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第18回 メンバーが働きやすい環境をつくるのが私の仕事

加山恵美
2007/12/6

気が付いたらプロジェクトマネージャに

 困難を抱えつつも、プロジェクトが運用フェイズに入るころになると、喜多氏にはプロジェクトマネージャとしての貫録が出てくるようになった。それまで壁だった責任のプレッシャーや仲間との信頼関係を築くことなど、プロジェクトマネージャに必要なものが身に付いてきたのだろう。

 だが実をいうと、喜多氏はプロジェクトマネージャに強く固執しているわけではないし、それを強く求めて仕事をしてきたわけでもない。進んでプロジェクトマネージャになったというよりは、周囲に求められるうちに喜多氏が引き受けたというパターンが多い。

 「プロジェクトマネージャという役職より『開発に専念できる方がいいから、まだ技術者でいたい』と思う人もいるようです」と喜多氏はいう。少なくとも喜多氏の周辺にはそう考えるITエンジニアが多くいて、それが喜多氏をプロジェクトマネージャへと向かわせたようだ。

障害が起きれば徹夜に付き合うことも

 2005年に喜多氏は現在の会社であるケービーエムジェイに転職した。当初はWebサイトの開発および運用管理を行うプロジェクトに開発担当として配属された。だが実は喜多氏の入社当時、プロジェクトは悲惨な状況だった。本来のプロジェクトマネージャは現場にあまり姿を見せず、プロジェクトはきちんと管理されず、さらに赤字は目に見えていた。

 喜多氏はそんな状況を黙認することができず、上司に「これでいいんですか」と指摘した。すると意外にも上司から「いや、良くない。なんならプロジェクトマネージャをやりませんか?」という感じで提案があり、「それなら、やろう」と引き受けたそうだ。

 このプロジェクトも重労働だった。一時はWebサイトが不安定で、障害も頻発した。問題が起きるとアラートが担当しているITエンジニアに届き、担当エンジニアは真夜中でも会社に駆けつけた。そのまま問題が解決するまで徹夜することもしばしばだった。仕事なら当然かもしれないが、担当エンジニアの責任感の強さ故もあった。

 当初障害対応は担当エンジニアに一任していたが、あまりの過酷さに担当エンジニアが「もうやらない!」と感情を爆発させてしまった。そこで喜多氏は「しまった。1人でやらせてしまったからだ」と気付き、以降は障害が起きると喜多氏も会社に駆けつけて解決まで作業を見守るようになった。

ITエンジニアが気持ち良く働けるように

 「夜中に障害対応すると、作業が終わるのは午前3時、4時になることもあります。担当エンジニアがお酒好きということもあり、作業が終わると始発まで一緒にお酒を飲んだりしていました」と喜多氏。ここまで親身な上司は、いまでは貴重ではないだろうか。こうした“飲みニュケーション”もあり、部下との信頼関係を築くことができているのだろう。

 現在の職場について喜多氏は「人に恵まれています」という。「この人たちと一緒なら(まとめ役として)やっていこう」と思える仲間だそうだ。実際にいい部下に恵まれたのかもしれないが、もしかしたら部下との付き合い方がうまくなった効果もあるのかもしれない。喜多氏によると「うちのITエンジニアたちは技術が高く、アーティスト的なセンスもあり、何よりも自分たちが担当するWebサイトへの思い入れと責任感がある」そうだ。

 現在喜多氏はメインで1つのプロジェクトをマネジメントし、加えて複数のプロジェクトマネージャをまとめるグループマネージャとなっている。マネジメントを行うだけでなく、後進のプロジェクトマネージャを育てる立場でもあるのだ。

 喜多氏はそのキャリアの途中で多くの困難に直面したが、結果的にはプロジェクトマネージャとして能力を発揮できるようになった。もともと調整役としての素質があったのかもしれないが、困難を克服する努力を続けたことと喜多氏なりのやり方を確立できたからこそ、現在の地位にたどり着けたのだろう。

 喜多氏はプロジェクトマネージャの役割についてこう話す。「大切なのは全体を見て先読みすること、節目となるポイントポイントでの確認を地道に続けることです。ITエンジニアが気持ち良く働けるように、動きやすい環境をつくるのが自分の役割だと思っています」

 

今回のインデックス
 気付いたら、プロジェクトをマネジメントする立場に
 ITエンジニアが気持ち良く働ける環境を作りたい

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