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短期集中連載! ITエンジニア向上プロジェクト

第1回 教えて! ITエンジニアの仕事術

千葉大輔(@IT自分戦略研究所)
2006/9/15

現在ITエンジニアという職業は3Kといわれ、若者の間では人気が落ちてきている。さらにエンジニアリングの世界から離れてしまうITエンジニアも増えているという。@IT自分戦略研究所はこの事態を見過ごすことはできない。そこでITエンジニアの価値や生活を向上させるヒントを探る。

 日ごろ忙しく働くITエンジニア。中にはあまりの忙しさに、趣味や家族と過ごす時間はおろか、休みもなかなか取ることができないという話をよく聞く。

 日常の業務を効率的に処理しているITエンジニアは、どのような方法や考え方で業務を行っているのだろうか。@IT自分戦略研究所会議室や電子メールで寄せられた仕事術から、その手掛かりを見つける。

 読者の皆さんから寄せられた仕事術を基に、最近話題に上ることが多い「LifeHack」(ライフハック)について、「効率アップ、クオリティアップのためのデジタル仕事術」を扱うITmedia Biz.ID編集部 鷹木創氏に話を聞いた。

ライフハックってなに?

ITmedia Biz.ID編集部 鷹木創氏

  最近ライフハックという文字を目にする機会が増えてきた。しかし、扱っている話題を見ると、非常に広範なジャンルにわたっている。一口にライフハックといっても、その中ではさまざまな種類がある。ライフハックの定義について鷹木氏は「いろいろな知恵を駆使して生活の質を向上させたり、ビジネスの生産性を上げたりする手法が『ライフハック』である―― とBiz.IDでは定義しています」と説明する。

 現代では生活とビジネスを明確に分けることは難しい。例えば、食事中にふと仕事のアイデアが浮かぶことがある。鷹木氏は「そういう状況で浮かんだアイデアを書き留める技術もライフハックといえると思います」とし、「ビジネスにつながるような幅広い知恵や手法がライフハック」と話した。

ライフハックのトレンド

 そんな幅広いライフハックの世界だが、現在はどのようなジャンルに注目が集まっているのだろうか。

 ITmedia Biz.IDでは、「Gmailに学ぶ――大量のメールに振り回されない基本テクニック」や「ノートをうまく取るためのツール」の紹介といったまさしくライフハックという記事が読まれている一方で、スーツの上着を手軽に持ち歩ける「ブリティッシュハンガー」や「ローマ字入力で『あ゛』って入力できますか」といった一見ライフハックらしくない記事もよく読まれているという。特に「ローマ字入力で『あ゛』って入力できますか」で「あ゛」の入力法を募集したところ、電子メールやトラックバック、ソーシャルブックマークを通じてさまざまな方法が寄せられた。

 「ライフハックには『戦略的ライフハック』と『戦術的ライフハック』がある」と鷹木氏は指摘する。戦略的ライフハックとは「GTD(Getting Things Done)」に代表される理念的な大枠のフレームワークのことであり、対して戦術的ライフハックとは実際に仕事を行う方法やツールを指す。

 「ライフハックは、その両輪がかみ合うと効果が倍増すると思います」

ITエンジニアは「命を大事に」?

 会議室や電子メールで送られてきたさまざまなアイデアの中で、まず鷹木氏が興味を示したのは「眠気対策」や「リフレッシュ法」といった健康系の話題だ。

 こうした健康系の仕事術が多く寄せられるのは、「ITエンジニアの特徴ではないでしょうか」と鷹木氏は分析する。ITエンジニアは開発の佳境になると、休日出勤や残業時間が増えるなど、体を酷使しているという話をよく聞く。体調を崩してもシステム運用上休むことが難しく無理してしまうこともあり、普段から健康に気を使っているITエンジニアが多いのかもしれない。

 健康系の仕事術と関連して、「普段から、自分の持つ仕事のポテンシャルのうち30%でToDoがこなせるように心掛けている」や「15時までに終わる設定で作っておくようにしている」「To Doリストが全部解消されることがない。意識的に切り替えていくことが仕事の効率につながる」など、スケジュールや精神的にある程度の余裕を持って予定を立てるアイデアも見られた。

■会議室や自分戦略研究所編集部に寄せられた仕事術
○健康やリフレッシュ関連の仕事術

・この仕事は「眠くなるのが敵」。眠気がサービスの事故につながることもある。仕事中に眠気を感じたら、フロアを歩くとかコーヒーを作るとかのありがちな目覚まし方法も意外に効き目あり。最近は、デスク下の足つぼマッサージマットも貢献度大!?


