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〜自分戦略研究所 転職者インタビュー〜

転職。決断のとき

第18回 Javaを捨ててでもWindowsを究めたかった

岩崎史絵
2004/9/8

 スキルを上げるため、キャリアを磨くため、給料を上げるため――。エンジニアはさまざまな理由で転職し、新しい舞台で活躍する。では、転職の決断をするのはいつなのか? そしてその決断に至った理由とは何だろうか? その決断のときを、@ITジョブエージェントを利用して転職したエンジニアに尋ねた。

今回の転職者:小倉秀雄さん(仮名・32歳)
プロフィール■4年9カ月在籍した大手総合電機メーカーを退社。前職ではJavaによるCASEツールやフレームワークの開発に従事していたが、「個人的に親しんできたWindows開発の知識を仕事で生かしたい」との思いから2004年1月、パソコン周辺機器メーカーに転職。現在、Windows APIによるプリンタドライバの修正プログラムの解析や開発を担当する。

■Java技術者の道を捨ててもWindowsの開発がやりたかった

 技術にほれ込んでいるエンジニアなら、誰もが「この技術を使った仕事をしたい!」と思うことだろう。だが仕事で使う技術と、自分の好きな技術が同じ場合は少ないだろう 。いくらC言語やC++を使ったプログラム開発が好きでも、仕事でその技術を使った案件があるとは限らない。時には、自分の興味範囲からまったく外れた技術を勉強しなければならないこともある。

 今回紹介する小倉秀雄さん(仮名・32歳)は、まさにこうした 「好きな技術を仕事にしたい」という意欲が転職に駆り立てた事例といえる。しかも、業界的にホットなJavaエンジニアという道から Windows開発での再スタートという非常にレアなケースだ。

 理工系の大学院を卒業し、1999年4月に総合電機メーカーに就職した小倉さんは、Javaを使ったCASEツールやフレームワークの開発に従事。だが心の中には「Windows系の開発をやりたい」という思いをずっと秘めていた。「エンジニアが仕事をするうえで、『こういう技術を使いたい』というモチベーションは非常に重要です。それが満たされれば、職場に少々の不満があっても我慢できる。しかし興味も関心も薄い技術の習得を強いられるのは、精神的につらいものがありました」

■プログラミングで20年の“実績”を積む

 小学生のころからパソコンが趣味で、自分でプログラムを組んでいた小倉さん。プログラミングのキャリアは20年を超える。パソコンに触れたきっかけは、会社の経理部に在籍していた父親が、自宅で経理プログラムを組むためにパソコンをそろえていたため。小倉さんいわく、「こうした環境の中で、自然に技術が身に付いていった」とのことだ。

 Windows 95が出た直後から、小倉さんはWindows SDKを使ったWindowsプログラミングにのめり込むようになった。好きだからこそ、Windows関連技術は積極的に学んだし、また知識を吸収するのも早かったという。

 自身のことを「技術が好き、開発が好きなエンジニア」と分析する小倉さんは、大学でも当然のように計算機科学の分野に進み、修士課程を修了。就職は研究室推薦で、大手総合電機メーカーに決まった。しかし「このときから転職への布石が敷かれていたのかもしれません」と小倉さんは振り返る。「大学ではWindows技術を専門にやることはないし、それこそあらゆるプログラミング技術を一通り学ばなければなりません。また研究分野についても、研究室の枠にはめられた中で選ばないといけなかったため、自分が本当に究めたい技術はやはり趣味の中でやっていくしかありませんでした。さらに就職も研究分野の延長線上で推薦してもらうため、『仕事で使う技術』と『好きで究めたい技術』が異なっていたのです」

 就職して配属されたのは、総合電機メーカーの研究所だった。小倉さんは、ここでJavaを使ったCASEツールの開発を担当することになった。「とにかく技術者として開発経験をたくさん積むことが必要」という意識の下、Javaの勉強にいそしんだ。いい意味で個人プレーが認められ、裁量労働が可能だったという職場環境にも不満はなかった。趣味のWindowsプログラミングは帰宅後や土日など、会社外の時間に楽しむ余裕もあった。

 転機が訪れたのは研究所に配属されて2年半たったころ。グループ会社に1年の出向を命じられたのがきっかけだ。それまで行っていたCASEツールの開発ではなく、Javaフレームワークの開発だった。

 この時点で小倉さんは次のようなことに気付いた。「Javaの案件は“技術が好き”という自分の希少価値が発揮されにくい。自分の強みは技術が好きなことであり、中でも好きでコツコツ組んできたWindowsプログラミングの知識を仕事として究めたい」と。

■趣味の実績と仕事の実績は違う

 とはいえ、小倉さんはすぐ転職活動を開始したわけではない。まずは社内異動という手段を検討した。ところが会社の制度上、出向期間中は社内異動の申請が出せなかった。そこで出向期間中の1年間は“修行の時”としてじっくり待つことにした。ただ、念には念を入れ、出向して数カ月たった2002年末に@ITジョブエージェントに登録。この時点ではまだはっきりと「転職する」と決めたわけではなく、取りあえずといった気持ちでプロフィールを登録しただけだという。

