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最新データで見る「エンジニアのキャリア事情」

第48回 どこが一番? 7大都市別働き心地チェック

Tech総研
2007/8/2

  東京編
やりがいとスキルアップだけを求めるなら迷わず東京。エンジニア人気No.1!

 大きなプロジェクトに参加できたり、エンジニア冥利(みょうり)に尽きる仕事を手掛けられたりする機会が多く、やりがいを求めるならばやっぱり東京という回答が多く見受けられた。向上心が高く優れたスキルを持つ同業者と出会うことも多く、刺激になるという意見も。給与水準も良く、常に最先端の情報に触れることができる。また、良質な顧客が多く、さまざまなチャンスを得られる都市としてエンジニアにダントツの人気を誇っているようだ。

 ただし成果は給与に反映されやすいものの、全体的に納期がきつめの仕事が多く、残業も多くなりがちとの回答も目立った。顧客からの要求もレベルが高く、厳しい案件が多い。給与水準は高いが家賃なども高く、必然的に都心から離れた場所に住まざるを得ない人が多いため、毎日の通勤で長時間満員電車に揺られストレスがたまるデメリットもあるとのこと。

アンケートから抽出した、エンジニアの目から見たこの都市の特徴
スキルアップのチャンスが多く、それに見合った給与を得るチャンスもある都市。(運用、監視、テクニカルサポート、保守/39歳)

東京はチャンスが多く、そのチャンスを物にしたときに自分の役職に反映されやすいので、出世街道まっしぐらの人には絶対に東京の方がよい。(コンサルタント、アナリスト、プリセールス/40歳)

東京は広いので、意外と自分に合った環境を見つけやすい都市。(システム開発/32歳)

識者からのワンポイント紹介
「東京は、さまざまな人や最先端の情報が集まる都市」

 東京の一番の利点は、さまざまな選択肢があるということ。住む場所も休日の過ごし方も多種多様な選択肢の中から選べるため、一概に住環境が悪いともいえません。また、東京の人口の85%は、地方から東京に集まってきた人々です。そのため、常日ごろからさまざまな人々と接する機会が多く、コミュニケーション上手な人が多いのです。意外に義理人情に厚い人も多く、頭がキレる人も多いのですが、永住する人が多いわけではないため、どうしても「気軽に付き合える」関係で終わってしまいがちです。それから、いかにネットから情報を得られやすくなったとはいえ、やはりまだ東京で得られる情報は質・速報性共に優れています。


  名古屋編
ややとっつきにくい土地柄だが、クリエイター気質のエンジニアに向いている都市

 アンケート結果からは、給与はやや低めの傾向にあるが、物価・家賃共に安いため出費を抑えることができ、貯蓄がしやすいことが分かった。車さえあれば移動も不自由なく、満員電車とも無縁、非常に暮らしやすい都市であり、エンジニアからの人気も高いようだ。仕事面では、製造業のユーザーが多いため、製造向けシステム関連が多い。比較的細かい仕事や、少人数で短時間で仕上げる仕事が多く、自分のペースで仕事を進めやすいとの声も。

 一方で名古屋人同士の連帯感が強いため、転勤してきて最初のうちはなじみづらいと感じるエンジニアも多いという傾向が目立った。また、事なかれ主義の傾向もあり、何をするにも決断が遅いと感じる人も少数いた。

アンケートから抽出した、エンジニアの目から見たこの都市の特徴
名古屋はユーザーが圧倒的に製造業が多い都市。(システム開発/43歳)

個人というより集団意識が強い都市。(システム開発/41歳)

名古屋は物価が安く給与で十分まかなえた。(システム開発/38歳)

製造向けシステム関連の仕事が多い。(システム開発/33歳)

識者からのワンポイント紹介
「名古屋は、打ち解ける方法さえ知っていればエンジニア向きの都市」

 地元意識が強く、良質な人間関係を構築しづらそうな都市と思われがちですが、いったん周囲と打ち解けてしまえば協力も得られやすく、エンジニアにとって非常に過ごしやすい都市となります。そもそも名古屋は合理的な気質を持つ都市で、モノづくり向きの場所ですから、ムダを極力省こうという意識も高く、エンジニアとは相性が良いのです。

  名古屋の環境にうまくなじむためにすべきことは、とにかく第一印象に気を配ることです。初めて会う人には深々とお辞儀をすること、ブランドものをひけらかすようなことはしないこと。名古屋人は裕福な人が多く、プライドも高いため、見た目での見栄の張り合いを避けるように心掛けることが、うまくやっていく秘訣(ひけつ)です。


  大阪編
エンジニア人気No.2。面白い人・仕事が多く、ハマる人はとことんハマる都市

 アンケートの回答から、面白くて面倒見がいい人が多く、大阪人のノリがしっくりくる人にとっては、良質なコミュニケーションを築くことができる都市ということが分かった。概して、表裏がなくざっくばらんな人が多いらしい。勢いとノリで仕事をする傾向が見られるとのこと。東京より物価は安く、交通も至便、新しい情報も入手しやすい。大きな案件を手掛けることもあり、仕事が細かく分業化されていないことから、大阪での仕事の方がチームとしての達成感を得られ、やりがいが大きいというエンジニアも多いらしい。

