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現在、データベース市場ではOracle DatabaseとMicrosoft SQL Serverが大きな注目を集めている。両製品とも、今年〜来年にかけて新バージョンがリリースされる。こうした業界動向の中、DBエンジニアの間で、再び資格試験取得ブームが盛り上がってきているという。その理由は。そして、これからのDBエンジニアはどうなるのか。システム・テクノロジー・アイ 取締役副社長の林優子氏が、データベース業界のトレンドと DB エンジニアの未来を予想しつつ、「これからのDBエンジニアに必要なスキルアップ術」を語る。

  「取りあえず、ORACLE MASTER Silver」の時代は終わった

 自分の価値を上げるため、または幅広い仕事に従事するため、ITエンジニアにスキルアップは欠かせない。だが、ただ漠然と“スキルアップ”といっても、「具体的に何をやったらいいのか分からない」ということもあるだろう。そんなときに役立つのが、資格試験である。

 資格試験には、国家試験や特定ベンダの認定資格試験などいろいろな種類があり、うまく活用すれば、スキルアップまたはキャリアアップの手段として非常に有効だ。その役割は、大きく3つに分けられる。第1に、自分の技術力を証明すること。第2に、自分の技術レベルや習熟度を確認すること。第3に、勉強のモチベーションを高めるという役割もある。資格試験は、“勤務先に強制的に受験させられるもの”ではなく、自主的にスキルアップのマイルストーンとして役立てることができるものなのだ。優れたITエンジニアほど多様な資格を取得しているのは、こうした資格試験の有用性にいち早く気付いていたためだ。

システム・テクノロジー・アイ
取締役 副社長
Learning事業部 事業部長
林優子氏

 実際、システム・テクノロジー・アイ 取締役副社長であり、Oracle認定インストラクターの林優子氏も、「ITエンジニアの間で、ここ2年くらい資格取得ニーズが復活しつつあります」と述べる。もちろん、データベースエンジニア(以下DBエンジニア)も例外ではない。

 その理由を述べる前に、まずはここ5〜6年のデータベース市場に目を向けてみよう。一時期、PostgreSQLやMySQLなどオープンソース系データベースに注目が集まったが、大規模もしくはミッションクリティカル環境での適用実績となると、圧倒的に商用データベースに軍配が上がる。中でもOracle Database(日本オラクル)とともに、SQL Server 2005(マイクロソフト)がシェアを伸ばしている。

 また技術的に見れば、データベースのプラットフォームでも、UNIX以外にWindowsや商用Linuxなど技術は広がりを見せている。開発言語も、Javaと.NETが大きな勢力となっている。そのため、「取りあえず、DBエンジニアの技術力の確認・証明には、ORACLE MASTER Silverの取得」という時代ではなくなってきているのだ。こうした中、今後のDBエンジニアは「次にどういうスキルを身に付けるか」という命題が突きつけられている。「だからこそ、いま、DBエンジニアのスキルアップが非常に重要視されているのです」と林氏は語る。

  技術をきわめるか、横展開するか、2つの選択

 さらに、2007年秋〜2008年春にかけ、この2大データベースがバージョンアップされる(囲み記事「データベース最新動向」参照)。

 こうしたトレンドを受け、DBエンジニアがいまするべきことは何か。林氏は、「RDBMSとしての機能はすでに確立されており、技術的に大きな進展はありません。しかしビジネスの中でデータベースが果たす役割、求められる位置付けはこれから変化すると思いますし、それとともにDBエンジニアの役割も変わってくると思います」と前置きしたうえで、次のように続ける。

 「もちろんスキルアップを考えることも重要ですが、DBエンジニアは常に目の前の仕事に追われているものです。なので、まずは目の前にある仕事に直結する技術力を身に付けることが大切。特に、入社して2〜3年たつ若手エンジニアは、まず自分の仕事に直結する技術力を付ける必要があります。必要なスキルを得てから、『ではDBエンジニアとして、次に何をするべきか』と考えること。その“次”の一手として、『1つの技術をきわめる』もしくは『技術範囲を横展開する』という2つの道筋が考えられます。このスキルアップのプロセスに際し、資格試験は有効なマイルストーンとなります」(林氏)。

