第2回 ソフトウェア開発に専念したい
イムカ キャリアコンサルタント
2007/10/16
組み込みエンジニアが転職先を選ぶ際のポイントを、企業の形態、開発の規模、勤務地、開発体制などから考えてみよう。いつもとは異なった視点で転職を考えることができるかもしれない。 |
前回の「エンジニアは、ものづくりの現場がお好き?」では、転職相談を行っていると最も希望の多いハードウェアメーカー(メーカー)を中心に紹介しました。そこで今回は、ソフトウェア会社を中心に紹介したいと思います。
■ソフトウェア会社を転職先に選ぶメリット
ソフトウェア開発に専念したい方にとっては、当然ながらソフトウェア専門の会社が有効かもしれません。
メリットは、ソフトウェア開発そのものに集中できる環境にあることが多いことでしょう。組み込みエンジニアの方には、ものづくり志向が強く、プロジェクト管理や調整業務を好まない方がいらっしゃいます。そのような志向であれば、ソフトウェア開発に集中できることは大きなメリットになると思います。
メーカーでプロジェクトリーダーを任せられるよりも、ソフトウェア会社に転職した方が、ソフトウェア開発の技術力は断然高くなる、という話は、実際に転職されたエンジニアからよく聞きます。会社によりますが、プロジェクトごとにさまざまなメーカーの製品・技術を取り扱うことが多く、経験の幅が広がる点を、メリットとして挙げる方もいます。
また、大手のソフトウェア会社などであれば、ソフトウェア開発に特化した研修・教育制度が整っているということもメリットとして挙げられます。ソフトウェア会社は受託元のメーカーからの信頼を得るために、ソフトウェアの品質そのものが会社の商品となり、そのためソフトウェア技術者の教育には熱心だと感じています。会社によっては自社内に教育専門部門を置き、教育専任社員がカリキュラムを組み、社員に対する教育を行っているケースもあります。
■それでは、ソフトウェア会社のデメリットとは?
それでは、デメリットとして挙げられることは何でしょうか。
それは、開発の形態が、ソフトウェアの開発請負という形になることが多いため、製品の全体像が見えづらくなる可能性があるという点でしょうか。それは、ソフトウェアの仕様設計から参画することになる場合や、製品機能の一部分だけを請け負うことが多いためでもあるのです。
また、勤務地がプロジェクトや顧客によって変動し、一定しない可能性があることも、人によってはデメリットと感じるかもしれません。ただ最近は、打ち合わせは顧客のメーカー側で行うが、ソフトウェア開発業務は自社に持ち帰って行うということも多いそうなので、開発の案件や、ソフトウェア会社によって異なるかもしれません。
ちなみにメーカーは、一般的に中途採用のハードルが高い(中途採用の基準が高い)場合が多いため、まだ若く経験が少ない方は、いずれメーカーに行くための経験を積むステップとして(いわゆるステップアップ転職のため)、ソフトウェア会社を選択するケースもあります。
■メーカー系のソフトウェア会社という選択肢
ソフトウェア開発に集中して仕事をしたいが、それだけでなく自社のハードウェア製品にもかかわりたい、という希望を転職の相談で語る方がいらっしゃいます。
そのような場合、メーカーやソフトウェア会社では希望を満たせません。そこで登場するのが、メーカー系のソフトウェア会社という選択肢です。
メーカーの子会社という形のソフトウェア会社では、親会社の製品に特化して開発を行い、親会社の設計・企画部門と席を並べて仕事をするところもあるようです。そうなると、親会社や子会社という枠を超え、メーカーのソフトウェア開発部門という位置付けになります。
ちなみに、親会社であるメーカーにもソフトウェア開発部門が存在するケースもあります。そのような場合、どちらに転職した方がいいか、という相談を受けることがあります。
一般的には、子会社はあくまでソフトウェアの開発に特化していることが多いようです。ハードウェアと密接に関連するようなことから製品の量産計画までの幅広い業務は、親会社のソフトウェア部門が担当することが多いようです。
それとは逆に、特定の製品や領域内(画像処理部分とか通信処理部分とか)のソフトウェア担当は親会社、という役割分担にしているところもあるようです。
こうした点は、メーカーの戦略によるところが大です。そのため、転職活動されるときに、自分で情報を収集するか、業界に詳しいキャリアコンサルタントから情報を得ることをお薦めします。
■広がる組み込みエンジニアの活躍の場
そのほかにも、半導体メーカーや回路設計を受託している会社、組み込みに関するミドルウェア製品ベンダなどでも、組み込みソフトウェアに関連した業務が行えることが多いようです。そうしたところも、転職先として考慮されるといいと思います。
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