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〜自分戦略研究所 転職者インタビュー〜

転職。決断のとき

第16回 プログラマからWeb開発の専門家を目指す

横山渉
2004/7/7

 スキルを上げるため、キャリアを磨くため、給料を上げるため――。エンジニアはさまざまな理由で転職し、新しい舞台で活躍する。では、転職の決断をするのはいつなのか? そしてその決断に至った理由とは何だろうか? その決断のときを、今回は@ITジョブエージェントを利用して転職したエンジニアに尋ねた。

今回の転職者:坂口敏樹氏(仮名・29歳)
プロフィール国立大学で情報工学を専攻、さらに大学院を修了し、地元のソフトハウスへ。プログラマからのキャリアアップが望めない職場環境に見切りをつけ、今春転職。

 エンジニアの場合、人間関係の問題もあって、派遣先への出向を嫌がる人が少なくない。しかし、その派遣先に興味のある仕事が待っているならば、積極的に手を挙げて活路を開いていくのも1つの手だ。坂口敏樹氏(仮名・29歳)の場合、派遣先への出向はスキル向上とその後のステップアップ転職への序章だったのである。

■大学院修了後は地元企業に入社

 中学時代の恩師の影響でコンピュータに強い関心を持つようになり、高校生のときから「MSX」に慣れ親しむようになった。地元の国立大学に進み、興味の延長で情報工学を専攻する。

 「高校に入学したときから進路は理系で、何らかの形で専攻はコンピュータ関係にしようと思っていました。モノづくりが好きなのですが、その興味がたまたまコンピュータに向かったのかもしれません」

 大学卒業後は大学院に進み、さらに研究を続ける。研究課題はJPEGやMPEGといった画像の圧縮符号化。かなり専門的な内容だ。2000年3月に大学院を修了した際、研究室のメンバーの就職先は印刷関連が多かったというが、地元での就職を選び、中堅のソフトハウスに入社した。

■プログラマのキャリアから脱却できず、よぎる不安

 その会社は社員数150人ほどで、主にソフトウェアの受託開発を行っている。プログラマとしてスタートし、重機の制御機器を操作しやすいようにサポートするソフトウェアの開発が最初の担当だった。

 「VB、VCを使って主に画面周りのプログラミングをしていました。大学のときからC言語でテストプログラムを組んだりしていましたので、プログラミング自体は嫌いじゃなかったですね」

 ソフトウェア開発という点でイメージしていた仕事とは大きく違っていなかったものの、設計周りの仕事が少ない会社だったので、スキルアップの面で不満を感じていた。2年間プログラマとしての経験を積んだころ、客先に常駐する仕事が回ってきた。

 「ずっとプログラマでいるのもどうかな、という気はしていました。ずっと続けていても自分のプラスにならないし、将来は新しい開発案件に取り組みたいと考えていましたので……」

 坂口氏の入社した2000年前後は、JavaでのWeb開発がメジャーになり始めてきたころだ。常々Javaの開発にチャレンジしてみたいと考えていたとき、「そういう仕事があるけどやってみるか」というチャンスに恵まれた。しかし、その仕事に携わるのは社内から坂口氏1人で、それまでJavaの開発経験はゼロ。大きなチャレンジだ。

 「常駐先で仕事をしながら、必死に勉強する毎日。分からないことがあったら、自分で解決したかったので、家にサーバを立てたりもしました」

■客先常駐の出向が大きな転機に

 出向先は、重機メーカーの情報システム部門が独立した会社だった。最初のプロジェクトはERPパッケージソフトのカスタマイズで、メンバーは4〜6人。メーカー内の業務改革の一貫で実施された作業だったが、それほど業務知識が要求される仕事ではなかったようだ。

 2つ目のプロジェクトは、予算管理システムの開発だ。担当は実装のフェイズからだが、設計が甘かったために再度の作り直しもしばしば。納期は遅れに遅れた。設計にユーザーの意向があまり反映されていなかったことがあったからだ。

 最初はプログラマとして携わっていたものの、徐々に設計周りや保守運用まで手伝うようになり、そうした分野でも少しずつノウハウを得た。出向先でのプロジェクトはいずれもハードだったが、社内で仕事をしていた2年間よりも帰宅してから勉強する時間を作ることができるようになったという。

 「出向によってエンジニアとしてスキルアップできました。社内から私1人という状況が、かえってよかったのかもしれません。頼れる人が誰もいない環境なので、問題が発生したらすべてを自分で勉強して解決策を考えなくてはいけなかったからです」

