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なぜ、彼らは転職を考えたのか

第1回 「残業したくない」に隠された、本当の転職理由

アデコ
藤田孝弘
2007/5/11

問題の本質を解決するには?

 では、加山さんは将来の目標をどこに置くべきなのでしょうか。

藤田 加山さん、目標にしたい先輩は社内にいますか。

加山 正直なところ、思いつきません。

藤田 それでは、プロジェクトで一緒に仕事をする人の中ではいかがでしょうか。

加山 元請けのSIerのプロジェクトマネージャに山崎さん(仮名)という人がいて、非常に優秀な方だと思います。

藤田 目指す人はその人ですね。

加山 そのとおりです。しかし、山崎さんは優秀すぎて、私に同じことができるとは思えません。

藤田 いますぐは難しいかもしれませんが、山崎さんも最初は新人から下積みをしたはずですよ。

加山 ……ということは、山崎さんがいるような会社で経験を積めれば、私も山崎さんのようになれる可能性があるということですね。

藤田 そうだと思います。新しい目標が決まりましたね。

 加山さんが所属するのは、2次請け〜3次請けが中心の中堅ソフトウェアハウスです。加山さんは、自分が望むようなスキルアップをするためには、元請けのSIerへの転職が必要であることに気付きました。

 さて、加山さんの経歴とスキルを考えてみると、ITエンジニアとして5年目、プロジェクトでは詳細設計〜開発〜テストのフェイズを中心に行い、J2EE開発のノウハウ(フレームワークやライブラリの選定、アジャイル開発、モデリング)と各プロジェクトに最適な技術・手法を選択するスキルを身に付けてきました。

 加山さんの年齢でこのようなスキルセットを持つ人材は、多くの企業に求められています。つまり加山さんは市場価値が高いのです。

具体的な目標に向け、転職に成功

 ここまで課題の解決策を明らかにした加山さんは、次に、目指す将来像として「ITアーキテクト」を選びました。常に新しい技術を追いかけていきたいという思いが強く、技術を究められるITアーキテクトに興味があるというのです。

 そこで、企業情報の中から加山さんの志向に合った会社を選び出し、大手から中堅のSIerを中心に応募しました。どの会社も加山さんの経験、スキルアップに関する一貫した考え方を高く評価し内定を出しました。

 最終的に加山さんは、オブジェクト指向技術やオープンソースに強みを持つコンサルティング系のSIerへの入社を決意しました。

 加山さんの転職活動の成功要因として、下記の3点が挙げられます。

  1. ネガティブな転職動機から前向きな動機への転換
  2. 目指すべきキャリアパスの明確化
  3. 現在のスキルと今後目指す方向に合致した企業の選択

 将来の目標を定め、有意義な転職を果たした加山さんは、今後持ち前の熱心さでますます活躍することでしょう。趣味のバンド活動も、時間を見つけて続けていくとのことです。

幸せな転職をするためには

 幸せな転職を実現するには、前向きな心構えが必要です。

 面接でも、必ずといってよいほど転職理由について質問されます。特に採用難易度の高い会社ほど、前向きで納得できる転職理由を強く訴える必要があります。

 また、仮に面接でうまく取りつくろい、何とか入社することができても、今後その会社で成功を収めることができるかどうかは別問題でしょう。入社後に成果を挙げるためには、高い志と強い意思が必要であると筆者は考えています。

 転職を考えたときは、その理由が前向きであるかどうか、何かから逃げようとしていないかを自問自答してみてください。転職とは、それほど慎重に進めるべきものなのです。

 それでも答えが出ない場合には、経験豊富な先輩に相談するのもいいでしょうし、人材紹介会社に相談してみるのも1つの方法であると思います。

 

今回のインデックス
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筆者プロフィール
アデコ 人材紹介サービス部 シニアコンサルタント
藤田孝弘

1965年生まれ、滋賀県出身。大学卒業後、人事系コンサルティング会社に就職。人材採用と教育・人事制度関連のコンサルティングに約10年従事。その後IT専門の人材サーチ会社にて、ITコンサルタントやITエンジニアを中心とした人材のキャリアコンサルタントを約5年経験。アデコに転職し現在に至る。これまでIT業界を中心に3000人以上の転職支援を行っている。

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