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第45回 先輩エンジニアの黒い新人教育活動記

Tech総研
2007/6/4

  リクナビ編集長に聞く! 最近の新人のキモチ

 ここまで先輩エンジニアの苦悩を紹介してきたが、当の新人たちはどのような気持ちで入社し、どのような姿勢で仕事に取り組もうとしているのか? リクナビおよびリクナビCAFE編集長の前川孝雄氏に、最近の傾向を聞いてみた。

学生は「責任のある仕事」より「やりたい仕事」を重視

リクナビ、就職ジャーナル、
リクナビCAFE編集長
前川孝雄氏

 就職氷河期が終わり、2005年あたりから採用環境は「就職雪解け期」から「就職温暖期」を迎えました。企業と学生の働く意識の変化を見てみると、学生が企業を選ぶ際に重視する項目のトップは「自分がやりたい仕事ができる」。にもかかわらず、企業側が学生に与える仕事環境は「責任のある仕事ができる」。学生は、気の合う仲間と和気あいあいと自分のやりたい仕事をしたいと思っているわけですが、当たり前のことながら仕事は組織の中で責任を担わなければ成り立たない。入社する前から、すでに企業と学生の意識のギャップが生まれているわけです。

新人に向き合うための、3つのポイント

 では、「就職温暖期」を迎えるにあたり、今後増えつつある新人に対してどのように接していけばいいのか。ポイントは3つあります。第一に、新人があこがれるヒーロー社員の存在です。日々疲れた顔で仕事をしている先輩を見て、新人は果たして頑張れるでしょうか。どんなことでもいい、新人が「あんな人になりたい」と思える先輩であることが大切だと思います。第二に、仕事の意味付けです。やっていることの納得感がないと、仕事への責任ややりがいは見いだせません。極端ですが、飲み会の幹事を任せるといった場合でも、「さまざまな役職の人を巻き込むスキルが身に付く」など、1つ1つ役割の意味を伝えましょう。第三に、キャリアステップを可視化してあげることです。キャリアの浅い年代ほど、成長への焦りや自己実現に対しての強い欲求があります。彼らが持っている高い成長意欲や自己実現のステップを、現実的にチューニングしてあげましょう。

 新人は、先輩に「自分の未来の姿」を投影します。先輩が働いている姿を自分の将来像に結び付けるのです。あなたがあこがれの先輩の姿に近づけば、きっと新人の仕事への向き合い方も変わっていくと思いますよ。

  最後に:苦言とは裏腹の、先輩エンジニアの心の声

 若手が成長するためには、親心として時に厳しいことをいうことも、わざと放置することもあるだろう。苦言を呈する先輩エンジニアたちが心に秘めている、「新人に望むこと」をここで紹介し、本レポートを締めくくりたい。

自分の夢を見つけてほしい。そうすれば、仕事が楽しくなる。(システム開発(汎用機系)社会人歴10年目 男性)

いい子ぶらないで、たまには自分の意見を熱くぶつけてほしい。(システム開発(Web・オープン系) 社会人歴3年目 女性)

頑張りすぎない程度に頑張ってもらいたい。数年後に息切れしないように……。(運用、監視、テクニカルサポート、保守 社会人歴9年目 女性)

思いどおりにならないことの方が多いことを学び、そのようなときにどう対処するかを冷静に見極められるようになってほしい。(機械・機構設計、金型設計 社会人歴10年目 男性)

いまやっていることは遠回りでも無駄ではなく、自分の自信や価値になっていくことを考え、勉強してほしいです。何かに一生懸命になることは無駄にはなりません。(機械・機構設計、金型設計 社会人歴15年目 女性)

自分なりに成長したという満足におぼれるのではなく、周りの先輩に追いつき、追い越したときに「自分も成長できた」と口にしてほしい。(回路・システム設計 社会人歴10年目 男性)

この世界で食っている、食っていくんだというプロ意識を持ってほしい。(システム開発(Web・オープン系) 社会人歴4年目 男性)


☆ギャップには戸惑うが、埋められる

 誰もが通る道、「新人」。学生時代のアルバイトなどで会社や働くことについてのイメージを持っている若者もいるだろうが、社会人になったばかりの段階では不明なことも多いだろう。名実ともに成熟した「社会人」となれるまでには時間がかかる。

 社会に出てみれば同年代もいるが、自分とはかけ離れた年配者や想像も及ばない社会の習慣もある。記事中にあるようなギャップは、知識や経験の差だろう。不景気のせいで長らく「新人」を迎え入れることができなかった会社なら、新人と先輩のギャップは深いかもしれない。だがギャップは努力で埋めることができる。

 ようやく就職温暖期となったが、就職氷河期は長かった。新人に「積極性がない」というのは学生の間でまん延してしまった会社への不信感や失望感のためかもしれない。また「優秀」なのはそうでないと生き残れないというプレッシャーがあったのかもしれない。コミュニケーションの不得手にはそれまで育ってきた環境の影響があるのだろう。

 人間は社会の中で育っていく。先輩、兄貴、放任、仙人、いろんなタイプの先輩や上司とぶつかり、すれ違い、次の世代の社会人となる。逆に先輩が新人に教えられることもあるだろう。互いに「いい関係」を築けるよう、ギャップを越えられるようにしたい。

(加山恵美)


この記事は、Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載しています


 

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