・メンタルをうまく保つように心掛けている。メリハリを付けて、早く帰れそうだと見極めたらサッサと帰るし、遊ぶときにはしっかり遊ぶ。ハードスケジュールのときに飲む栄養ドリンクも、平日の5日間を耐え忍ぶためのまじないのようなもの。「これ飲んだから大丈夫」とメンタルを保つようにしている。

・リフレッシュや情報交換も技術者の大切なつとめと心得て、酒も飲みにいくが、酒を飲んだ帰路では、1駅や2駅といった一定の距離を歩いてしっかり酔いざましをする。

・昨夜は眠れなかったとか今夜も眠れなさそうだと考えるとつらくなるので、睡眠時間は月トータルで考えて、スケジュールに織り込む。週末はしっかり寝だめをする。

電子メールはビジネスのスタート

 寄せられた仕事術の中ではメーラーがよく利用されている。会議のメモやスケジュール管理やToDo管理、情報収集といった用途まで幅広く使われている。「電子メールはいまのビジネスのスタート地点になっています。電子メールにさまざまな機能を集約するのが1つの理想系なのかもしれません」と鷹木氏は話す。

 鷹木氏も実際にメーラーをToDo管理に使っている。「やらなくてはいけないことを前日に電子メールで送信して、当日会社に来たときに送ったメールを返信する状態にしておきます。返信状態にしたメールのウィンドウを作業が終わったものから消していくと、やらなくてはいけないことを忘れずに済むのです」

■会議室や自分戦略研究所編集部に寄せられた仕事術
○メーラーを使った仕事術

・メモはとにかく全部メーラーで書いて、ドラフトフォルダに保存するという使い方です。いちいちファイル名を付けなくても、すぐに保存されて時系列に見返せるので便利です。検索もメーラーの検索機能ですぐ見つかるし、議事録ならそのまま電子メールで出しておしまい。電子メールのバックアップを取ればメモもバックアップされるし。

・送信しないで 「送信トレイ(Outlook でいう下書き)」 に保存しています。そのまま忘れてしまうこともあるので、アラームで確認を促すメッセージを週に1回入れるようにしています。

使い慣れたツールを使い倒す

 スケジュール管理やタスク管理といったジャンルの仕事術では、ツールとして付箋(ふせん)や付箋ツール、テキストエディタ、紙とペンなどが挙げられている。中には「脳内で管理している」というつわものもいるが、おおむね普段から使っているツールが用いられているようだ。「一般的に、使うツールを新しく増やすよりも、いまあるツールを使い込んでいく流れの方が強いと感じています」

 その一方で、WikiやPDAといった比較的新しいツールを使って、スケジュール管理をしている人もいるようだ。「これまでの取材では、比較的年齢が上の人の方が新しいツールを使っていて、デジタル化に熱心でした。若い人の場合は意外と、アナログのものはアナログのまま使うケースが多いようでした」と鷹木氏。

■会議室や自分戦略研究所編集部に寄せられた仕事術
○そのほかスケジュール管理関連の仕事術

・案件の数が多く覚えきれないので、とにかく項目をメモするようにしている。スグに記入しやすくて、絶対に見るところに置いておけるということで、付箋ツールを活用している。

・連休前も、備忘メモや休み明けの確認事項を自分あてに電子メールしています。その日にやらないといけない作業が多いときや整理されていないなと感じるときは、付箋に作業を1つずつ書いて、ディスプレイに貼る。作業が終わるごとにチェック印を付けます。

・私の場合は特にリストとか作って管理してません。テキストエディタで紙のメモのごとくやらなくてはいけないことをつらつらと書いて管理しています。

・スケジュールとタスクを管理するため、部門で立ち上げているWikiを活用している。何でもどんどん書き込んで、忘れてしまうことがないようにしている。

・社内に自分の端末を持ち込めないので、「ノートPC」ではなく「大学ノート」に戻ってしまった。日々のToDoリストは大学ノートで管理。ページをたどりながらさかのぼってチェックしていけるので、アナログでも必要要件は満たしている。

自分に最適化した仕事術を見つける

 ここまで、読者の皆さんから寄せられた仕事術の一部を紹介してきた。スケジュール管理にしろ健康系の仕事術にしろ、その手法や使うツールなどは実にさまざまで、その人の個性が色濃く反映されたものになっている。それぞれの人が自分に合ったツールや手法を試行錯誤しながら見つけた結果だといえる。

 今回紹介した仕事術の中で面白そうなものがあったら、ぜひ試してみてほしい。そこを出発点として、自分に合ったやり方を見つけることが、独自の効率的な仕事術を探す近道のようだ。

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