第2回 多岐にわたるエンジニア経験が“売り”になる
荒井亜子(@IT自分戦略研究所)
2007/9/14
■テクノロジから労働環境まで話ができる
メインフレームでCOBOLのプログラミングからスタートし、オープン系のシステム、ERP導入とさまざまな編成に携わってきた宮脇氏。社内SE側とベンダ側両方を経験し、しかもそれまでの職種もプログラマからITコンサルタントまで多岐にわたる。また、途中で海外語学留学も経験した。こうしたさまざまなことが糧になり、ITエンジニアからの相談に、自然と経験していることから対応できることが多い。「自分のときはこうだった、こうしたと、相談者の方と同じ視点でお話ができます。何となくしてしまった転職や留学をはじめ、紆余(うよ)曲折を経た13年間が生かせていると思います」
さらに、キャリアコンサルタントの仕事は、相談者を理解するだけにとどまらない。もう一方では、求人企業を理解できないと「お互いのお見合いの仲人」は務まらない。キャリアコンサルタントには、IT業界以外の人事出身や、営業出身という人が多いそうだ。そういう人だと、「例えば、表面的に『Javaを使ってWebアプリケーションを開発する』といった言葉を覚えて分かった気になっていても、なぜJavaなのか、それがWeb上でどのように使われているのかまでは、実装経験のあるエンジニアでなければなかなか分からないですから」。宮脇氏は、現場で開発を行ってきた経験があるから、求人企業による人材紹介会社向けの業務説明も理解できる。ということは、求人企業のことも理解できるということだ。ITエンジニアの実務経験を基にした相談者と企業における精度の高いマッチングが強みとなる。
■エンジニア経験があればキャリアコンサルタントになれるのか
宮脇氏は、キャリアコンサルタントにとってエンジニア経験はアドバンテージになるとはいえ、決して甘い仕事ではないことも付け加えた。相談者の中には、何となく転職活動が思うようにいかず、いすに座って話をしているキャリアコンサルタントがすごく優位で楽な立場に見える心理状態になる人がいるらしい。「そういう見方をして入っても、やはり辞めてしまいますね。モチベーションがもたないです。実際もっと泥臭くてしんどいですから」
宮脇氏の話から、ITエンジニアとしてさまざまな職種や職場環境を経験していること、ITエンジニアリングの実務経験を含めた深い知識を有していることがキャリアコンサルタントにも生かせると分かった。だが、いくらエンジニア経験があったとしても「テクノロジから解放されたいだけ」「何となく転職活動がうまくいかない」といったことからの逃げ道となるほど甘い世界ではないようだ。
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