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〜自分戦略研究所 転職者インタビュー〜

転職。決断のとき

第14回 英語力を生かし、IT技術者として飛躍したい

中村京介
2004/5/12

 スキルを上げるため、キャリアを磨くため、給料を上げるため――。エンジニアはさまざまな理由で転職し、新しい舞台で活躍する。では、転職の決断をするのはいつなのか? そしてその決断に至った理由とは何だろうか? その決断のときを、今回は@ITジョブエージェントを利用して転職したエンジニアに尋ねた。

今回の転職者:小高博文さん(仮名・31歳)
プロフィール大手メーカーの半導体技術者を経て、システムエンジニアに。英語力を武器にプロジェクトマネージャとしてシステム会社に転職する

■社内公募制度で念願のシステム開発部門へ

 一般的に、企業がエンジニアが採用する際、「職務遂行に十分なスキルやキャリアがあるか」、あるいは「まだ20代で成長するポテンシャルがあるか」などを見るケースが多い。こうした中、システム開発経験がわずか2年にもかかわらず、30代で上流工程に携わるエンジニアへの転職を成功させたのが、小高博文氏(仮名・31歳)だ。

 大学で主に物理を専攻していた小高氏は、その延長線上で、大手メーカーに半導体の技術者としての道を歩むために就職。以後7年間、半導体のデータ解析やその関連部署でキャリアを積む。米国への2年間の転勤も経験した。キャリアの転機となったのは、2000年以降に訪れた“半導体不況”だった。

 「半導体需要が落ち込み、会社の半導体業務は大幅に縮小して、『この先どうなるか分からない』という雰囲気でしたね。もともと私の部署は半導体のプロセス技術、設計、評価のどれでもなく、全体の取りまとめなど雑多な仕事が多いところ。正直、働いていてもあまり楽しくなかった。エンジニアとしてスキルを蓄積できる仕事ではないので、将来転職したときのことを考えると不安は大きかった」

 ちょうどそのころ、社内公募制度で、システム開発の部署に異動できるチャンスがあることを知る。

 「エンジニアの仕事を選んだ以上、システム開発をやりたいという気持ちは以前からありました。大学時代にプログラミングの講義があり、結構楽しかったので、本当はそちらの方が自分に向いているのではないかと感じていました。ただ、実務経験がまったくない中で、いきなりシステム開発系の会社に転職することが、とても難しいということは分かっていました。その点、社内で募集していた部署は、経験がなくても最初に教育を受けさせてくれるということでしたから、まさに渡りに船だったわけです」

■異動後2年で転職を決意する

 こうしたキャリアチェンジは、幅広い事業を抱える大手メーカーならではのメリットといえるが、29歳での“社内転職”はポジティブな効果をもたらした。

 「仕事の内容は病院のCTスキャンやMRIなど画像診断装置の遠隔操作システムを開発するものでした。自分の興味と重なる部分なので仕事はすごく楽しかった。異動してすぐにJavaの勉強をやらせてもらい、実際に手を動かしてプログラミングをすることで、基本的なスキルを身に付けることができました」

 転職のリスクを回避したうえで、うまくキャリアチェンジを果たした小高氏。ちょうど彼の年代がいない部署だったので、異動後、早い段階でプロジェクトマネジメントを任されるようになった。しかし、異動して2年後、転職を決断することになる。

 「仕事は面白かったけれども地方勤務。最初は東京勤務と聞いていたのですが、この部署の本拠地が地方にあったのです。それも、最初は半年だけの研修という話だったのですが、いつの間にか2年が過ぎました(笑)。結婚していたので単身赴任でしたが、2年がたち、地方の会社が本社から分社して、他社と合併することになり、東京に帰ってくることも厳しくなりました……。しかも、次第にシステム開発とはあまり関係のない仕事が増えてきたので、思い切って転職を考えたのです」

■31歳という“マイナス条件”をハネのける

 転職が珍しい話ではなくなったが、大手メーカー勤務という安定を捨てることに抵抗感を抱く人は少なくない。勇気のいる決断を後押ししたのが、2年間のアメリカ勤務の経験だった。

