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第41回 男性の皆さん分かってよ! 女性SE仕事へのキモチ

Tech総研
2007/3/27

IT業界は女性に優しいか、厳しいか。女性エンジニアを対象にしたアンケートから、制度面での不満を分析した。(Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載)

  その1
300人のIT系女性エンジニアの本音を一挙公開!
ここが不満&満足、IT業界

 このたびは「女性エンジニア」に注目したレポートをお届けする。IT・ソフトウェア系を中心に、300人の女性エンジニアにTech総研独自のアンケート調査を実施した。

 まずは彼女たちがエンジニアになろうと思ったきっかけを紹介していこう。当たり前というべきか、もともとPCに興味を持っていたという回答が多数。「中学の技術課程で学んだBASIC」など、中学や高校でPCに触れたことがきっかけになっている人が多かった。また「モノをつくる仕事」に携わりたいという志望理由が多かったことも、特徴として挙げられる。

 就職してからのIT業界に対する印象について聞くと、「変人・オタクが想像以上に多かった」という声と、「思ったより普通の人が多い」という声の両方が。いったいどんなイメージをIT業界に抱いていたのだろうか?!

 そんな女性エンジニア300人がいま、IT業界に抱いている不満&満足ポイントを探ってみよう。

福利厚生などの制度面におけるIT業界のここが不満!
私たち「男女差別」でなく「男女区別」してほしいんです!
図1 福利厚生などの制度面における女性エンジニア不満足度

 まず、福利厚生などの制度面から取り上げてみよう(図1)。今回のアンケート結果では、出産・育児にかかわる制度に対して不満が集中した。「産休に入るまで普通に夜11時くらいまで残業していたので、きつかった」など、女性ならではの体調の変化に対して周囲が気を使ってくれないという声が多数上がった。確かに女性ならではの妊娠・出産などは男性には分かりにくいこと。だからこそ、女性エンジニアたちは男性エンジニアのフォローを求めているようだ。つまり「男女差別」するのではなく、結婚・妊娠・出産・育児と変化する女性の体調や事情を考慮して「男女区別」をしてほしいという声が圧倒的だったのだ。

 ところが現実を見てみると、「産休=退職」というイメージの会社がまだまだ多かったり、「産休・育休制度は存在しているが実際に使用している人を見掛けない」ということも。「子育てと両立は無理だと思う」というシビアな回答もあった。現在、皆さんの周りには産休を取っている女性エンジニアは存在するだろうか。

女性エンジニア 代表的なコメント

・産休して復帰した女性が会社にいない。家庭を優先して働ける環境がないと思う。
(28歳:システム開発(Web・オープン系))

・残業が多く、子どもを産んでからの勤務は難しい。担当業務をライフステージに伴い変化させてほしい。
(35歳:社内情報システム、MIS)

・残業の調整につきると思う。つまり子どもの迎えがあるため長時間の残業ができない場合、どうするか?
(39歳:通信インフラ設計・構築(キャリア・ISP系))


会社&上司からの評価・待遇面におけるIT業界のここが不満!
残業時間で評価しておいて「どうせ女だから」といわないで!
図2 会社や上司からの評価待遇面における女性エンジニア不満足度

 では評価・待遇面ではどうだろうか。「不満がない」と答えた人は全体の約4割(図2)。そのほとんどは、評価において性差を感じたことがないという人たちだ。では不満がある女性エンジニアは、どんな点に不満を募らせているのだろうか。

 大きく分けて、「評価の基準があいまい」「評価に男女差別がある」という2点に集約された。同じIT業界とはいえ、今回のアンケート結果からは会社ごとの違いが大きいという傾向が出たわけだ。「客先に常駐しているので、何をもって評価しているのかまったく不明」など、きちんと部下を見ていない上司は論外だが、そもそも長時間労働前提での評価が多いことに不満が出ている。とにかく残業が多いといわれるIT業界、残念ながら稼働時間で個人の評価をしている上司がまだ多いようだ。

