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転職。決断のとき

第29回 学歴も年齢もハンデにしない

岩崎史絵
2006/2/21

マネージャ志向だったが運用管理担当者へ

 「当時の会社は、ある大手SI会社と業務提携していました。その提携先がインターネットプロバイダ事業を始めるに当たり、こちらからも立ち上げに参画することになって、私もその一員として派遣されたのです」(岸本さん)

 立ち上げに当たって岸本さんは、Webサーバの構築、サービスとして提供するためのフリーソフトの調査・選定などをこなしていった。これがそのまま「プロバイダのサーバ運用担当」と、いつの間にか運用管理者に任命されるきっかけとなってしまった。「晴れてSE職に就き、クライアント先での折衝やシステム設計をやりたいと思っていたのに……、結局その後7年間は運用管理担当者として辛抱することになりました」(岸本さん)

 マネージャ志向が強かった岸本さんにとって、新しいプロバイダ事業はすべて提携先企業のスタッフが実権を握り、自由に仕事を開拓できる雰囲気ではなかったことは不満だった。意に沿わない仕事内容や立場に置かれ、それでも7年間辛抱したのは「どんな形であれ、インターネットという新しい技術に触れる意味が大きいと思ったからです。私は当時、ピュアな技術者を目指していたわけではなかったのですが、将来IT企業のマネージャ職を目指すうえで、新技術の何たるかには通じておく必要があると思っていました。また開発と違って比較的勉強する時間が取れたので、マネジメント学や思考法などについて独学する時間があったのもありがたかったです」(岸本さん)と語る。

知識と経験に見合う待遇を求め、管理職へ

 2001年、岸本さんはベンチャー系ソフトハウスにプロジェクトマネージャとして転職。さらにそのソフトハウスを退職後、大手SI企業の系列会社でもプロジェクトマネージャとして入社した。この時期はちょうどオブジェクト指向開発が主流となり、その技術や考え方が盛んに雑誌をにぎわせていた。

 岸本さんも管理職としてオブジェクト指向の考え方を勉強し、その理論に興味を覚えた。次に考えることは「こうした最新技術は市場に何をもたらし、どういう価値を提供できるのか」という点だ。徹底してマネージャ志向であり、ビジネスとしての価値を見出す努力を忘れなかった。

 ただしそんな岸本さんの努力を、転職先の2社は存分に生かしきれたとはいい難い。例えばベンチャー系ソフトハウスでは、受託開発チームのマネージャとして岸本さんを迎え入れたものの、企業戦略として受託開発を廃止し、パッケージ開発・販売に注力することとなったために退職することになった。またプロジェクトマネージャとしての報酬も非常に低かった。また次に転職した会社では、某官庁システムの保守・運用業務だけで成り立っており、創造性や独自性を発揮できる機会が皆無だったという。

 そこで岸本さんは2005年早々に、「@ITジョブエージェント」に登録し、転職の機会を待つことにした。@ITジョブエージェントを選んだ理由は「ここなら優良なIT企業を紹介してくれると思った」(岸本さん)からだ。昔と違い、いまは転職者と企業とのニーズをエージェントがマッチングさせ、双方に実りある転職を実現する時代。岸本さんは転職先への希望条件に、「ウソをつかない会社であること」「よりよい事業計画を持ち、正当な評価をしてくれる会社であること」を挙げた。「理想だとは分かっていましたが、自分の希望や思いをありのままに表現し、いい転職をしたいと思ったのです」と語る。

 @ITジョブエージェントに登録後、エージェント5社からアプローチがあった。当時年齢はすでに40歳を超えており、また管理職を希望していたことから、エージェントの力を借りることに抵抗はなかった。「でも、年齢的な問題や学歴のこともあり、転職活動は一筋縄ではいきませんでした。そのうちエージェントからの連絡も途絶え、さすがに気落ちすることもありましたが、最後まで応援してくれたキャプランさん(エージェント)や家族の支えがあって、いまの会社に転職できたのです」と岸本さんは語る。

転職成功の秘けつは「あきらめないこと」

 「キャプランさんにいわれたのは、『管理職での転職は、能力や年齢ではなくその企業に合うか合わないかという印象の要素が大きい』ということです。そういわれて、初めて自分の能力が否定されたわけではないのだと実感できました」(岸本さん)

 岸本さんはあきらめなかった。インターネットなど新しい技術を用いて、新しい価値を提供したい。いい仕事をするためには、自分の価値を最大限に評価してくれる企業にいきたい。こうした願いをかなえてくれたのが、現在所属するインフィニアムだった。

 インフィニアムは、単なるSI事業ではなく「クライアント先の価値を最大化する」ことをビジョンに掲げ、「コミュニケーション・インテグレーション」という独自のアプローチ法を持っている。これはWebをはじめとする技術を用いて、ビジネスにおけるさまざまなコミュニケーションを円滑にし、企業価値を高めるというものだ。当然、提供するのは単なるコンサルティングだけでも通り一辺のシステム構築でもない。最終的に提供すべきは「クライアント企業のビジネス価値の増大」であり、用いる技術や構築するシステムはその手段に過ぎない。クライアント先との深い信頼関係や、要素技術への広い知識が問われるという。

 「インフィニアムに決めた理由は、仕事内容が私の志向と一致していましたし、何よりこの会社が私の価値を最も評価してくれたからです。まだ転職したばかりですが、この会社で学び、その結果を返していくことに喜びを感じています」と岸本さんはいう。

 年齢や学歴のハンデを乗り越え、見事に希望どおりの転職を果たした岸本さん。「希望どおりの転職ができるかどうかは、『決してあきらめない』という姿勢にかかっています。それさえ忘れなければ、必ず求める転職先が見つかるでしょう」(岸本さん)と力強く語った。

担当コンサルタントからのひと言

 ご希望どおりの転職とおっしゃっていただき、担当コンサルタントとして本当にうれしく感じております。岸本さんからは、転職のみならず良い仕事をするには「あきらめないこと」が大事だと、あらためて教えていただきました。

 岸本さんは豊富なマネジメント経験があるだけでなくとても誠実な方で、私どもとも積極的にコミュニケーションを取ってくださいました。

 当初インフィニアム社をご紹介した際は、ご自身の希望職種やご経験と異なるのではといった感触をお持ちのようでした。求人票に記載されていた内容は先方ニーズの一面でしかありませんでしたので、その点について詳細を説明させていただきました。それならばということでご応募されたわけですが、こういったすり合わせを積極的に行ってくださったことも、良い結果につながった理由の1つと考えております。

 インフィニアム社へご推薦する際は、マネジメント経験の豊富さをはじめとする経歴と人柄についてお伝えするとともに、転職回数など書類選考上のネックとなりがちな部分はフォローさせていただきました。

 また、岸本さんからご相談いただいた際には、今後のキャリアビジョンの方向性についてご自身で判断いただけるよう、精いっぱいサポートさせていただきました。

 岸本さんの今後のさらなるご活躍を心よりお祈りしております。


 
今回のインデックス
 学歴も年齢もハンデにしない (1ページ)
 学歴も年齢もハンデにしない (2ページ)



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