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ITエンジニアを続けるうえでのヒント〜あるプロジェクトマネージャの“私点”

第15回 困難に立ち向かうリーダー、逃げるリーダー

野村隆(eLeader主催)
2006/6/15

自分の志で行動する人

 一方、自分の志で行動する人は、失敗したと自覚したら自分で責任を取ります。周囲に無用な迷惑は掛けません。うまくいくぞと思ったら、当初の目標を通り越してもトコトンやり通します。なぜなら、当初目標はあくまでも通過点であって、自分の志に基づいて正しいと信じていることを貫き通すべきだと確信しているからです。

 自分の志がない人との対比で考えると、自分の志で行動する人が理解しやすくなると思います。今回のテーマである「しっかりとした心の根を張る」とは、責任を取る自覚を持ち、自分の志に基づいて信念を貫き通すということです。

 私はIT関連のコンサルティングのキャリアが長いので、IT関連のコストダウンを目標とした数多くのプロジェクトに参画してきました。例に挙げたような、コストダウンのコミットメントを表明したプロジェクトリーダーを実際に何人も見てきました。

 これらの経験からは次のようなことがいえます。自分の志で行動できない人は、短期的には成功したように見えても同僚や部下の不信を招き、最終的には上司からも不信感を持たれて伸び悩む傾向にあります。一方、自分の志で行動する人は、目標達成できない場合には左遷されたり結果として会社にいられなくなったりしますが、最終的には社内で重用されたり転職先で大活躍したりしています。

 こういう実例を目にするにつけ、長い目で見て大成するか伸び悩むかは、自分の志で行動できるかどうか、つまり志の高さに深く依存するのだなあと実感します。

 自分の志で行動する人について、皆さんの理解を深めていただくために別のいい方で説明しましょう。

 孟子の言葉に「自ら反(かえり)みて縮(なお)くんば、千万人と雖(いえど)も吾往かん」という言葉があります。解説するまでもないですが、自分でよく考えて正しいと信じるならば、相手が1000万人の多勢だろうが立ち向かうという意味だと理解しています。

 何があろうと動ぜず立ち向かうという意味では、冒頭に紹介した「八風吹けども動ぜず天辺の月」と同じことです。

 孟子のこの言葉の対極にあるのは、かつて流行した「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という言葉だと思います。主体性がなく、周りのみんながやっていれば多少の不正行為はいいや、自分もやっちゃえという人間の弱いココロを見事に表現しています。

 つまり、しっかりとした心の根を張ることは、「自ら反みて縮くんば、千万人と雖も吾往かん」という心構えを持つことであり、心の根がしっかりしていない人の行動例は、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」だといえましょう。

日々の行動に役立てよう

 今回は「八風吹けども動ぜず天辺の月」という言葉を中心に、しっかりとした心の根を張るということについて解説しました。

 いうのは簡単ですが、実際に行動するのは難しいですよね。偉そうなことを口でいうことは、その道の本でも読めば誰にでもできます。やはり実際の日々の行動において自分で責任を取り、自分の信念に基づいて行動するよう心掛けましょう。

 何か問題に直面して自分の気が萎えたときや、誰かに妨害されて自分の目標が達成できないときは、いま一度、自分の信念に基づいて行動しているか自問自答してください。

 自分の信念に基づいて行動しているのであれば、「八風吹けども動ぜず天辺の月」という気持ちを持って、「自ら反みて縮くんば、千万人と雖も吾往かん」という心意気で、不退転の決意で行動しましょう。

 しかし、心の根がしっかりしていようとも、心が動揺することはあります。心が動揺する要素の最たるものの1つは、他人からの誹謗(ひぼう)中傷です。誹謗中傷された結果、自分が不遇な状況に置かれるとさらに心の動揺は増します。

 次回は、このようなときにいかに心の動揺を抑え、「八風吹けども動ぜず天辺の月」という気持ちを維持できるかという点について解説する予定です。ご期待ください。

 

今回のインデックス
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筆者プロフィール
野村隆●大手総合コンサルティング会社のシニアマネージャ。無料メールマガジン「ITのスキルアップにリーダーシップ!」主催。早稲田大学卒業。金融・通信業界の基幹業務改革・大規模システム導入プロジェクトに多数参画。ITバブルのころには、少数精鋭からなるITベンチャー立ち上げに参加。大規模(重厚長大)から小規模(軽薄短小)まで、さまざまなプロジェクト管理を経験。SIプロジェクトのリーダーシップについてのサイト、ITエンジニア向け英語教材サイトも運営。


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