 このように男女共通といえる「評価基準」への不満がある一方、「男性上位」という問題も浮かび上がった。「同じ能力を持っている場合、いつでも男性の方が良い評価を受けてしまう」という「男性上位」の雰囲気が感じられるというのだ! それは後述する「仕事の割り振り」にもつながっている。また産休・育休を取ったことが評価においてマイナスになってしまうことに、多くの人が疑問を投げ掛けている。

女性エンジニア 代表的なコメント

・稼働時間で判断していると思う。していないといいますが……残業しないと働いていないみたいに思われる。
(30歳:システム開発(Web・オープン系))

・女性と男性であれば、同じ能力でも男性が有利。「そのうち結婚していなくなる」程度に考えられている。
(27歳:運用、監視、テクニカルサポート、保守)

・産休を含む年度の評価はマイナスになってしまう。「産むな、働け」といわれているようで嫌気が差す。
(29歳:システム開発(汎用機系))


男性エンジニアの職場での対応におけるIT業界のここが不満!
私は雑用係じゃない! エッチなグラビア・フィギュアもやめてください
図3 男性エンジニアの上司・同僚の、職場での普段の言動や対応における女性エンジニア不満足度

 男性エンジニアに対する不満もアンケートで聞いてみたところ、ちょっと厳しい回答が相次いだ。だが、円グラフでも分かるように「不満がない」人も半数いる(図3)。

 不満の中身を見ていこう。まず目についたのは、セクハラ。職場に飾っている水着のグラビアアイドル写真やフィギュア、実はセクハラに感じている女性エンジニアが存在した。ほかにも「嫌な愛称やちゃんづけで呼ぶ」など、男性が無意識に行ってしまいそうなセクハラが挙げられた。

 次に待遇面でも話題になった「男女差別」。「女性部下に仕事を振れない」という困った上司がいたり、「女性」だからという理由で特別扱いしようとする上司・同僚が多いようだ。加えて女性ばかりに雑用を頼む男性が多いという回答が多数! お茶くみ、電話取り、備品の管理に始まり「女の子の方が整理整とんが得意」というあきれた上司もいるとか。

 そして「女性特有の問題」への男性の理解・意識の低さに、最も不満が集中した。特に子育て、生理痛などへの理解が足りないようだ。「子どもを預けながら働いている女性に対し、定時ぴったりに帰社することに文句をいう」など、子育てしながらの女性の事情に手心を加えることができない男性が多いようだ。また、男性と女性の体力は違うのに同じ仕事量、同じ力仕事を頼む上司などにも反感が集中した。

 下に掲載するインタビューでも話題になったが、これらの問題の根本には「育児や家事は女性がするものと思っている」男性エンジニアが多いという、女性エンジニアからの指摘がある。また特にエンジニアの場合、制度として男女の待遇が同じというところにも理由があるようだ。つまり「同じ給料をもらってるんだから、同じだけ働くべき」と考える男性が多いという傾向が今回のアンケート結果からは読み取れる。いくら男女分け隔てないとはいえ、ちょっとしたフォローや気遣いが欲しいというのが女性エンジニアの本音のようだ。

女性エンジニア 代表的なコメント

・デスクにアニメキャラ(セクシー系)やグラビアアイドルの写真などを置いている男性社員がいて、女性にとっては不愉快。
(26歳:システム開発(Web・オープン系))

・現在庶務担当者がいないため、お茶出しや備品の管理などはすべて女性SEが行っている。お茶出しは誰でもできることなので、女性でなくてもよいと思う。
(23歳:ネットワーク設計・構築(LAN・Web系))

・「結婚して辞められるからいいよね。自分は家族を養わなきゃいけないから」と露骨にいわれる。これはエンジニアうんぬんではなく、ただのセクハラだろうか?
(27歳:運用、監視、テクニカルサポート、保守)


