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スカウトサービス、企業が注目するポイントはここだ

千葉大輔(@IT自分戦略研究所)
2007/6/25

 転職の手段といえば、求人情報誌や転職情報サイト、人材紹介会社、友人のつてなどさまざまな手段があるが、最近増えてきているものの中に、求人企業から直接スカウトを受けるというサービスがある。

 @IT自分戦略研究所とJOB@ITが行った読者調査では、「過去に使用」したことがある「転職の方法」として、22.7%の人が企業からスカウトを受けて転職したことがあるとし、44.7%の人が「次に希望」したい「転職の方法」だと答えている。

 企業からのスカウトというと以前は、電話や郵送といった方法が中心だったが、ここ数年は主にWebを用いたスカウトサービスを通じて企業と転職希望者の連絡が行われるようになってきた。

 今回、JOB@ITが運営する「@ITプレミアスカウト」のサービス担当者である平岡健氏に話を聞き、スカウトサービスを使う場合、企業は転職希望者のどの部分を見ているのか探った。

メインターゲットは20代後半から30代の経験者

 現在、@ITプレミアスカウトの登録者は、20代後半から30代が中心。企業が主にスカウトしたいと考えているのも、その年代のITエンジニアだという。「企業側からすると、しっかり選んで声を掛けるだけに『確実に戦力になる人』を採用したいという希望を持っています。そのため、経験を積んだ20代後半から30代がターゲットとなるのでしょう」と平岡氏は話す。

 JOB@ITが発行しているメールマガジン「週刊JOB@IT」に掲載された「@ITプレミアスカウト」のスカウトメールが多かった職種のランキングを見てみよう。

4月
第1位 システム開発・設計
第2位 SE(ビジネスアプリ)
第3位 プログラマ
第4位 SE(基幹業務・メインフレーム)
第5位 その他システム関連エンジニア

5月
第1位 システム開発・設計
第2位 SE(ビジネスアプリ)
第3位 プログラマ
第4位 その他システム関連エンジニア
第5位 システムコンサルタント

6月
第1位 システム開発・設計
第2位 SE(ビジネスアプリ)
第3位 ネットワーク構築
第4位 プログラマ
第5位 SE (基幹業務・メインフレーム)

 「システム開発・設計」や「SE」が上位にいるが、「プログラマ」も人気が高い。20代後半から30代後半というメインのターゲットから考えると意外な結果かもしれない。「システムエンジニアの人はもちろんですが、プログラマといった開発メインの人の採用も多いです。『作りこみが好きな人』や『ものを作ることが楽しい人』など、技術志向のITエンジニアに対しても注目され始めてきています」(平岡氏)

 転職を希望する人の動機はさまざま。「年収をあげたい」という理由もあるが、「やりたい仕事ができる環境に移りたい」「自分の志向と合った企業で働きたい」といった「自分のことを理解してもらえる企業で働きたい」と願っているITエンジニアが多いという。

最重要項目は「将来のビジョン」

 企業がスカウト候補者を選ぶ際に、どんなポイントを見ているのだろうか。平岡氏は「その人が持つ将来のビジョンややりたい仕事のイメージ」だという。「自分は将来こういう仕事がしてみたい」ということが書いてあるだけでも「うちの会社だったら、そういうキャリアパスがあるので声を掛けてみよう」といったように、企業と転職希望者とのつながりができる。「企業はミスマッチを防ぎたいと思っています。採用した人の『できること』『やってほしいこと』と同時に採用者の『やってみたいこと』も併せて、いろいろな可能性を考えてながら見ています。そのため、将来のビジョンを非常に重要視しているようです」と平岡氏。

 その将来のビジョンも、漠然(ばくぜん)としたものではなく、「これまでの自分の経験」を踏まえて「これからやってみたいこと」につながっている、つまりいまの自分と将来の自分が一直線になっているとなおよい。しかし、注意点もあるという。「いまの自分と将来の自分がつながっているとよいのですが、例えば『将来は絶対ITコンサルタント以外の仕事はやりたくありません』といったように、あまりキャリアパスを限定してしまうと、声が掛にくくなってしまうようです」

豊富な情報量が企業と転職者を近付ける

 企業とのつながりを増やすためには、ほかにも情報量を増やす、つまり、自分自身のスキルや職務経歴といったのプロファイルを充実させることもまた重要だ。『効果的な職務経歴書の書き方教えます』を参考に自分の職務経歴をまとめてみるといいだろう。その際にもポイントがある。平岡氏は「携わったプロジェクトでの自分の役割や、その規模はもちろんですが、プロジェクトごとに使用したスキルやそこで身に付けたスキルを書くと、どういう状況でそのスキルを使っていたのかが相手に分かりやすいと思います」と話す。

 また、「職務」とは離れてしまうが、もし趣味でソフトウェアを開発したり、社外の開発コミュニティに携わったりしているならば、そういった情報も書くといいだろう。情報が多ければ多いほど、企業は転職希望者の姿がイメージしやすくなり、声が掛けやすくなる。

分かってもらうためには、その手助けとなる材料を用意しよう。

 「自分のことを理解してもらう」ときに重要なことは、相手に理解をしてもらうための情報を提示することだ。自分に対する情報が少ない中で、自分を理解してもらおうと思ってもなかなか難しい。積極的に自分についての情報を相手に開示していくことが必要だ。

 スカウトサービスは、自分のプロファイルを登録すれば、後は企業から声が掛かるのを待つだけ。そして自分のプロファイルを基に声が掛けられるので、自分の希望や志向に合った企業から声が掛かる可能性が高くなる。とはいえ、どうしてもスカウトを「待つ」形になるので、自分の関心がある企業、例えば自分の意中にしている企業があってもそこから声が掛かるとは限らない。また、すぐに転職したいという場合も不向きであるので、その点は注意が必要だ。

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