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@IT自分戦略研究所

第3回 読者調査結果発表

ITエンジニアの転職意識と平均年収は?

小柴 豊
アットマーク・アイティ
マーケティングサービス担当
2004/5/27

 @IT自分戦略研究所では、2004年3月にWebサイトのリニューアルを行い、ITエキスパートのより良い転職をサポートする「転職研究室」を設置した。ここでは転職に関するさまざまな記事やサービスを用意しているが、そもそもITエンジニアは転職にどのくらい関心を持っているのだろうか? 第3回読者調査の結果から、その状況をレポートしよう。

読者の約4割が転職を“検討中

 はじめに、読者が現在どの程度転職を考えているのかを尋ねたところ、「半年以内」「1年以内」または「時期は未定だが近い将来」転職を考えている“転職顕在層”が、合計で39%となった(図1)。また「現在は転職を考えていないが、良い話があれば考えてみたい」という“転職潜在層”も43%に上っており、顕在層/潜在層を合わせると、全体の8割以上が転職に前向きな意向を示している。

 またこの結果を年代別に分析すると、20代後半(25〜29歳)では転職顕在層が51%に達しており、「而立(じりつ)」の年を目前に控えたITエンジニアの揺れる心境が表れているようだ。

図1 読者の転職意向(N=1380)


転職先選びで重視する点は?

 ではITエンジニアは、どのような基準で転職先を選ぶのだろうか? 読者に転職先を選ぶ際、最も重視する点を聞いたところ、「現在よりも給与/年収が高い」をトップに挙げている。以下「経営者のビジョン/方針」「優れたエンジニアと働ける」が続いている(図2)。

 この回答を年代別で見ると、特に30歳以上で「給与/年収」のポイントが高い半面、20代後半では「優れたエンジニアと働ける」を収入と同等に重視していることが分かった。エンジニアとしての基盤を固める時期に、切磋琢磨できる職場環境に身を置くことは、若い世代の読者にとってお金に替えられない価値があるのだろう。

図2 転職先を選ぶ時に最も重視する点(N=1380)


「転職したくない会社」の条件とは?

 続いて“こんな会社にだけは転職したくない”条件を1つだけ尋ねた結果が、図3だ。こちらは「経営者にビジョン/方針がない」および「人間関係が常に緊迫している」の2点がほぼ同率で上位に並び、「現在よりも給与/年収が低い」がそれに続いている。

 図2図3の関係を転職先に対する「満足(十分)条件」「不満(必要)条件」と考えると、両方の上位に顔を出している「経営者のビジョン/方針」は、モチベーションのアップダウンに大きく影響を及ぼす要因といえるだろう。

 一方、図3でポイントが高い割に図2では目立たない「人間関係」の項目については、それが円満だからといって、その会社に転職したくなるわけではないものの、「日常的にうまくいっていなければ働く気がそがれる」というインフラ的要因と解釈できる。「給与/年収」は、経営ビジョンや人間関係というインフラの上で、そのプレゼンテーションが高いほど転職意向をそそる要因といった位置付けになるだろう。

図3 転職したくない会社の条件(N=1380)


ITエンジニアが転職したい企業とは?

 次に、読者に今後“転職してみたい”(あるいは転職してもよい)と思う企業を自由に記入してもらい、回答の多い順に並べた結果が表1だ。最も多くのITエンジニアが支持したのは、ハード/ソフト/サービスの総合ベンダとして、IT産業をリードしつづける「日本アイ・ビー・エム」だった。そのほかの顔ぶれを見ると、日本を代表する優良製造業(ソニー/トヨタ自動車/キヤノンなど)、特定分野で圧倒的なシェアを持つITベンダ(マイクロソフト/日本オラクルなど)、コンサルティング(野村総合研究所/アクセンチュア)といった業種が、上位に並んでいる。

 このランキングを見ると、全体的に大企業志向が強い中、異彩を放っているのが、15位の「豆蔵」だ。同社は羽生田氏、萩本氏をはじめ、オブジェクト指向分野の著名技術者が集う会社である。転職先を選ぶ時に、「優れたエンジニアとともに働ける」ことを重視することから分かるように、同社は日本アイ・ビー・エムに次ぐポイントを獲得している。“自社の顔”となるエンジニアの人的魅力は、ベンチャー企業が優れた技術者を採用するうえで、有効な武器となりそうだ。

表1 転職したい企業「上位20社」


読者の年収状況は?