仕事内容におけるIT業界のここが不満!
出産・育児もしたいのに、手本となる人やキャリアパスが存在しない!
図4 仕事の内容における女性エンジニア不満足度

 IT業界の根本的な問題として、残業が多い点が挙がった。これが出産・育児をしながら働く女性にとって大きな負担になっている。「夜中は働かない! という、一見当たり前の意見が異端視される」など、IT業界の現状はまだまだ厳しい。また「ヒマなときと忙しいときの差が激しすぎる」という男性エンジニアにも共通する悩みも回答に挙がった。残業が多いため、とりわけ短時間勤務中の女性エンジニアへの仕事の割り当てがうまくいかないようだ。短時間勤務者の不満も周囲の女性エンジニアの不満も、そこに集中する結果となった。とにかく「残業が多い」のが女性エンジニアのネックになってしまっている(図4)。

 女性の働き方にも大きく分けて「バリバリ働きたい」派と「家庭重視」派の2種類あることが、男性側の混乱を招いているようだ。個々の女性がそれぞれに合った働き方を選択することが、現状このIT業界では困難となっている。それが既婚の女性エンジニアの働く環境を阻害しているという結果が、今回のアンケート結果からうかがえるだろう。

 最後に、女性への教育体制の不備という回答があった。育休後の女性のキャリアパスが開けていないのだという。「女性にはキャリアプランを考えない」上司に加え、手本となるような先輩女性エンジニアもいないという絶望的状況。「子どもができたらもう終わり」と考えている会社では、教育自体があまり行われていないようだ。

女性エンジニア 代表的なコメント

・上司が異常な量の残業、休日出勤を無言の圧力で強要している。
(27歳:システム開発(Web・オープン系))

・残業が多いので、結婚・出産すると働きづらいイメージがある。そのため、結婚・出産後に働き続けている人がとても少ない。
(31歳:システム開発(マイコン・ファームウェア・制御系))

・いまの仕事が3年後5年後……につながっていくという気がしない。女性だけ、長期のキャリアプランを考えた仕事の割り振りをされていない気がする。
(29歳:システム開発(Web・オープン系))


IT業界のここが満足!
女同士のしがらみがなく、評価に男女差別がないのが良い!
図5 IT業界に対して、何かしら満足している女性エンジニアの割合

 今回のアンケートでは、この業界の満足点も回答してもらった。とにかく「女同士のしがらみがない」「女らしさが求められない」という女性ならではの回答が。これは男性エンジニアにはない、女性特有のケースといえるかもしれない(図5)。

 エンジニアならではの勤務形態として、在宅勤務が好評だった。働く時間や場所が拘束されないため、多様な働き方を求める女性にとって利点が大きいようだ。「いま、不妊治療を受けていますが、私は在宅勤務なので問題なく病院に通えています」という声も挙がった。

 また、これまでのアンケート結果と多少矛盾するものの、多くの声が仕事内容・評価に及第点を付けていた。いくつかの不満点はあるものの「結果主義でばさっと」していたり「いいたいことは主張」できたり、とにかく「仕事ができれば性別は関係ない」という点が女性エンジニアに大きく評価されたようだ。つまり制度面では女性は不利なことが多いが、作業面では男女差がないというところでポイントが高いということ。職場によって実際の状況は大きく違うようだが、このIT業界では男性も女性も待遇や仕事内容に大きく変わりはない、という意見が多数だった。

 ここで「エンジニアとしての原点」の声を取り上げよう。「プログラミング自体が好きなので(モノをつくっているという充実感)、苦労も多いけど喜びもある」。女性・男性と区別せずとも、エンジニアとしての気持ちは皆同じなのだ。

女性エンジニア 代表的なコメント

・技術があれば、女性でも評価される。
(26歳:運用、監視、テクニカルサポート、保守)

・女性だらけの職場に比べ、嫌味な人がいない点はすごくいい。
(28歳:システム開発(Web・オープン系))

・結婚後も仕事を続けている女性の前例が欲しい。
(26歳:システム開発(汎用機系))


   

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