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ITエンジニアを続けるうえでのヒント〜あるプロジェクトマネージャの“私点”


第32回 欲しいのは、PDCAサイクルが短い人

トライアンツコンサルティング
野村隆

2007/12/19


将来に不安を感じないITエンジニアはいない。新しいハードウェアやソフトウェア、開発方法論、さらには管理職になるときなど――。さまざまな場面でエンジニアは悩む。それらに対して誰にも当てはまる絶対的な解はないかもしれない。本連載では、あるプロジェクトマネージャ個人の視点=“私点”からそれらの悩みの背後にあるものに迫り、ITエンジニアを続けるうえでのヒントや参考になればと願っている。

 この連載では、システム開発プロジェクトにおけるリーダーシップを中心に、「私の視点=私点」を皆さんにお届けしています。

 今回の内容は、リーダーシップトライアングルのManagementに関係します。Managementについては、連載第9回「ソフトウェアは目に見えない」を参照いただければと思います。

図1 リーダーシップトライアングル。今回は「Management」に関連する内容を紹介

人材争奪戦争?

 私事ですが、このたび転職をしました。

 新会社での私の役割の1つに、業務拡大に向けた人材採用があります。IT業界の皆さんはご存じかと思いますが、現在、人材採用は非常に厳しい状況です。転職してそのことをあらためて認識しました。

 IT業界各社は、多くの広告を出すなどして人材採用に力を入れていますが、採用はなかなか思うように進んでいないようです。人材採用についてIT業界の知り合いと話をすることがありますが、皆、口をそろえて「非常に厳しい。本当に採れない」と嘆いています。

 特に、優秀な若手の人材採用は厳しいですね。人材紹介会社の方から聞いた話ですが、現在の30歳前後は、いわゆる就職氷河期の新卒であるとのこと。IT業界に就職した人数がほかの世代に比べて少なく、会社もこの世代を大事にするので、なかなか転職市場に優秀な人材が出てこない、出てきても数が少ないということでした。

PDCAサイクルをちゃんと回せる人

 とはいえ、泣き言をいってもしょうがないです。転職エージェントと検討し、採用したい人材像について私から説明することがあります。

 私の転職先はコンサルティング会社で、インドでのオフショア開発も手掛けています。また、米国ではオラクル製品を主に扱っています。ですので、「英語のできるプロジェクトマネージャが欲しい」「Oracle EBSの技術者が欲しい」など、主にスキルベースの会話をして、採用したい人材像を固めています。

 精神論となってしまいますが、まだまだ規模の小さい会社なので「自律的に仕事をしてほしい」「前向きに仕事に取り組む姿勢が望ましい」「チャレンジ精神を持ってほしい」というようなことも話します。

 そんな会話の中、転職エージェントの方にひと言で「こういう人が欲しい」と説明するとき、私はこのように話しています。

 「PDCAサイクルをちゃんと回せる人。そして、PDCAサイクルが短い人」

DとAな人

 皆さんが仕事をするうえでの参考になると思いますので、それぞれについて説明させてください。「PDCAサイクルをちゃんと回せる人」というのは、文字どおり、PDCAのステップをきちんと踏むことができる人です。

 分かりやすくするために、「PDCAサイクルを回すことができない人」を考えてみましょう。何も考えないで行動する人は、PDCAのP、つまり、Planがないことが問題です。

 具体的な例として、私が若手のころの思い出を紹介します。UNIXサーバに障害が発生したとき、やたらとコマンドを打ちまくる人を見たことがあります。そのとき、私は2年目くらいの新人に近いスタッフで、その人の後ろに立って状況を見ていました。その人はキーストロークが速く、UNIXサーバに滝のようにコマンドを打ちまくり、「アー、ウー」とうなるのですが、障害は何も改善されませんでした。

 当時、IT業界の経験5年目ほどであったその人は、とてもUNIXの知識が豊富で、「優れたITエンジニアだ」と私は思っていました。しかし、大量にコマンドを打つものの何も改善されない状況を目の当たりにして、さすがに「……もうちょっと考えてから行動した方がいいのでは?」と思いました。

 このように、何も考えないで行動あるのみという人は、PDCAのうち、D(Do)とA(Action)しかないといえると思います。簡単にいうと、常にもぐらたたきをしているような、思い付きの対症療法を一生懸命にする人と同義となってしまいます。

 そうではなく、ちゃんとPlanしてからDo、Check、Actionという一連の行動が取れる人、できれば、頭で考えなくても体がPDCAを覚えている人が望ましいわけです。




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