 出向先から戻ると、早速社内公募への応募を開始。しかし、なかなか希望部署へ異動できずに、転職を考えるようになった。そこで小倉さんは@ITジョブエージェント経由でテクノブレーンの人材コンサルタントに連絡した。なぜテクノブレーンを選んだのだろうか。その理由は「Webサイトに載っていた会社紹介や業務内容の理念に共感したから」だという。現在はWebサイト上に多くの転職情報が掲載されている。そのため、転職情報誌に頼ることは一切なく、テクノブレーンと二人三脚で転職活動を開始した。

 小倉さんの希望ははっきりしていた。やりたいことは「Windowsを使ったミッションクリティカルなアプリケーション開発か、組み込み系の開発エンジニア。好きで学んだC言語が生かせる職場がいい」と。

 ところがここで、1つの壁に突き当たった。確かにプログラミングのキャリアは20年以上あり、Windowsの開発経験も独自で積んでいたが、実務経験がなかったのだ。いくら独学で技術を学んできたといっても、転職では職業上の実務経験がモノをいう。実際、「未経験という壁は予想以上に厚かった」と小倉さんは振り返る。

 そのため履歴書の書き方も工夫した。職歴をそのまま書くと、Java開発者としての実績しか評価されない。そこで「やりたいこと」を前面に出し、職歴以外の部分でVisual Basic(VB)やC言語での開発実績をアピールする方策を取った。

 その職務経歴書をテクノブレーンのコンサルタントに見せ、戦略を立案。具体的に独学の実績を記載し、さらに職務上の実績も挙げることで「バランスの良い、優れた技術力を持つ」という自身の強みを盛り込んだ。これが功を奏し、2社から面接のオファーを得た。面接時も、Windows開発の実務経験がないことを問われたが、具体的にどのような知識を身に付けてきたかを述べることで、この点をクリアしたという。

■やりたいことができれば、待遇面は二の次

 2社のうち、1社は前職と似たような大企業のパソコン周辺機器メーカーで、待遇もほぼ以前と変わらなかった。もう1社は、規模的にはやや小さいものの、常に多忙で待遇の大幅アップが見込める計測機器メーカー。考えた末、小倉さんは前職と同じ規模、待遇のパソコン周辺機器メーカーに転職を決めた。その理由について、小倉さんは次のように語る。

 「パソコン周辺機器メーカーの方は、自分のやりたい技術を使う仕事内容が明確だったのに対し、計測機器メーカーの方はそこが少しあいまいでした。仮に計測機器メーカーの方に転職して、また自分の興味範囲と異なる仕事が割り振られたら、お互いに不幸になるだけですから、むしろ給与面などのメリットは捨てて、本当に自分がやりたい仕事を提示してくれた会社を選んだのです」

 こうした経緯を経て、2004年の1月に入社。現在、転職して8〜9カ月近くなったところで、小倉さんは「仕事内容にも職場環境にも不満はありません」とキッパリいい切る。仕事で使うWindowsプログラミングの知識は、独学で身に付けたものとまったく違うものだ。苦手だと思っていたところもこなさないといけない。その分、技術知識のバランスが良くなり、技術に対する興味がますますわいてきたという。

■最低3年間は開発のキャリアを積むこと

 見事自分のやりたい分野への転職を果たした小倉さんだが、キャリアを積んでいくのはむしろこれからといえる。「将来は技術の専門家としてのプロジェクトマネージャ、もしくはリーダーを目指したい」と語る小倉さんは、とにかくいまは開発経験を積む時期ととらえ、帰宅後や週末の勉強にも余念がない。また転職先の開発プロジェクトでは、海外の関連会社と連携を取りながら進めていくため、英語を使う機会も増えた。これも転職して得られたメリットの1つだという。

 「とにかく3年は開発経験を積み、知識を付けること。これが今後のキャリアを左右します」

 最後に、異なる分野への転職を希望するエンジニアに向けて、次のように語った。「未経験の分野に応募するには、何よりも熱意と勉強が大切です。自分が抱いている熱意を、具体的にどのような形で現実のものとしていったか。それをうまくアピールできれば、未経験でも異なる分野への転職は可能だと思います」

担当コンサルタントからのひと言
 小倉さんは前職でJavaの社内講師を務めるなど、Javaのスキル的にはまったく問題はありませんでしたが、小倉さんはやりたいことがはっきりとしており、望む仕事とずれていました。「JavaではなくC言語開発が中心のキャリアにシフトしていきたい」ということだったのです。

 私は、未経験の職種に近いこともあって、直接お会いして時間をかけてゆっくりと話をしました。まず、職務経歴書の書き直しから始めました。Javaを前面に出さず、C言語中心の職歴で書くように依頼をしました。独学の部分も含め、経験してきたことをできるだけ職務経歴に入れました。そこで、やりたいことが伝わるような職務経歴書が作成できたのです。

 その後、小倉さんの希望に合致する企業を探しました。結果的に、5社ほど候補企業が挙がり、そのうち2社に書類を出して面接を受け、どちらが自分のやりたいことを実現できるかというところでいまの会社を選んだのです。

 年収や待遇などで転職先を決める方もいらっしゃいますが、流行だけではなく、自分のやりたいことを追求し、キャリアプランを考えることができるようになれば、成功への近道だと思います。

 未経験というこれまでとは異なる分野への挑戦をした小倉さんは、恐らく入社してすぐはつらいことをたくさん経験してきたと思います。それを乗り越えた小倉さんは、今後さらに成長し成功するのは間違いないでしょう。

テクノブレーン 人材事業部 コンサルタント 山岸雅己
              

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