ITSSレベル判定調査の結果はいかに?
ITエンジニアの年収とスキルに相関あり?
岩崎史絵
2008/3/21
■ITSSのスキルレベルに有利な資格試験はあるか?
資格取得とITSSのレベルには、何か関連性はあるのだろうか。
表1〜表4(ここで挙げている資格はすべて情報処理技術者試験のもので、ベンダ試験などの資格の有無は聞いていない)で見ると、必ずしも明確な関連性はなく、資格勉強=ITSSに直結しているわけではないようだ。これは、ITSSがもともと「ペーパー試験では図れないスキルフレームワーク」を持っていることに関係があるかもしれない。
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表1 ITSS判定調査に協力してくれた人のうち、資格を持っていない人の割合。基本的には、職種のレベルが上がるほど資格を保有していないという人は少なくなるう傾向があるが、例外もある。例えばマーケティングでは、レベル1未満、レベル1で資格がない人は少ないが、レベル2では40%、レベル3で53.3%など、資格を持ってない人の割合が高い |
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表2 ITSS判定調査に協力してくれた人のうち、初級システムアドミニストレータの取得者。初級システムアドミニストレータ取得者は、全体としてはレベル1未満〜レベル3にかけて多い |
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表3 ITSS判定調査に協力してくれた人のうち、基本情報技術者の取得者。基本情報技術者の取得者は、特にレベル2に集中している。ITサービスマネジメントの92.3%を筆頭に、セールス、コンサルタントは80%台、ITスペシャリスト、アプリケーションスペシャリストは70%台と、軒並み高い。ただし同一職種で見ると、何か傾向があるようには見えない |
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表4 ITSS判定調査に協力してくれた人のうち、ソフトウェア開発技術者の取得者。確かにカスタマーサービスのレベル3の人は、全員がソフトウェア開発技術者を取得しているが、そのほかのレベルでは0%であり、カスタマーサービス全体でどうとまではいえない |
とはいえ、資格取得が必ずしもまったく関係がないわけではない。例えばカスタマーサービスのレベル3では、ソフトウェア開発技術者の有資格者は、100%レベル3を取得している(表4)。要は、資格試験で得た知識を業務にどう生かすかが重要といえる。
最後に、「ITSSレベルチェッカー」の正答率を基に、職種別で見たスキルの強弱を見ていこう。全体的に、各職種とも、レベルが高ければすべての業務知識に詳しくなるというわけではない。専門分野に応じて熟達度にバラつきがある。だが、例えばコンサルタントは、レベル3以上であれば、「知的資産管理(Knowledge Management)と活用」「情報システムの評価」「プロジェクトマネジメント」「リーダーシップ」の4分野では100%の正答率。レベル3未満と比べるとその差は歴然だ(グラフ4)。
グラフ4 ITコンサルタントでITSS判定調査を行った人の平均正答率。横軸は出題された問題分野を挙げた。レベル3以上とそれ未満の人との間には、全般的に正答率に大きな差があることが分かる |
レベルが高いのに、各分野の正答率の差が激しかったのはITサービスマネジメントだ(グラフ5)。ITサービスマネジメントには、ヘルプデスク的な役割から、ファシリテーター、テクノロジまで幅広い知識やスキルが要求されるため、レベルが高い=平均してできる、というわけではないようだ。大きくいって、レベルが高ければ高いほど、自分の専門分野に対する知識やスキルは非常に高いが、役割外の分野になると弱くなる傾向にあるようだ。
グラフ5 ITサービスマネジメントは、レベルが高いと回答率も高い。しかし、後述するカスタマーサービスと異なり、正解できた問題とできない問題との差が大きい。画面をクリックすると拡大して表示できます |
逆に、レベルの高さに応じて、平均的に回答率が上がるのがカスタマーサービス(グラフ6)。レベル3以上だと、「テクノロジ」と「ハードウェアテクノロジ」が若干弱いものの、「ネゴシエーション」「ソフトウェアテクノロジ」を中心に、ほぼ平均的に高いスコアを維持している。業務内容によってスキル熟達度のレベルにバラつきが生じるのは当然のことだが、平均して高い能力を持っている職種といえるだろう。
グラフ6 カスタマーサービスの平均正答率の結果は、レベルが上がると正解が増え、基本的に、レベルと正解率が比較的きれいに比例している |
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