自分戦略研究所 | 自分戦略研究室 | キャリア実現研究室 | スキル創造研究室 | コミュニティ活動支援室 | エンジニアライフ | ITトレメ | 転職サーチ | 派遣Plus |

ITエンジニアの働く環境を考える

第4回 ITエンジニアを癒します。「癒し本部 お祭りか」

長谷川玲奈(@IT自分戦略研究所)
2007/12/11

さまざまなイベントによる社員の交流

 そのほかのイベントとして、新年会、豆まき、女性のみのホワイトデーパーティ、新人歓迎のボーリング大会、花見、運動会、300人以上で行う東京地区の社員旅行、男性社員の奥さんを癒すクリスマスパーティ、忘年会などがある。

 11月に行う、社員と家族が参加する運動会では、その年の新入社員が実行委員を務め、種目の決定も含めてすべてを取り仕切るそうだ。それをお祭りかがサポートする。

 運動会の様子について、小野氏はこう話す。「お子さんを抱っこして選手を応援しているなど、普段は見られないような上司の姿が見られ、社員にとって新鮮なようです。経営陣は必ず参加しますので、社員とのいい交流の機会になります」。経営陣も「リレーに出ますよ。一生懸命走っていますね」(小野氏)ということだ。

ユー・エス・イー 癒し本部 お祭りか 小野歩氏

 加えて、サンマを焼いて社員にふるまう「秋の味覚パーティ」など、不定期のイベントもかなりの頻度で実施される。プロジェクトごとにキックオフパーティ、終了時の慰労会も行うため、年間を通してのイベント数は把握できないほどだ。山見氏は「数えてみたことはあるのですが、数え切れませんでした」と苦笑する。

 入社から丸3年たった社員は「トップと語る会」に招待される。食事をしながら経営陣と語り、質問や要望を伝えるそうだ。山見氏は「今年から住宅手当・扶養手当が増額されたのですが、これは社員の声によるものと聞いています。この会がきっかけになったのかもしれません」という。いずれにしても、社員同士や経営陣との交流の機会が多く、話をしやすい風土が、制度の改良をもたらしているのかもしれない。

 こういった取り組みは「IT業界では珍しいのでは」と山見氏は話す。「少し前までは不景気のため、福利厚生への取り組みを自粛している会社も多かったと思います。そういう状況で、当社では創業当初から、継続して行っています」(山見氏)

 これは、「癒しを提供することで、社員を幸せにしたい」という経営陣の一貫した考え方によるものだという。山見氏が「癒し本部 お祭りかのすべてを物語っているように思います」と前置きして語ったエピソードがある。「代表取締役副社長の吉弘京子が、2006年に学習院大学で講演を行いました。『創業から三十数年間走り続けることができた、あなたの原動力とは何ですか』と聞かれた時、間髪を入れず『社員は私の家族です。そして私は家族を守るという“義務”を背負っています。これが私の最大の原動力です。その義務が存在する限り、私は走り続けます』と答えていました。この言葉が癒し本部 お祭りかを、またユー・エス・イーという会社を成り立たせているのだと思っています」(山見氏)

お祭りかがITエンジニアを癒し、1人1人の成長を促す

 お祭りかの取り組みに対する社員の反応には、どのようなものがあるのだろうか。

 例えば中途入社した社員は、「社内イベントが多い」「経営者との距離が近く、いつでも話ができる」ということにまず驚くそうだ。「イベントを活用し、社員同士のつながり、経営陣とのつながりを積極的に築いていく人が多く見受けられます」と山見氏はいう。

 新卒で入社した社員では、この認識がやや薄い場合もある。小野氏は「交流の機会が『あって当たり前』と思っている社員も少なからずいます。私たちの今後の課題として、こういった機会の大切さや、良しあしを含め会社自体のことを社員にもっと知らせていかなければならないと思っています」と話す。

 しかし、お祭りかの取り組みはかなりの成果を挙げているそうだ。社員からの「楽しい」「アットホームな会社だ」という声もよく耳にするという。山見氏はこう語る。「社内イベントなどの取り組みは会社の設立当初からのもので、定量的な効果は測れていません。ですが出席率の高さ、社員の声から、癒しの効果は高いと考えています。同業種の他社と比べて、離職率などは格段に低いですね」

 癒されるだけではなく、仕事面においても好影響を与えているようだ。「間接的にですが、仕事にもつながっているのではないかと思っています。1人でお客さま先に常駐し、普段は上司とも顔を合わせないITエンジニアも、イベントに参加することによって上司とフランクに話し合えます。縦のつながり、横のつながりも意識でき、コミュニケーションが取れる。それがITエンジニアとして、1人の人間としての成長に寄与しているのではないかと考えています」(山見氏)

 「社員を幸せにしたい」との思いから設立されたお祭りかの取り組みが、ITエンジニアを癒し、成長を促す。業務は大変ではあるが、「社員が喜んでくれるのが私たちの一番の喜びで、社員からの『ありがとう』『ごちそうさま』のひと言が大きな励みです」と、山見氏と小野氏は笑う。

 

今回のインデックス
謎の部署、「癒し本部 お祭りか」
「癒し」がITエンジニアにもたらすもの

自分戦略研究所、フォーラム化のお知らせ

@IT自分戦略研究所は2014年2月、@ITのフォーラムになりました。

現在ご覧いただいている記事は、既掲載記事をアーカイブ化したものです。新着記事は、 新しくなったトップページよりご覧ください。

これからも、@IT自分戦略研究所をよろしくお願いいたします。