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コラム:自分戦略を考えるヒント(50)
弱気の虫に効くクスリ

堀内浩二
2008/2/27

 こんにちは、堀内浩二です。自分が誰かに相談をするとき、あるいは相談を受けるときのことを考えてみると、相談する側はネガティブな気持ちになっていることが多いと思いませんか? そして一度ネガティブな気持ちになると、悪循環に陥ってしまいがちだとも感じます。そこで今回は、「弱気の虫に効くクスリ」と題して、負のスパイラルから抜け出す方法について考えてみたいと思います。

よくある「弱気の虫」3種

 まずは、これまで受けた相談/自分がした相談を振り返って、弱気の虫がのぞいていると感じた相談をまとめてみます。

(1)専門性がないので将来が暗い
火消しばかりさせられているうちに、専門性を深める機会を逃してしまった……
(2)経験がないので将来が暗い
塩漬けにされているうちに、幅広い経験を積む機会を逃してしまった……
(3)もう若くないので将来が暗い
選択肢が狭くなってきている。実際、面接で「年齢に見合った経験がない」といわれた……

 伺っていると「た、確かに、厳しい状況ですね……」といわざるを得ないケースもあります。しかし、どちらかといえば「それは悲観的に過ぎるのでは?」と感じるの方が多い。何か、架空のハードルがあって、それがむやみに高い。自分で設定したハードルの高さに自分が圧倒されている。そんな感じを受けます。

 一度そういうモードになってしまうと、なまなかな励ましは効きません。なにしろ比較対象は「深い専門性を持っていて、広い経験を積んでいて、しかも若い」という理想像です。そこまでいくと「ないものねだり」だろうと思うのですが、困ったことにというべきか、そういう人もまれに実在し、メディアなんかに載っていますからね。

ネガティブに構えることの魅力

 もう1つ、ネガティブに考えるのは簡単だし、それなりにメリットも大きいという点も指摘しておきたいと思います。

 何かを変えようともがき回るよりも、自分に与えられていないものを嘆きながら何もしない方が簡単です。あれこれいったり動いたりしていると多少批判されるのは避けられませんが、じっとしていれば人と衝突するリスクも少なくて済みます。悲嘆に暮れていれば同情を寄せてくれる優しい人も現れます。悲観的でいるということには、ある種の中毒性があるといえるでしょう。

 なぜそんなに弱気の虫に詳しいのか? 何を隠そう、自分にそういう傾向があるからです。世の中には生まれつき楽天的な人もいると思いますが、わたしは放っておくと弱気に傾くタチのようです。

弱気の虫に効く4つのクスリ

 そんなわけで、以下にご紹介する「弱気の虫に効く4つのクスリ」は、自分のために作ったリストでもあります。

(I)「いま手にしているもの」に集中し、大事に育てる

 あそこで無駄な時間を過ごした、あそこでチャンスを逃した、あそこで挑戦しておけばよかったと、過去を反すうして後悔することがあります。

 過去を振り返るのは、これからの決断の質を高めるためには有益な作業であっても、時間を費やし過ぎると、くよくよ考えていたという過去を増やすだけになってしまいます。経験(職務経歴)にせよスキルにせよ環境にせよ、自分が持っていないものを埋めるよりは、自分がいま手にしているものをどう組み合わせるか・どう伸ばすかに知恵を絞ります。

(II)「今日から少しずつ」積み上げる

 (I)のような後悔をしておきながら何も行動しないと、弱気の虫が増殖してしまいます。複利の魔法(参考:「チリも積もれば予想外」)を信じて、コツコツと「よい習慣」を自分に課していくようにします。

(III)「50年のスパン」で考えてみる

 人生の中で働ける期間は50年くらいでしょう。10年働いてようやく20%です。それなのに30歳前半の人が「先が見えた」「転職適齢期は過ぎた」などと決めてしまうのはおかしいと思います(もちろん、どう思い込もうと各人の自由ではありますが……)。

 50年の間には、自分を取り巻く環境も変わります。技術も変わりますが、働き方も変わるはず。短い期間のことで、狭い人間関係の中で悩んで弱気になってしまったら、50年間というスパンの長さにおいて自分のいまを考えてみます。

(IV)「これから来るもの」に目を向ける

 「Javaプログラマ」も「セキュリティエンジニア」も「Webプロデューサー」も、15年前には世の中に存在していませんでした。ということは、いま30歳代後半でその職を務められている方は、当時ご自分がそのような肩書きを持つとは思っていなかったはずです。未来は予測できないとしても、そのくらいの早さで世の中は変わってきましたし、これからもそうでしょう。

 いま波に乗っている人は次の波に足をすくわれるかもしれません。いま波に乗れていないと感じる人のところにも、次の波は必ず来ます(実のところ、新しい波ばかりではありませんよね。衰退したものが再び脚光を浴びることもあります)。自分のわずかな社会経験を物差しにしてすべてを判断せず、「次の波に備える」気持ちを持つようにします。

 もしあなたがわたしと同じような性格ならば、「そうはいってもわたしの場合……」と、反論の材料をすでに用意されていると思います。わたし自身も、このリストを眺めればいつもポジティブになれるというわけでもありません。弱気の虫というのは退治できるものではないのでしょう。

 でも、いいところもあります。弱気の虫は、将来に潜むリスクをたくさん思いつける能力を持っています。いきおい、当研究室で研究しているような「自分戦略」への意識が高まります。「弱気の虫を心の内に飼いつつ、勇気を持って前進する」。そんな態度で過ごせたらいいなと、思っています。

強気/弱気とは別に

 強気/弱気という話とは別のレベルで、うつという状態があります。そういうときにポジティブになろうと「頑張って」しまっては逆効果だそうです。上のリストが効かないとしたら、わたしが単にハズしてしまったということでしょうが、もしかしたらそちら方面のケアも考えた方がよいかもしれません。

筆者紹介
株式会社アーキット 堀内浩ニ●アーキット代表取締役。早稲田大学大学院理工学研究科(高分子化学専攻)修了。アクセンチュア(当時アンダーセンコンサルティング)にて、多様な業界の基幹業務改革プロジェクトに参画。1998年より米国カリフォルニア州パロアルトにてITベンチャーの技術評価プロジェクトに携わった後、グローバル企業のサプライチェーン改革プロジェクトにEビジネス担当アーキテクトとして参画。2000年に帰国、ソフトバンクと米国VerticalNet社との合弁事業において技術および事業開発を担当。転職や起業など自分自身のチャレンジを題材にして、「速く」「後悔しない」意志決定を学ぶプログラム「起-動線」を運営。

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