営業同行で「話が違う!」とならないためにITエンジニアの市場価値を高める「営業力」(4)(1/2 ページ)

エンジニアが市場価値を上げるには、営業力が必要だ。元SEで営業経験もある著者が、「エンジニアが身に付けておきたい営業力」を語る。

» 2012年11月29日 00時00分 公開
[森川滋之ITブレークスルー]

お客さま訪問時に「営業ともめる」ことの危険性

 職種にもよりますが、ITエンジニアが営業と一緒にお客さまを訪問する機会は少なくないと思います。今回は「営業同行」をテーマに、ITエンジニアが市場価値を高める方法を探ります。

 ITエンジニアが営業同行をするとき、事前に最低限の情報共有はしているはずです。にもかかわらず、実際にお客さまを訪問してみると、「全然話が違う!」となることがよくあります。

 これは、ITエンジニアと営業がもめる原因になります。社内でもめる程度なら大した問題ではありません。問題は、お客さまがその状況を見抜いて、不信感を抱くことです。

 お客さまは、誰が訪問してこようが、その人をその会社の代表だと認識します。あなたを通して、あなたの会社を評価します。新規の見込み客なら間違いなくそうなりますし、既存のお客さまであっても、あなたを通して、現在のあなたの会社の状況を再評価します。

 私は、第1回「『ITエンジニアの市場価値』を決めるのは誰か?」で、「顧客が払ってくれる単価=ITエンジニアの市場価値」と定義しました。また、単価は「所属組織や職種による相場的な単価+『営業』的なコミット分」であると、図を用いて説明しました。

 市場価値を上げるには、「『営業』的なコミット分」を高めることが大事だし、早道でもあります。ただ、長い目で見ると「所属組織による相場的な単価」も上げていくべきでしょう。

 営業同行の際、あなたと営業がしっくりきていないと、お客さまが不信感を抱き、あなたの会社=所属組織の評価が下がってしまうことにもなりかねないのです。ここまで考えると、ITエンジニアと営業の連携が取れていない状況は、かなりまずいと思えてきませんか?

効果的な営業同行には、事前のしっかりした打ち合わせが必須

 しかしながら、実際に「ITエンジニアと営業が強く連携しているな」と思える会社は少ないものです。ユーザー企業側のITコンサルタントとしての経験からもそう感じます。

 普通の会話では問題はない。ただ、仕事柄ちょっと意地悪な質問などもしないといけないのですが、そういうときには、あったように見えた連携も崩壊してしまうことが多い。

 なぜ、そうなるのか?

 私が思うに、訪問前の準備が足りないからです。お互い忙しいのでしょう。訪問前に喫茶店で軽く打ち合わせする程度の時間しか取れない。しかし、それではお客さまに失礼なことになってしまい、さらに会社の評価も下がってしまう確率が高いわけです。

 訪問前にきちっと打ち合わせをしましょう。初回訪問前の打ち合わせだけは時間がかかりますが、それ以降の訪問の打ち合わせであれば、さほど時間はかかりません。それなのに効果てきめんです。実行している会社が少ないからです。お客さまはあなたの会社を、他社とは一味違った会社と認識してくれるようになるでしょう。

 それでは、効果的な営業同行のための打ち合わせについて見ていきましょう。

「状況」「目的」「方法」の確認のための打ち合わせ9項目

 訪問前の打ち合わせのポイントを、以下の表を基に解説します。

表 顧客訪問の事前打ち合わせでの確認項目(クリックで拡大します) 表 顧客訪問の事前打ち合わせでの確認項目(クリックで拡大します)

 表では、9の打ち合わせ項目とその内容を挙げています。「初回のみ」と書いている項目は、初回訪問のときだけ必要なものです。初回訪問の際には9項目全部、2回目以降は「初回のみ」の項目を除く7項目の確認が必要ということです。

 9項目は、以下の3つのカテゴリに分かれています。

  • 状況の確認
  • 目的の確認
  • 方法の確認

 これらを順に説明します。

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