 図2で見たように、転職先を選ぶ際、収入は大きな位置を占めている。そこで読者に現在の年収を聞いたところ、その平均金額は 480万円(平均年齢:32.5歳)であった(図4 青線)。国税庁の「民間給与実態統計調査」(平成14年度)によると、30〜34歳サラリーマン男性の年間平均給与は469万円であり、読者の年収は全国平均に近いことが分かる。

 同時に“いま転職するとした場合の希望年収”を尋ねたところ、その平均は640万円となった(図4 黄色線)。現状の3割増程度の年収を提示されることが、転職リスクを飛び越えるための“一押し”となるようだ。

図4 現在の年収/転職後の希望年収(N=1380)

 参考までに、読者が担当する職種別の平均年齢/平均年収を計算した結果が、表2だ(注:今回は職種を複数回答可で尋ねているので、職種の重複も含まれている)。

 年収の絶対額で見ると、「プロジェクト・マネージャ」が640万円で最も高く、反対に「システム開発(汎用機系)」が低くなっている。ちなみに、平均年収を平均年齢で割って、年齢当たりの年収を計算すると、給与水準の高い職種上位は「プロジェクト・マネージャ」「ITアーキテクト」「プリセールス/セールスエンジニア」の順となった。

表2 職種別平均年齢/平均年収(N=1380)


紹介予定派遣制度の認知状況は?

 今回の調査では、派遣と正社員をシームレスにつなぐ新しい雇用形態の「紹介予定派遣制度」に関する読者の認知/関心度も聞いてみたので、その結果を紹介していこう。

 質問の際、読者には以下の説明文を提示した。

・ 「紹介予定派遣」とは、(正社員採用を前提に)派遣として一定期間就業し、労使双方の意見が一致した段階で正社員へ契約を切り替えることで、(1)入社後の雇用のミスマッチを事前に防ぎ、(2)短期的な面接ではアピールが難しい職務能力を実地で証明できる制度である。

 そのうえで同制度の認知状況を尋ねたところ、読者のおよそ半数が紹介予定派遣を「まったく知らなかった」と答えている(図5)。2000年12月に解禁されてから、紹介予定派遣は3年以上経過したが、まだITエンジニアへの周知は徹底されていないのが現状だ。

図5 紹介予定派遣制度の認知状況(N=1380)


紹介予定派遣制度を利用したいか?

 では紹介予定派遣の概要を知った読者は、どの程度興味を持っただろうか? その関心度を尋ねた結果、「ぜひ利用したい」と「機会があれば利用してみたい」を合わせた、全体の27%は紹介予定派遣制度に関心を示した(図6)。また40%は「まずは制度の詳細を知りたい」と答えており、今後制度の認知が深まるにつれて、紹介予定派遣の利用意向はさらに高まるものと思われる。

図6 紹介予定派遣制度の利用意向(N=1380)

 冒頭でも触れたが、@IT自分戦略研究所では、年収アップや人材紹介/派遣の利用法に関する記事コンテンツをはじめ、職種別求人情報を紹介する「求人サーチ」、転職プランの妥当性をチェックする「転職プラン セルフチェック」、転職の悩みにお答えする「転職アドバイスメール」など、さまざまなサービスを用意している。微力ながら、あなたのキャリア向上に役立てていただけると、幸いだ。

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■調査概要
・ 調査方法:@IT自分戦略研究所からリンクしたWebアンケート
・ 調査期間:2004年1月28日〜2月25日
・ 回答総数:1380件

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