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組み込みエンジニア、転職先のポイントは?

第3回(最終回) 転職で、会社規模や開発体制に希望あり?

イムカ キャリアコンサルタント
2007/11/16

組み込みエンジニアが転職先を選ぶ際のポイントを、企業の形態、開発の規模、勤務地、開発体制などから考えてみよう。いつもとは異なった視点で転職を考えることができるかもしれない。
 

 本連載ではこれまで2回にわたって、組み込みエンジニアが転職する際のポイントを、主に企業形態に着目して解説してきました。第1回は「エンジニアは、ものづくりの現場がお好き?」としてハードウェアメーカー(メーカー)を中心に取り上げ、第2回は「ソフトウェア開発に専念したい」と題して、ソフトウェア会社を中心に紹介しました。最終回では、これまであまり触れてこなかった、企業規模や開発体制などについて解説したいと思います。

メーカーとひと言でいうけれど

 メーカーの場合にポイントとなるのが、会社の規模についてです。

 どうしてもメーカーを志望される方は、ソニーや松下電器、トヨタといった大手で、かつ身近なブランドのメーカーに目が行きがちなようです。が、日本の製造業は奥行きが深く、特定の技術に強みを持つ、中堅メーカーやベンチャー企業も数多く存在します。

 大手メーカーは、そのブランドや企業としての安定感、製品力などで魅力があります。ただ、これまでにも触れたように、ソフトウェア開発そのものは、外部に委託しているケースも比較的多いようです。そのため、メーカーに転職をする場合、プロジェクト管理面などの要素が業務に入ること(場合によってはそうした管理業務のみ)を覚悟しておく必要があるでしょう。

 大手の場合に組織が細分化されていたりすると、担当製品や分野がかなり限定され、一度担当が決まると、その役割が固定されてしまうこともあるようです。こうなると、企業内で異動を希望しても、なかなか認められないということもあるようです。この点も注意しておく必要があるでしょう。

特徴のある中堅やベンチャー

 組織が細分化されていない環境で伸び伸びとチャレンジしてみたいという方には、中堅メーカーやベンチャーのメーカーをご紹介することがあります。

 日本のメーカーの製品技術は、大手の最終製品メーカーのみで成り立っているわけではありません。最終製品メーカーは、開発力で突出していることもありますが、多くは、メーカーを取り巻く機器メーカーや部品メーカーの技術が、最終製品を支えているのが現状です。そのため、規模は小さくても優秀な会社は多いのです。

 例えば、液晶テレビを生産する際に使用されるフラットパネルディスプレイの検査装置のメーカー、自動車や家電製品を開発する際に使用される電気計測器のメーカー、大手メーカーが製品を開発・量産する際に必要とされるものを作っているような会社など、さまざまな分野で機器メーカーや部品メーカーが活躍しているのです。機器によっては、部品レベルで世界シェアの多くを握っているような会社も多いのが特徴です。

 大手メーカーに比べ、組織が比較的小さい分、組織内での個人の役割も大きくなり、自分が製品開発を支えている1人なんだ、という充実感も味わえるかもしれません。

 ただ、中堅・ベンチャーの場合は、幅広い製品群を持って資金も豊富な大手メーカーとは異なり、製品が特化している場合(実際、製品が特化している企業が多いのです)、個々の製品の成否が、会社の経営に大きな影響を与えることが少なくないようです。企業選択の際には、その製品が市場でどういう位置付けにあるのか、今後の将来性はどうなのか、といったことは、大変重要な要素になると思います。

製品の分野を追う

 続いて、何の製品(ハードウェア)にかかわれるのか、ということも会社選択の大きなポイントです。

 相談に訪れるエンジニアから最も多い要望は、自動車関係の開発にかかわってみたいというものです。

 自動車というのは身近な消費財であり、巨大なマーケットが存在します。技術においても、エンジンや足回りなどの自動車そのものの制御といった(ある意味)伝統的な技術から、カーナビゲーションシステムといった最新テクノロジまで、あこがれる方が多いようです。

 ただし自動車関連の企業は、勤務地が地方になるケースが多いので、首都圏(特に東京圏)にお住まいの方は、この条件が転職のネックになる可能性があります。

 民生品にかかわりたい、という希望もよく伺います。携帯電話やデジタルカメラ、DVDレコーダといった製品は、何だかんだいっても身近な製品です。自分の作った製品が世の中に出て使われるのが、非常に実感しやすいことも、転職希望者には魅力のようです。

 ただこうした一般消費者向け製品は、比較的短い期間でモデルチェンジを繰り返し、製品のライフサイクルが短く、その分製品開発のスケジュールもタイトになりがちで、ソフトウェア開発者の業務負荷も大きくなりがちという面もあるようです。

身近ではない製品でも、技術的には魅力的

 なかなか身近ではない製品であっても、エンジニアにとって魅力的なものはたくさんあります。例えば医療機器などは病院に行かないとどう使用されているのか分かりませんが、医療機器自体は、通信・画像・センサーなどの最新テクノロジが利用されていることが多いのです。

 以前組み込みエンジニアの転職で、Aさんに医療関係のメーカーを紹介したときのことです。当初はあまり乗り気ではなかったのですが、医療関係のメーカーの魅力を伝えるうちに興味が出てきて、その後結局医療機器のメーカーに転職されました。