データベース最新動向
「データベース“構築”だけで終わらない技術力を」
――Microsoft SQL Server 2008

2008年春にリリースが予定されているSQL Server 2008の最大の特徴は、アーキテクチャを大きく変更することなく、DBエンジニア/エンドユーザーに向けた機能強化を図っていることにある。技術面では、クラスタリング機能強化など高可用性をさらに向上させたほか、ビジネス現場でのさらなる活用に向け、既存のRDBMSを含めたデータ活用を実現するデータマイニング機能も強化。SQL Serverが目指すのは「蛇口をひねれば簡単に水(データ)が出る」という社会インフラであり、DBエンジニアはもちろん、エンドユーザーの使い勝手も意識したバージョンアップとなっている。

こうした進化が実現したのは、現バージョンSQL Server 2005のアーキテクチャが確立されているため。システムを支えるデータベースに必須の高可用性、堅牢性、安全性はすべてSQL Server2005で実現されており、その実装技術も、データベース構築に携わったことがあるエンジニアであれば、容易に理解できる。もちろん、OracleのDBエンジニアからSQL Serverエンジニアへの移行もたやすい。このSQL Server 2005のアーキテクチャや技術を押さえておくことで、SQL Server 2008へつながる技術的な広がりが見えてくる。「DB構築技術」と「利用現場を見越した要素技術」の両方を身に付けDBエンジニアとして大きくステップアップが図れるわけだ。その入り口として、SQL Server2005が持つ意味合いは大きい。

対して2007年10月に国内でのリリースが予定されているOracle Database11gは、運用管理系の機能が強化されており、「End to Endの利用を見据えたマイクロソフト」と、「技術指向のオラクル」という対比が明確になっている。


  新人/中堅のDBエンジニアが受けるべき資格試験とは

 林氏は、ベンダ認定資格はもちろん、情報処理推進機構が行う「情報処理技術者試験」も「積極的に利用すべき」という考えだ。なぜなら、「情報処理技術者試験は国がバックアップして行う資格試験であり、"技術知識の基本を幅広く問う"ものだからです」(林氏)という。SQLについても、技術用語にしても、製品固有の方言ではなく、本質を尋ねる設問が多いのが特徴だ。「そのため、理想的には入社2〜3年目の段階で、仕事に直結するベンダ認定資格を取得し、仕事に慣れてきたころに一度情報処理技術者試験の『テクニカルエンジニア(データベース)』を受けてみるのが望ましいでしょう。自分の知っている技術力が一般的に通用するものなのかを確認するいい機会にもなります」(林氏)。

 下記の表は、DBエンジニアのキャリアとスキルアップ/資格試験の利用の仕方について、大まかにまとめたものだ。

キャリア 目的 受けるべき
資格試験
マイルストーンとしての資格試験活用法
入社2〜3年
程度
仕事に直結する
スキルを獲得
・MicrosoftTechnology Specialist:MCTS SQL Server 2005(マイクロソフト認定資格)
・ORACLE MASTER(オラクル認定資格)
・必要なスキルを身に付ける/勉強する
・技術レベルの確認
入社3〜4年
程度
幅広い技術知識の獲得 ・情報処理技術者試験 ・自分の技術知識に偏りがないかの確認
・技術レベルの確認
入社5年目
以降
DBエンジニアとして「幅を広げる」か「1つの技術をきわめる」かを選択 ・1つのベンダ系資格の中で横展開
・複数のベンダ系資格に挑戦
・1つの製品/技術知識で最高認定資格まで取得 (Microsoft IT Professional など)
・幅広い仕事を行ううえで、必要となるスキルを身に付ける/勉強する
・技術の本質を理解しているかの確認
・技術レベルの確認
表 DBエンジニアのキャリアとスキルアップ