 その後のキャリアを考えるうえで、出向先での仕事からは大きな刺激を受けたようだ。JavaでのWeb開発を行うには、言語知識だけでなくネットワークなどの知識も当然求められる。プログラミング以外の作業についても、学ぶことがたくさんあったのだ。そして、コツコツと勉強を続けることでエンジニアとして着実にスキルアップしていった。

■プロジェクトの“切れ目”に円満退社

 出向先で実務経験を積むに従い、次第に転職願望が強くなっていった。「プロジェクトの終わりが見えてきたころ、その思いはますます強固なものに。自社に戻ってもこれ以上興味の持てる仕事が回ってくるような気がしなかったからです」

 転職するのであればタイミングは、「プロジェクトの終了時がベスト」と考え、@ITジョブエージェントに登録した。

 「ただ、何が何でも転職しようとは考えていませんでした。顧客先で新しいプロジェクトが入るかもしれないという話をプロジェクトマネージャから聞いていましたし、その人から『次も頼む。片腕になってほしい』といわれたからです。その時はすごくうれしかったですね。エンジニアとしての力量が認められたという実感がしました」

 実際に転職活動を開始したのは2003年の12月上旬ごろで、主にWebサイトを活用していた。坂口氏は、周囲に転職サイトを利用して転職した人はいなかったというが、普段からサイトで転職経験談を読んでいたという。

 「人材紹介会社のコンサルタントのように、企業の実情を知っているプロに頼んだ方が安心かと思いました。また、自分のスキルがどの程度なのかも心配で、カウンセリングをお願いしました」

 その結果、5社提案された中から2社と面接することが決まり、そのうちの1社に転職が決まった。坂口氏が上司に相談したのはすでに内定が出た後で、しかも退社予定日はプロジェクトとプロジェクトの“切れ目”。絶好のタイミングといえるだろう。

■Web開発やマネジメントスキルを伸ばす

 転職先選びの条件は、「上流工程に携われること」と「Javaのシステム構築ができること」、そして、派遣先で必死に勉強した「ネットワーク関連の知識を使えること」の3つだった。

 「下流工程の仕事がイヤになったというわけではありませんが、やはりシステム全体を一通り見渡してみたいという気持ちがあったからです」

 転職した会社は大手金融グループのシステム会社で、グループ内の開発案件がほとんど。金融系のシステムは、専門的なうえにシステムの停止がすぐに大きな損害につながるというシビアな世界だ。面接は、現場のリーダー、部長、役員の3回。Web関連の仕事ができることと、ネットワークのインフラ周りの構築も担当できるというのが、魅力だったようだ。

 「業務知識が不足していたので、金融系のシステムに携わることが今後のキャリア形成に役立つと思いました。また、ネットワークのインフラも金融系だとかなり複雑なシステム設計になっています。これまでそういうシステムにチャレンジする機会がなかったので、新しいノウハウが得られそうな気がしました」

 現在担当しているのは、社内のWebアプリケーションの移行作業。これは、社内システムの刷新で社内サーバの入れ替え作業に伴う仕事だという。まだ直接的に金融系特有の厳しさを味わう場面はないものの、会社の雰囲気として緊張感は感じると坂口氏は話す。

 将来のビジョンについては、5年後にWebシステム開発のスペシャリスト、次にプロジェクトマネージャを経験したいという。

 「10年後に中規模プロジェクト、15年後に大規模プロジェクトのマネジメントができればいいと思っています。業務知識では金融系、開発言語ではXMLを学びたいですね」

 会社からは「仕事を取ってくれば何でも好きなことをやっていいよ」といわれているそうで、坂口氏は営業的な手腕も期待されているようだ。

担当コンサルタントからのひと言
 坂口氏にお会いしたいと思ったのは、「Javaを独力で習得し、客先のシステム開発を行った経験がある」という点に興味をひかれたからです。真面目で芯の強そうな、いかにもITエンジニアという印象でした。

 学習意欲が高いこと、人間的に芯が強い点があることなどから優れたITエンジニアのセンスを感じ取りました。ITの世界は技術改新が早く、自ら学ぶ姿勢のある方が尊重されます。

 本人の希望を確認し、条件に合う5社を選び、2社より面接の依頼が入りました。1社目の面接は、「緊張してしまい十分な受け答えができず、失敗だった」ということでしたが、内定の通知がきました。人事担当者は、「本人の真面目さ、自ら学ぶ姿勢を評価しての結論」とのことでした。金融機関のシステム構築で大きく成長することが期待できる楽しみな人材です。

 転職活動を始める方へのアドバイスとしては、企業が何を教育してくれるかを期待するよりも、自ら何かを学び取る意欲を示すことを心掛けていただければと思います。


ヒューマンリンク 人材紹介事業部長 小野昌成 

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