に立っているんだか分からないんです。専門用語をうまく日本語にもできないし。というわけで、詳しくない人にはいっさい仕事の説明はしません。(テクニカルサポート/35歳)
自分でも分からないんです

プログラマやってます。どんな仕事をしているか聞かれたら、「プログラマ」としかいいません。理解してもらえないことはよくありますが、自分自身でもよく分かっていないので……。(システム開発/32歳)

どうせ分からないんだし、と開き直り
TYPE02と近いけれど、これはもっと徹底していて、説明の努力自体を最初から放棄。中にはどうやら、過去に頑張って説明しようとしてダメだった“苦い経験”を経ているらしき人も多数。単に上手な説明の言葉が思い浮かばないだけでなく、自分でも仕事の全体像が分かっていない場合も。

TYPE
04
「これでバッチリ分かってもらえます」型
やさしい言葉で、実例や例え話なども交えながらスマートに

病院の仕事を便利にしているの

医療情報システムの構築をやってます。Wordみたいなソフトウェアをお客さんのところで使えるようにする仕事、というと分かってもらいやすいかな。病院で体験したことを思い出させて、そこにシステムがどう絡んでるかを説明すると、相手は「なるほど!」と感心してくれます。(ネットワーク設計・構築/25歳)
現代の“隠密同心”ですっ!

仕事を尋ねられると、コンサルタントだったりサービスエンジニアだったりSEだったり、その都度、相手に分かりやすそうな名前にしちゃいます。例えるとしたら、「目立たないところで重要な任務をこなしている隠密同心(もちろん精鋭部隊!)」かな。(コンサルタント/32歳)
困ったときに連絡する人だよ

「会社の中で、パソコンの設定をしたり、『パソコンがおかしいんですけど?』っていわれて見に行ったりする人」って答えるかな。相手の環境、状況に応じて多少説明を変えるけれど、だいたいそれで分かってもらえてるみたい。(社内情報システム/29歳)
IT関連用語は使いません

ITに関連するコンサルタントをやっているけれど、プロジェクトごとにいろいろなことをしているので、まさに“何でも屋”という感じ。仕事を説明するときはIT関連用語はできるだけ使わずに話してます。ほとんど分かってもらえてるんじゃないかな。(コンサルタント/29歳)
「やった結果」がどうなるかを説明

社内システムのメンテナンスが主業務なのですが、仕事の説明をするときには、「何をしているか」よりも、「やった結果どうなるか」をメインにいいますね。理解してもらえなかったことはほぼないと思います。(システム開発/29歳)

説明は「分かってもらえるところ」から
「モノづくり」エンジニアなら説明はしやすいけれど、IT系は「分かってもらえない度」高し。そんな中でもうまく納得してもらえている例がコレ。「IT系でも比較的分かりやすい仕事をしているからじゃない?」といってしまえばそれまでだが、平易な言葉で、分かりやすい部分から話している点には要注目。


  きたみりゅうじの
「これで家族も恋人も納得!」仕事説明アドバイス

 元エンジニアであり、IT業界に詳しいDr.きたみりゅうじに、エンジニアの仕事説明術のアドバイスをいただいた。

仕事が「部分」になるほど分からない

きたみりゅうじ

ソフトウェア開発会社にて約7年間、企業システムの営業・設計開発、Windows向けパッケージ商品の企画開発などに従事。現在はフリーのイラストレーターおよびライターとして活躍中。SE時代の七転八倒を描いたコミックエッセイ『新卒はツラいよ!』『会社じゃ言えない SEのホンネ話』に加え、『Dr.きたみりゅうじのSE業界ありがち勘違いクリニック』が現在好評発売中。

 小さい単位で完結している仕事は説明しやすいですよね。何か1つの製品を作っているなら、「○○を作っています」ですむ。IT系の仕事でも、例えば「Webサイトの構築」なら、それだけでたいていは納得してもらえます。しかし、企業の大規模なシステムの開発など、仕事が大きなものの一部分になってくるほど、だんだん分かってもらえなくなってくる。これは、そんなシステムが企業の“ビジネスロジック”をソフトウェアに置き換えるものだから。

 今回の回答の中にもありますが、「病院のシステム」のように、日常目にしたことがある、触ったことがある、そうでなくても仕事の流れが想像しやすいものであれば、まだ理解してもらえる。けれども、普段の生活に関係ない会社の、関係ないシステムになると、とたんに分からなくなる。企業の仕事の流れなんて、そこに関係していなければ、分からなくて当たり前ですからね。

