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第2回　JavaとRubyの共通点と相違点

ナレッジエックス 中越智哉
2008/3/25

■JavaとRubyの相違点（4）
　　　 〜Rubyの真偽値はtrueとfalseだけではない

　JavaもRubyも、ともに真偽値を持っており、条件判断などに利用することができます。Javaの場合、boolean型のリテラルであるtrueとfalseがそれに当たります。

　Rubyにもtrueとfalseがありますが、Rubyの真偽値はこれだけではないのです。Rubyには、「falseとnil（Javaのnullに当たるもの）」が「偽」で、それ以外の値はすべて「真」というユニークなルールがあります。これによって、例えば「オブジェクトが空かどうか」の判定の記述をシンプルにすることができます。

if (obj != null) {
  System.out.println("objは空ではありません");
}

if obj
  puts "objは空ではありません"
end

　また、Rubyでは正規表現のマッチング結果として、マッチすればマッチした位置、マッチしなければnilが返るようになっているため、正規表現のマッチングの条件判断も同様にシンプルな記述が行えます。

unless /^\d+$/ =~ str
  puts str+"は数字以外の文字が含まれています"
end

■JavaとRubyの相違点（5）
　　　〜Rubyはクラス定義しなくてもコードを実行できる

　Javaでは、どんな小さなプログラムを実行する場合でも、最低限、

（1）クラス定義とmainメソッドの定義を書いて、
（2）その中に行いたい処理を書き、
（3）ソースを保存し、
（4）コンパイルして、
（5）javaコマンドで実行する

という手順が必要です。

　Rubyはオブジェクト指向言語ですが、スクリプト言語でもあり、さらにインタプリタ言語でもあります。Rubyではこれらの特徴を生かすために、クラス定義を書かなくてもコードの実行ができるようになっています。

　ですから、上記のJavaの手順にならっていえば、Rubyの場合は、

（1）行いたい処理を書き、
（2）ソースを保存して、
（3）rubyコマンドで実行する

というステップで済ませることもできてしまいます。さらに、クラス定義とクラス定義以外のコードを混在させることもできます。

public class HelloWorld {
  public static void main(String[] args) {
    System.out.println("Hello,World!");
  }
}

puts "Hello,World!"

class KnowledgeEx
  def hello
    puts "こんにちは"
  end
end

k=KnowledgeEx.new
k.hello

こんにちは

　さらにRubyでは、ソースファイルを作らずにコードを実行する方法もあります。

　プログラムを書いていると、「このメソッドの使い方をちょっと確かめたい」「この文法について動作を確かめたい」ということがよくあると思います。Rubyではirbというコマンドを使えば、OSのコマンドを実行するような感覚で、簡単にRubyコードの動作を確認することができます。

※これ以外に、rubyコマンドの引数に-eオプションでコードを渡して直接実行させる方法もあります。

　いかがでしょうか。いくつかの例を挙げながら、Javaエンジニアから見た、JavaとRubyの共通点、相違点を紹介してみました。

　これ以外にも留意すべき点はまだまだあるのですが、まずは簡単なところからいくつか取り上げてみました。今回の記事がヒントとなって「これまでよく分からなかったRubyのコードが、少しだけ読めそう、書けそうな気がしてきた」というJavaエンジニアの方がいらっしゃれば幸いです。

　次回は、Javaエンジニアの視点でRailsとStrutsを比較し、Railsをどう学んだらよいかについて紹介する予定です。お楽しみに。