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〜自分戦略研究所 転職者インタビュー〜

転職。決断のとき

第7回 “技術屋”的発想から抜け出したかった

中村京介
2003/8/22

 スキルを上げるため、キャリアを磨くため、給料を上げるため――。エンジニアはさまざまな理由で転職し、新しい舞台で活躍する。では、転職の決断をするのはいつなのか? そしてその決断に至った理由とは何だろうか? その決断のときを、今回は@ITジョブエージェントを利用して転職したエンジニアに尋ねた。

今回の転職者:佐治俊夫氏(仮名・29歳)
プロフィール大学院(文系)を卒業後、ソフトウェアハウスを経て、大手コンサルティングファーム系のシステム会社へ転職する。転職によって将来のキャリアビジョンが明確になったと語る。

■まずはプログラミングの世界から

 漠然とした転職願望を抱えるエンジニアは多いが、自分のやりたい仕事が本当に明確になっている人は意外と少ない。

 「Javaに興味があったので、将来はWebシステムの構築や企画プロデュースの道に進もうと思っていました。転職先はシステムインテグレータ(SIer)を中心に考えていました」

 現在、大手コンサルティングファーム系のシステム会社に勤務する佐治俊夫氏(仮名・29歳)は、半年前の転職時のことをそう振り返る。

 学生時代からコンピュータに興味を持ち、C言語などを独学で学んでいたという佐治氏は、大学院(文系)を卒業後、メーカーの研究者などが使う技術計算系のソフトウェアなどを開発する会社に就職する。

 「技術の世界に入るのであれば、基本となるプログラミングから積み重ねていきたいと思ったのです。小さい会社なので、結構早い時期からクライアント企業に通わせてもらい、受託した仕事を1人で担当しなければならなかったり、結構楽しかった。エンジニアとしてのスキルを磨くには、とてもいい環境でした」

■ソフトウェアハウスの仕事に限界を感じた

 しかし、入社後2、3年して自信がついてくると、次第に仕事に物足りなさを感じるようになる。その理由は何だったのか。

 「SEが作った概要設計を詳細設計に落として、ガリガリとプログラムを書くだけの仕事に嫌気がさしてきた……。しっかりとお客さんのところに通って話を聞き、何を作ればいいのか、バックグラウンドを十分理解したうえで仕事をしたくなったのです」

 ハッキリいえば、ソフトウェアハウスの仕事に限界を感じていたのだ。

 その理由として、彼が勤務していたソフトウェアハウスでは、「技術志向ばかりが強く、お客さんのニーズをきちんととらえてお客さんが本当に困っている部分にソリューションを当てはめるような、画期的な“アイデア”を生むカルチャーがないのだ」という。

 「だから、お客さんが実際にソフトを使ってみてから、『イメージしていたものと多少違う』といったコメントをいただいてしまう。要求定義の段階で、きちんとバックグラウンドを聞かせてもらえば、プログラマとしての意見がいえるのにな、とよく思ったものです。例えば、こんなのVBで書くのではなくてエクセルで十分クライアントのニーズを満たせるんじゃないかな、とか……。こういう環境の中で働いていていいのか。エンジニアとしてのキャリアに不安を感じました。もう少し上流、そしてお客さんの近くで仕事をやりたくなったのです」

 こうして新たな職場を求めて、@ITジョブエージェントに登録する。

■コンサルタントの働きぶりを学ぶ

 「エージェントを利用したのは、自分で探すよりは、IT業界の事情もよく分かっているし、情報量も全然違うと思ったからです。技術計算系のソフト開発という狭い領域にいたので、自分自身の価値がどの程度なのか、今後のキャリアをどう設定したらいいのかといったことを相談したかったということもあります」

 冒頭でも述べたとおり、当初、佐治氏はWebシステムの構築や企画プロデュースといった仕事を希望し、業務系SIerへの転職を念頭に置いていた。しかし、ジョブ・エージェントのコンサルタントと話を重ねるうち、こうした考えは次第に変化を見せ始める。