 「アメリカ人とドイツ人が主流の職場でしたが、会社を辞める人は多かったし、途中入社もたくさんいました。彼らの行動を見て、自分のキャリア感、転職に対する考え方はかなり柔軟になったと思います。転職するまでのんびりと働いてきた面があるので、社外に出て厳しい目にさらされて大丈夫なのかという不安はありました。ただ、このまま会社に残ってもエンジニアとしてスキルアップできないという思いの方が強かったですね」

 しかし、転職の際には、「2年間」という短い実務経験と、31歳という年齢が現実問題としてのしかかってきた。@ITジョブエージェントを通じて登録した人材紹介会社の中から、「年齢的に厳しい」とのコメントをもらったこともある。その小高氏が転職に成功した大きな要因が、英語力だ。

 転職先を選ぶ際は、以下の3つを条件として提示した。それは「システム開発関係の仕事であること」「勤務地が東京であること」、そして「英語を使える仕事」であった。

 「英語は使わないとどんどん忘れていってしまいます。だから、英語を使える職場というのはやはり魅力的でした」。小高氏がアメリカから帰国後に受けたTOEICのスコアは900点を超える。この高い英語力は、企業の目を引き付けた。一般的に実務経験が重視されるエンジニアの転職において、小高氏のケースは、「英語力」というテクニカルスキル以外の部分が重視されたまれな例といえるだろう。

■技術力よりもプロジェクト管理力を伸ばしたい

 結局、応募したのは、大手海運会社系システム会社1社。しかし、話はトントン拍子に進み、あっという間に内定となる。

 「勤務地は東京で、ビジネスの相手が海外なので英語も使う。さらに、海外勤務の可能性もあるということでしたので、自分の条件にはピッタリと思いました。面接は1次面接と役員面接の2回。緊張せずスムーズに行うことができました。役員面接では、『結果はまだなんだけれども、配属されるかもしれない部署の人たちとちょっと会ってくれ』といわれました(笑)」

 現在は、自動車システムチームという部署で、自動車メーカーが船で車を運ぶ際に必要なシステム開発を手掛けている。といっても、コーディングはほとんどすべて外注に出すため、実際には、顧客と直に接する上流工程に属する仕事だ。地方勤務の時代には、顧客と直接接することは皆無だったうえ、2年間の短い実装経験。もちろん、不安がないわけではない。

 「技術的な問題が起きたときに、現場の技術が不足しているため、プロジェクトのリスクポイントについての勘が働きにくいということは確かに否定できません。ただ、いまさら現場の知識を身に付けようとしても限界があります。むしろ、プロジェクト管理能力を伸ばし、そちらに特化していけたらと考えています」

 近日中には、中国国内での輸送システムの開発をめぐって中国企業と折衝するため、上海への出張が予定されている。若いエンジニアから見れば、上流工程で海外顧客折衝というあこがれのポジションにいる。

 「前職はお客さんと折衝してこなかったから、緊張はあります。でも嫌だという気持ちはまったくないし、むしろそういう環境を楽しんでいきたいですね」。社内公募で始まったエンジニアのキャリアを経て、今後はプロジェクトマネジメント力を究めたいという小高氏。グローバルなフィールドの中で、加速度的に進化していくことだろう。

担当コンサルタントからのひと言
 小高氏はソフト開発のエンジニアの経験が短かったので、コンサルティング時には、「テクニカルスキル以外にどんな強みがあるのか」、そして転職先選びの条件として「何を優先するのか」を理解することに注力しました。

 転職先企業を紹介した理由は、社風や仕事内容が希望に合っていたことと、採用時に重視するポイントが小高氏の強みと一致していたことです。仕事内容は、海外の協力会社を含めたプロジェクト全体をまとめるものでした。

 そのため、開発実務で必要なテクニカルスキルよりも、人物やコミュニケーションスキル、海外での生活経験を重視していました。この点がまさに小高氏の強みと一致していたのです。自分の強みを生かした転職の好例だと思います。

リーベル
 代表取締役 石川隆夫 

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