pr

2008年春・いま注目の資格とは?

新年度を控え、「新しいスキルを身に付けよう!」と意気込んでいるITエンジニアも多いのではないだろうか。2008年春に注目のスキル、そして資格とは?

 ITエンジニアの最大の武器である技術スキル。しかし、スキルは目に見えるものではなく、計測するための明確な物差しがあるわけでもない。そのスキルが身に付いているかどうかの確認として、証明として、また学習のマイルストーンとして有効なのが資格だ。

 2008年2月現在、日本オラクルがORACLE MASTERの最新版「ORACLE MASTER Oracle Database 11g」の開始を発表し、マイクロソフトが新製品Windows Server 2008対応各種試験の先行予約を開始するなど、多くの資格関連のニュースが世間をにぎわしている。

 また、多くの企業が新年度を迎える春に向けて、新しいスキルを身に付けようと考えるITエンジニアも多いのではないだろうか。

 自分の市場価値をよりいっそう高めるという点では、ほかのITエンジニアが取得を目指している資格、業界が注目している資格に目を向けてみるのもいいだろう。現在、ITエンジニアに人気の資格にはどういったものがあるのだろうか。@IT自分戦略研究所とJOB@ITが2007年11月に実施した読者調査から探ろう。また、今後注目の資格について、教育ベンダや資格ベンダ各社に聞いた。

 さらなるスキルアップを目指し、チャレンジしてみてはどうだろう。次の一歩の参考にしてほしい。

ORACLE MASTER強し。LPIC、XMLマスターも注目株

 ここでは読者調査の結果として、民間のIT系資格をベンダ資格・ベンダニュートラル資格に分けて取り上げる。それぞれについて「取得済み資格」「今後取得を目指す資格」を聞いた。順番に見ていこう。

 まずはベンダ資格。「取得済み資格」のトップは「MCP」で、全体の12.4%が取得している。次いで「ORACLE MASTER Silver」(9.7%)、「Oracle Silver Fellow」(8.7%)、「SJC-P」(8.6%)という結果だ。「今後取得を目指す資格」はといえば、「ORACLE MASTER Silver」の取得意向が最も高く、15.8%。続いて「ORACLE MASTER Gold」(14.1%)、「ORACLE MASTER Bronze」(12%)と、ORACLE MASTERの人気の高さがうかがえる。

図1 資格取得状況:ベンダ資格

 ベンダニュートラル資格では、「.com Master(インターネット検定)」(5.5%)と「XMLマスター」(5.2%)の取得者が多い。今後の希望としては、「LPIC(Linuxプロフェッショナル認定)」(14.6%)、「XMLマスター」(13.5%)、「UMLモデリング技能認定」(11.5%)が目立つ。いずれも取得済み割合との差が大きく、今後注目のスキルといえるだろう。

図2 資格取得状況:ベンダニュートラル資格

実務で生かせた資格は?

 身に付けたスキルの確認、学習のマイルストーンとして資格が有効だと冒頭で述べたが、もちろん取得後に実際の業務に生かせるかどうかも重要なポイントだ。今回の読者調査では、ベンダ資格保有者に対して「最も実務で生かせたベンダ資格」を1つ聞いている。

 「ORACLE MASTER Silver」が最も多く、ベンダ資格保有者全体の9.8%が挙げている。「MCP」(8.8%)、「SJC-P」(7.5%)が続く。

図3 最も実務で生かせたベンダ資格

「避けては通れない」XML。XMLデータベースエンジニア向け新試験も

 読者調査から資格のトレンドを読み取ったところで、今後注目される個々の資格について詳しく見てみることにしよう。

 今後取得を目指すベンダニュートラル資格として人気の高いXMLマスター。XMLは今年誕生10周年を迎え、「広辞苑 第六版」の項目として追加されるなど、ますます広まりつつある。

 XMLマスターを推進するXML技術者育成推進委員会の担当者は「XMLはいまや必須の技術。ITエンジニアが、XMLを避けては仕事ができなくなったといっても過言ではないでしょう」と語る。アプリケーション開発、データベース、組み込みなど各分野で必須知識となっているXMLを学び、知識を蓄えることは、ITエンジニアとしてのキャリアを広げるうえで大きな意義があるといえる。

 XMLマスターは、この知識をベンダニュートラルに証明できる資格。「特定製品の動向やバージョンアップなどに左右されず、普遍的な技術力を証明することができる」という意味で、その存在価値は大きい。

 2007年には、XMLデータベースのプロフェッショナルを求める市場のニーズに応える形で、新試験「XMLマスター:プロフェッショナル(データベース)」も開始された。「これまではXMLマスターの取得を特に意識していなかった、データベース系エンジニアからの問い合わせが増えています」とのことだ。試験に関する書籍も出版され、2008年2月時点では3人のITエンジニアが合格済み。今後も注目の資格といえそうだ。

Linuxはいまや「ITエンジニアのたしなみ」。基礎から学べるLPIC

 調査では、読者のテクニカルスキル保有状況についても尋ねている。全体の41.2%(複数回答)が「今後身に付けたい」と答えるなど、これからも多くのITエンジニアが取得を目指すだろうスキルの1つが「Linuxシステム管理」だ。

 今後取得を目指すベンダニュートラル資格の1位に挙げられたLPICについて、リナックスアカデミーの担当者はこう語る。「オープンソースであるLinuxの技術について、中立的に認定を行っているのがLPICです。レベル1の認定者は国内で2万3800人を超え、世界的にスタンダードなLinux技術者資格として認知されています。多くの企業が推奨するLPICの取得は、ITエンジニアにとって大きなアドバンテージになるはずです」