 これまで、「取りあえず、入社して3〜4年目にORACLE MASTERのSilverを取り、その後Gold、Platinumを取ろう」と漠然と考えていたDBエンジニアも多いはずだ。これに対し、林氏は「現在の資格試験は、製品の細かな使い方やチューニングなどの細かい技術知識を問うものが中心です。しかしデータベースやOSの進化により、自律チューニングが当然となってきました。そこでDBエンジニアが発揮すべき技術力はどこにあるか。それを確認するためにも、まず基礎スキルを身に付けてから、横展開するなり1つの技術をきわめるなり、方向性を見定めた方がベターだと思います」とアドバイスする。各資格試験は、自分の技術レベルを正確に知るための指標であり、知識に偏りをなくすための勉強手段であり、技術力の証明にもなる。ちなみに林氏は、「例えば、RDBMSのアーキテクチャやSQLについて本質を理解しているか確認するには、情報処理技術者試験のほか、別のベンダの資格試験を受けてみるのも手です。ORACLE MASTER Silver取得者がMicrosoftTechnology Specialist: MCTS SQL Server 2005に挑戦する、という選択肢もありますし、その逆でもいいでしょう」とも話す。仕事を“”こなせる”スキルから、“技術の本質を理解する”スキルを習得するには、情報処理技術者試験や、これまでと異なるベンダ認定試験が有効だという。

  これから必要なのは「本質を理解する」DBエンジニア

 林氏が“技術の本質を理解する”ということを強調するのには理由がある。それは前に述べたとおり、「ビジネスの中でデータベースが果たす役割、位置付けが変化するに従い、DBエンジニアの役割も変化するのでは」という思いがあるからだ。

 「私見ですが、データベースが登場した20年前は、『データベースを導入すること』が目的だったように思います。しかしデータベースが当たり前となった現在、『蓄積されたデータをビジネスにどのように活用するか』という段階に入ってきたのではないでしょうか。そこでDBエンジニアにも、『ビジネスにデータを生かす』という観点に立った設計ノウハウや、周辺アプリケーションの知識が求められるようになるでしょう。もちろん、膨大なデータを安定した環境で活用するためには、プラットフォームについての知識も欠かせません。こうして考えると、特定のデータベース製品やバージョンだけにこだわっていては、DBエンジニアとしての寿命がないのではないでしょうか。断定的なことはいえませんが、たとえ1つのベンダの技術をきわめるにしても、その知識をほかのベンダや分野にも応用できることこそが、次の世代のDBエンジニアに必要だと考えています。そのために、資格試験やスキル測定などをマイルストーン的に活用することは、非常に意義あると思います」(林氏)

 このことから、「取りあえず、ORACLE MASTER Silver」を取得しているDBエンジニアが、SQL Server 2005を学ぶ――という選択肢は、単なる知識を身に付けるにとどまらず、「ビジネス的な観点から、技術を提案できる次世代のDBエンジニア」として活躍するためのターニングポイントといえる。

 そんな向上心あふれるDBエンジニアを支援するため、林氏によるORACLE MASTER取得者に向けたSQL Server2005のトレーニング「Oracle MasterのためのSQL Server 2005早わかりセミナー」を実施している。このトレーニングは、SQL Server 2005のアーキテクチャから、運用・性能について、Oracleユーザーに馴染みの用語で解説し、「マイクロソフト認定テクノロジー スペシャリスト (MCTS) 試験」の取得レベルを身に付けることを目的としている。単純な用語翻訳や解説ではなく、SQL Server 2005に対する技術理解が深まるので、普遍的なDB技術を確認・習得するためにも有効だ。

  また、資格試験や有償セミナーに行く手前で、「自分の実力を知りたい」「できる範囲で技術を吸収したい」と考えているDBエンジニアに対し、マイクロソフトでは「SQL Server Engineer Skill Up Center」というWebサイトを公開している。「Skill Up Center」では、定期的に開催されている有償・無償のトレーニングコースの紹介のほか、スキルチェックや技術解説なども掲載されているので、効率的なスキルアップのプランも立てやすい。まずはここで情報を収集し、自身のスキル/キャリアアップを洗い出すというのも有効な手段だ。いずれにせよ、「技術の本質を見きわめて、幅広い応用ができるDBエンジニア」へなる道筋は多数ある。記事下のリンクをクリックすれば、その一歩が踏み出せるはずだ。


Oracle MasterのためのSQL Server2005早わかりセミナー」へ

最新のトレーニング情報はすべてここに!
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提供:マイクロソフト株式会社
企画:アイティメディア営業本部
制作:@IT自分戦略研究所編集部
掲載内容有効期限:2008年02月06日