 「コンサルタントの方と話しているうちに、本当は自分が何をやりたいのか、だんだんと整理されてきました。自分で気付いたというより、気付かせてもらったという感じですね(笑)。技術が好きなので、テクニカルスキルに磨きをかけていきたいし、技術にかかわる仕事に携わりたいという気持ちが強かった。そのうえで、より顧客に近いフィールドで仕事をするために、きっちりと業務知識も身に付けながら、上流の仕事もできるようになりたいというふうに方向性を定めたのです」

 @ITジョブエージェントから紹介を受けた大手コンサルティングファーム系のシステム会社は、佐治氏が描くキャリアプランにマッチしていた。話はトントン拍子に進み、3回の面接を経て内定を獲得する

 「第一印象が良かった。すごくフランクな雰囲気の会社であるし、生き生きとしていました。そのうえ、実際にテクノロジの実装もしっかりやっているし、顧客の会社に常駐して仕事をするというスタイルも気に入りました。また、親会社がコンサルティングファームなので、コンサルタントの仕事のやり方も勉強できるという点でも魅力的でした」

■“技術屋”的発想を捨て去りたかった
 
 人気のコンサルティング系ということで、採用へのハードルは高かったが、佐治氏の場合、きちんとした技術力を持っていたため、これから業務知識を積み上げていけば、コンサルタントとしてもやっていけると判断された点が採用の決め手となったようだ。27歳という年齢を考えれば、ポテンシャルが評価されての採用といっていいだろう。

 入社してほぼ半年がたつが、「顧客への配慮、対応方法などの点でコンサルタントから学ぶことは多い」と語る。同時に、「自分の中にいかに“技術屋”的発想が染み付いていたかということにもあらためて気付かされた」とも……。

 「エンジニアの仕事はサービス業だということを再認識しました。例えば、コンペで使うプレゼン資料にしても、コンサルタントは常に顧客のことを考えて、細かい部分まで丁寧に作る。話題の進め方、いい回しなども顧客の立場によって変えていく。コンサルティングファームとSIerは、やっていることは似ていても、SIerはこういう部分までは気が回らない。どうしても、『あとはこっちで作るから任せてよ』みたいな態度が出てしまう。ソリューションを顧客に対するサービスとして提供する姿勢というのは本当に見習うべきだと思うし、コンサルタントと一緒に仕事をしていて日々気付かされることは多いですね」

 現在は実装まわりを主に担当しているが、将来的にはプロジェクトのマネージメントや、より上流部分の仕事も手掛けていきたいという。

■転職はキャリアの幅を広げるもの

 「エンジニアは、コーディングをきれいに書くとか、Javaでどうクラスを設計するかといったところに喜びを見いだしてしまいがち(笑)。でも顧客からしてみれば、それはどうでもいいこと。むしろ、予算やスケジュールを勘案したうえで顧客のニーズを満たす、より最適な解を提案・提供してあげられることが大切です。システム開発工程の要求定義の段階から参加して顧客ニーズを把握し、的確なソリューションを提供する。それでいて、自分でも手を動かし実装を行う。そんなコンサルタントを目指したいと思っています」

 こうした発想は、転職前にはなかったもの。とすれば、今回の転職は、佐治氏のキャリア形成に大きな影響を与えたといっていい。

 「コンサルタントという選択肢は、当初まったく頭にありませんでした。でも、いま考えれば、やりたかった仕事はSIerのエンジニアではなく、ITコンサルタントだという確信を持ちました。転職したことによって、自分のキャリアの幅が広がり、将来のキャリアビジョンを考えることもできた。その意味でこの転職は成功でした」

 「転職は自分のキャリアの幅を広げるもの」――佐治氏は心からそう実感している。

担当コンサルタントからのひと言
 佐治氏の場合、お会いした当初はWeb系のシステム開発と経営という、方向性の異なる広いご希望があったので、まずは方向性をよりクリアにすることからカウンセリングを始めました。

 大手コンサルティングファーム系のシステム会社を紹介したのは、業務知識が身に付くことと上流工程にかかわれるという点が、彼の希望に添っていたからです。

 彼の論理的思考能力や、コミュニケーション能力、さらにヒューマンスキルがこの会社の求めるものに近かったために転職できたのだと思います。


 リーベル 代表取締役 石川隆夫氏

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