 そのほかに変わったところでは、防衛機器関連のメーカーなども、人よっては興味を持たれるようです。守秘性が高い領域ですが、やはり画像・通信技術を駆使した面白い分野のようです。身近ではない産業機器などでも組み込みソフトウェアが使用されているものはたくさんありますので、視野を広げると面白い発見があるかもしれません。

勤務地が地方の場合が問題になることが

 組み込みエンジニアの方々の頭を悩ます問題の1つが、勤務地の問題です。特に大手メーカーやメーカー系ソフトウェア会社の場合には、勤務地が地方になる場合も多いのです。弊社がよく転職希望者に紹介しているメーカーだけでも、宮城、茨城、栃木、長野、愛知、三重、静岡、京都、大阪、広島など、全国にわたります。首都圏であっても八王子や小田原など、都心から微妙に離れていたりすることが多いのです。

 独身の方であればまだよいのですが、結婚されていたり、お子さまがいらっしゃったり、自宅を持っていたりする方の場合は、選択が難しいかもしれません。

 過去に相談をいただいた方の中でも、地方が拠点のメーカーから内定が出て、本人は入社を希望されたのですが、ご家族の反対で断念したケースも数多くあります。勤務地はいまの勤務地から離れる場合、家族との生活をどうするかということは、メーカーを目指す組み込みエンジニアにとっては、避けられない大きな問題です。

 ちなみに私も仕事柄、求人内容のヒアリングなどのために、地方のメーカーを訪問することもあります。実際に現地に行くと、いろいろと良い面にも気付きます。自然が豊かだったり、家賃や住宅価格が安く、大型ショッピングセンターもあって意外と便利だったりします。また大抵は通勤が楽なようです。

 まさに開発に集中できる環境だと思います。過去、転職の相談に来られた方の中でも、最初はなかなか地方に移ることに抵抗感があった方もいらっしゃいます。でも実際に現地に行ってみると、その環境が気に入って入社されたというケースもありました。ご家族の事情さえ許せば、検討されてもよいのではないでしょうか。

開発体制にこだわるエンジニアは意外と多い

 その会社のソフトウェアの開発プロセスがどうなっているか、品質管理体制はどうなっているのか、といったことを転職のポイントにする方もいらっしゃいます。それがしっかりしていないと、開発スケジュールが破たんする、品質低下を招くなどの体験をした方も多くいらっしゃるため、こうした開発プロセスに目を向けられる方が多いようです。

 以前転職された方の中で、開発プロセスに強いこだわりを持った方がいました。ここでは、B氏としましょう。B氏は大手の通信機器メーカーに在籍されていたのですが、その会社では部門ごとのセクショナリズムが強く、部門間、開発者間の連携がまずく、常に開発の出戻りが発生したり、ソフトウェアの品質チェック機能が働かず、後々問題になることもあったそうです。

 そのため、転職先の条件は、開発プロセスが整っている企業、品質管理体制が整っている企業をというものでした。

 実際に転職活動をしていく中で、その点を見抜くのは非常に難しいものですが、多くの企業は、開発プロセスや品質管理体制が整っていない状況だったのです。

 とはいえ最終的には、高い問題意識を共有できそうな方々が多くいて、開発プロセスを整えようと試行している企業を転職先に選ばれました。

テスト工程は今後ますます重要に

 最近では組み込みソフトウェアのテスト工程の重要さが、ようやく認識され始めたという感じを持ちますが、皆さんの周囲ではどうでしょうか。

 以前は開発担当者がテスト計画・実施を兼任していることが多かったのですが、テスト計画・実施の専任者・スペシャリストが行うようになった会社も最近はちらほら見掛けるようになりました。

 以前テスト工程のプロフェッショナルを目指す方の転職活動をお手伝いさせていただいたことがあります。また、テスト工程の重要さを認識している企業に転職したい(実際には少ないので)という転職希望者の要望を受けたこともありました。

エンジニアのこだわりと職人かたぎ

 いろいろと組み込みエンジニアの会社選びの観点について、3回にわたって説明させていただきましたが、やはり一番ポイントになるのは、自分が何の技術を極めたいかです。

 いままで、数多くの組み込みエンジニアの転職の相談をお受けし、転職を支援してきましたが、そこで感じたことがあります。それは、エンタープライズ系のシステム開発に従事されるSEの方と比較すると、職人かたぎの方が多いことです。

 電気計測に関するシステムなら負けない、カーナビなどの画像処理に関することなら負けない、モーター制御に関することなら負けない、デジカメで撮られる写真の色合いづくりに関することなら負けないなど、さまざまな職人かたぎのエンジニアの方々に出会いました。

 そんな職人かたぎのエンジニアが、「携帯電話やデジカメの開発は部品化やプラットフォーム化が進んできてちっとも面白くない」なんていうのです。「なのでもっとOSに近いところから一から組み立てられるものを作りたい」なんていう要望をいうのです。

 組み込みエンジニアには、自分が好きな技術のこととなると、しゃべりだしたら止まらないという感じの方が多いのです。

コミュニケーション力やマネジメント力よりも

 最近よく、組み込みエンジニアにもこれからはコミュニケーション力やマネジメント力が求められるなどといわれています。

 当然チーム作業である以上、当然ある程度の力は必要だとは思うのですが、もっと重要なことがあると思うのです。それは、その方の技術や仕事に対するこだわりや探究心というものです。

 皆さんも、ぜひご自身のこだわりに合った環境を見つけていただければと思います。


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