まずは“全体像”をいえるかどうか

 つまり、「何をしている」の前提条件や背景が大きすぎる。これがプロジェクトのリーダーさんなら、全体像が分かっているのでまだ説明しやすいんですが、一部だけで全体を把握しきれていないと、上司にいいつけられた仕事内容そのままを一生懸命説明しようとしたり。

 結局、話が末端から始まるので、1つ説明しようとするたびに前後関係や登場人物が増えていって、話がどんどん長く、複雑になっちゃう。

 例えば、野球選手という職業を知らない人に説明することを考えてみると分かりやすいと思うんですよ。「野球というスポーツがあって、その選手です」から始めれば、後から細かいところを必要に応じて補足すればいい。けれど、「バットっていう棒を持って、飛んで来たボールを打って、バットはこんな形で、ボールはこれくらいの大きさで……。そもそもそのボールは、敵のピッチャーが投げてきたもので、自分の後ろにはキャッチャーっていって、それを取る人がいて……えーっと」。これじゃ分かりませんよね。「それで結局、なんでボール打たなきゃならないの?」なんていわれたりして(笑)。

Dr.きたみりゅうじも昔は分かってもらえなかった!

 10年くらい前、プログラマをしていたときは、やはり親類に「どんな仕事?」と尋ねられると、説明に苦労してました。

 インターネットのサービス立ち上げにかかわっていたんですが、そもそもそのころだと「インターネット」が分かってもらえない。メディアといえば新聞・雑誌やテレビくらいの時代。「コンピュータのネットワーク上でこういうものを見られるような仕組みを作っている」というと、「なるほど、雑誌のページみたいなもの作ってるのね」といわれる。「……ページそのものを作ってるんじゃなくて、その裏にある、表示させる仕組みを」なんていっていると、最後は「分からん」って怒られたり(笑)。

 兄貴は住宅の営業をしてたんですが、説明しやすくてうらやましかったですね。「10億円の家を売ってる」なら分かってもらえるし、話が盛り上がる。こっちは「10億円のシステムを作ってる」なんていっても、誰も実感がわかないし。

 それを思うと、“IT”って、便利な言葉が生まれてくれたなと思うんですよ。「IT業界です」っていえば、なんとなくイメージしてもらえたりする。ちょっとオシャレで、一方でちょっとうさんくさくもありますけれど(笑)。

きたみりゅうじ流お仕事説明上手の条件
●小さい単位で完結している仕事は説明しやすい。
●説明するときは、仕事の“大枠”からざっくりと。
●「誰のため」「何のため」から切り出すと説明しやすい。


☆簡単に説明する努力もいい経験

 年末年始は、普段は顔を合わせない親類とも会う季節である。同業者であればその業界の話で盛り上がることができるが、そうでないと厳しい。一般に理解されている業界や仕事であれば説明しやすいのだが、IT業界だと場合によってはどつぼにはまってしまう。なぜ苦労するのかと考えると、新しい業界であり、技術的な専門用語が多いうえ、一般の人には親しみの少ない場であることが多いなどが理由として思い浮かぶ。

 それでも、恋人や親類のおじさんにも分かるような説明を考えるのはいい経験になるかもしれない。自分の普段の仕事を客観的にとらえることになるからだ。専門用語を使わず、一般的な用語のみで、本質や概要を伝えなくてはならない。本文できたみ氏も述べているが、「大枠」からざっくり、目的を明確にするのがコツらしい。細かいことはさておき、全体像や価値を端的に説明できれば、「おおーすごい」といってもらえる。

 まじめなエンジニアにしてみれば、「ぶっちゃけ」すぎる説明には多少抵抗があるかもしれない。だがそれぞれのスキルレベルに合わせた説明の方が相手は納得するし、納得される説明ができることは自分への評価を高めることにもつながる。それに仕事内容を聞いてくるということは、多少なりともこちらの人物や仕事に興味を持ってくれているということ。貴重な機会に備えてこうしたスキルも磨いておきたい。

(加山恵美)


この記事は、Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載しています



 

今回のインデックス
恋人やおばあちゃんになんて説明する? エンジニアのお仕事
エンジニアのお仕事説明術のポイントとは?

自分戦略研究所、フォーラム化のお知らせ

@IT自分戦略研究所は2014年2月、@ITのフォーラムになりました。

現在ご覧いただいている記事は、既掲載記事をアーカイブ化したものです。新着記事は、 新しくなったトップページよりご覧ください。

これからも、@IT自分戦略研究所をよろしくお願いいたします。