 いまやITエンジニアにとって、Linuxを使えることは「たしなみ」の1つであるという。「いまのうちにLinuxの基本操作やシステム管理、サーバ構築・運用について理解しておくことが重要」だ。そのためにも、LPICの取得が役に立つ。取得のための学習を通じ、基礎的な内容を体系的に学べることに加えて、「知っておくと便利な実践ノウハウ」も得られるのが魅力だという。「LPICには、出題項目の策定、問題の作成がボランティアの協力の下に行われているという特徴があります。実際に現場で活躍するITエンジニアの声が取り込まれているのです。普段からLinuxを使っている人でも、勉強をしていると『こんな使い方があるんだ』『こんな機能があるんだ』という発見があると思います」

 現在、LPICの最高レベルであるレベル3の新試験として、セキュリティ技術を問う「Security Exam」の開発が進められているという。近いうちにLinuxにおけるセキュリティ専門の認定試験が開始されることになるだろう。セキュリティ全般もITエンジニアに人気の高いスキルである。ますますLPICから目が離せない。

実際のトラブル対応の状況に酷似、RHCT/RHCE

 「注目のLinux関連資格」というなら、忘れてはならないのがRHCT/RHCE(Red Hat Certified Technician/Engineer)だ。いうまでもなくRed Hat Enterprise Linuxのシステム管理スキルを認定する資格で、全世界でRHCTは2万人(日本では1000人)以上、RHCEは3万人(日本では3000人)以上が取得し、世界標準のスキルを証明できる。だがその最大の特徴は、何といっても実技試験である点だろう。

 「試験では、manページの参照などRed Hat Enterprise Linuxのリソースは利用できるが、インターネットには接続できないという環境で課題に取り組む必要があります。これは、お客さまのデータセンターでのトラブル調査などと酷似した状況です」とレッドハットの担当者は語る。実際の業務にも通用する、実践的な資格なのだ。

 受験者へのアンケートでも、「ITエンジニアにとって非常に重要なトラブルシューティング力が付き、技術支援を行ううえで役立つ」「選択問題でどれだけ良い点がとれるかではなく、どれだけ実際に使えるかを証明できる」など、その実践的な内容を高く評価する声が多いという。

 ミッションクリティカルなデータセンター環境にかかわるITエンジニア向けの資格、RHCDS(Red Hat Certified Datacenter Specialist)も新設されている。まずはRHCT/RHCE、そこからさらに上位の資格へと挑戦してみてはどうだろう。

上流工程に進みたいITエンジニアへ、OCUP

 ベンダニュートラル資格でもう1つ、注目度の高いのがUML関連スキル。上記の読者調査結果からも読み取れるとおりだ。

 OMG認定UML技術者資格試験プログラム(OCUP)の有用性を、UML教育研究所の担当者はこのように説明する。「UMLでは図を用いてシステム設計を行います。UMLを学びUMLで記述することにより、ほかのプロジェクトメンバーとのコミュニケーションミスを防ぐことができます。設計を可視化することにより組織的な開発が可能となり、品質と生産性向上の手助けとなります」

 設計に関するスキルが身に付くため、上流工程に進みたいと考えているITエンジニアにも向いているといえるだろう。

 OCUPは「130カ国以上で共通のグローバルな資格」であり、「ソフトウェア開発における基礎となる知識を問う資格」のため、活用できる範囲も広い。オフショア開発の際など、海外とのやりとりにも有用だ。

 2006年には、OMG認定組込み技術者資格試験プログラム(OCRES)も開始されている。これはETSSに準拠した、組み込み開発の設計段階で必要なスキルを証明する資格だ。今後はOCUPの上位レベルの資格やOCRESに関する情報を増やし、教育にも力を入れていきたいという。

「実務で生かせるベンダ資格」、SJC-P

 最後に、多くのITエンジニアが保有し、今後の取得意欲も高いJavaに関する資格を見てみよう。読者調査の「最も実務で生かせたベンダ資格」を見ても、3位にSJC-Pが挙がっている。

 サン・マイクロシステムズの担当者は、いまJavaを学ぶことについてこう語る。「今日では、インターネット、携帯電話、車、家庭用ゲーム機など、あらゆる所にJavaテクノロジが浸透しています。汎用性の高いJavaは進化を続けており、それと同期してITエンジニアも進化し続けなければなりません。市場においても、常に最新の技術を身に付け、学び続ける意欲のあるITエンジニアが求められています」。そんな中、サン認定資格を推奨資格として指定する企業も多く、Javaエンジニア採用の際の目安としても使われているそうだ。

 上記読者調査の「資格取得状況:ベンダ資格」によると、サン認定資格の中ではSJC-Pの取得者が多い。上位資格であるSJC-D、SJC-WC、SJC-BC、SJC-EAでは取得意欲は高いものの、実際の取得者はまだ少ない状況だ。「上位資格は、Webアプリケーション開発、アーキテクト、モバイル開発など、目指す方向性を見極めて取得するものです。資格を得ることで、さらに対象を絞った専門性をアピールできます。ハードルの高い資格と思われがちですが、SJC-WCの受験者は年々増えており関心の高さがうかがえます」という。

 このような意欲のあるITエンジニアに向けて、サン・マイクロシステムズでは2007年には「再受験無料キャンペーン」を実施。これからも資格取得を応援するキャンペーンを考えたいという。この機会にSJC-Pの、さらには上位資格の取得を考えてみてはどうだろう。

特集スポンサー

提供:産業技術大学院大学
企画:アイティメディア営業本部
制作:@IT自分戦略研究所編集部
掲載内容有効期限:2008年3月31日

特集スポンサー