 その一方、せっかちで言葉遣いが荒いコミュニケーションに耐性がない人は何かとストレスがたまるという回答が目立った。さらに仕事面では、「納期は短く、値段は下げろ」とむちゃをいってくる顧客も多く、概してどこの企業もコスト意識が高い傾向が見受けられた。

アンケートから抽出した、エンジニアの目から見たこの都市の特徴
東京は生活にコストがかかり、そのほかの地方は案件になかなか恵まれない。その中間が大阪。(ネットワーク設計・構築/33歳)

人情があり、東京より物価が安く魅力的な都市。(品質管理、製品管理、品質保証、生産管理/29歳)

人情あふれる風土、会話のテンポ、トークが面白い土地柄。大阪出身というのもあるが、一生大阪で勤務したい。(運用、監視、テクニカルサポート、保守/32歳)

識者からのワンポイント紹介
「大阪は、慣れるまでが大変だが、慣れると住みやすい都市」

 大阪弁はかなりきつい口調なため、最初はショックを受ける人が多いと思います。思っていることはいっていることの10分の1と考え、まずは大阪弁の強い物いいに慣れることが大事です。

  大阪の環境になじむためには、周囲に自分の失敗談を多く話すと効果的です。その際、絶対に大阪弁はまねしようと思わないこと。大阪人をばかにしているのかと受け取られかねません。

  ちなみに、東京に対抗する意識が強いため、東京から転勤した人が大阪になじむのは、他都市からの転勤者より少々ハードルが高いかもしれません。ですが、以上述べてきたポイントに留意して周囲になじんでいけば、とても住みやすい環境へと変わるはずです。


  広島編
残業が少なくのんびりとした雰囲気が特徴。人とのつながりが強い温かな都市

 人同士のつながりが強く、まったりとした人間関係を築くことができる。残業も少なく、ゆとりある勤務形態の企業が多いため、のんびりとした気質のエンジニアにオススメという回答が目立った。アットホームな企業が多く、個人の家庭の事情に配慮してくれるなど、働きやすい環境が整っているとのこと。エンジニアに自由に開発を任せてくれる企業もあるため、のびのびと仕事に取り組むことができるらしい。交通の便も割と良く、家賃もさほど高くないため住みやすい都市。刺激より安定を望む人向きということがアンケート結果から分かった。

 一方で下請け的な仕事が多く、セミナーの開催も少ない傾向にあるため、スキルアップして大きな仕事に挑戦したいと考えているエンジニアの不満の声も少数挙がっていた。

アンケートから抽出した、エンジニアの目から見たこの都市の特徴
やりがいの大きな仕事はない。が、仕事内容を除けば、残業が少なかったりと東京より良い面が多い都市。(システム開発/31歳)

家庭の事情などを考慮してもらえた。働きやすい都市。(システム開発/31歳)

やりがいも感じられるし、広島の人は人当たりもよく、そのほか、生活環境を総合すると自分に合っていると感じる。(機械・機構設計、金型設計/34歳)

識者からのワンポイント紹介
「広島はのんびりした都市で単身者のエンジニアにオススメ」

 広島人はおおらかで細かいことはいいませんし、シンプルな思考の人が多いため、非常に付き合いやすいでしょう。が、その半面、ルーズなところもあるため、たまに約束事を反古(ほご)にされることも。単身赴任者比率が高いため、一人身のエンジニアにとってもなじみやすい都市でもあります。

  ちなみに、広島は東京人と非常に相性が良い都市です。まず、広島も東京も川や橋がたくさんある環境が似ていますし、かつ新しもの好きな人が多い点も類似しています。東京からの転勤者にとって、とても過ごしやすい都市といえるでしょう。安定を望むエンジニアには非常に住みやすい都市です。


  福岡編
給与水準は大阪と同レベル&物価・家賃が安く暮らしやすい土地

 アンケートの回答によれば、給与水準は東京の7、8割とやや劣るものの、大阪と同等レベルにあり、物価や家賃は安くすむため、ゆとりある生活を堪能できるらしい。また、福岡人はフレンドリーで人情に厚く、職場の雰囲気も良いためすぐになじめる環境らしく、転勤者にはうれしい。親切な人が周囲に多く仕事上の質問もしやすいため、まだ技術力に自信がない人にとっては特に心強いという意見も見られた。また、通勤も快適かつ空港へのアクセスも良いとのこと。

 ただしエンジニアの人数がさほど多くなく、優秀な同業者に刺激を受けることが少ないため、スキルアップの意欲が損なわれやすいという意見も見受けられた。

アンケートから抽出した、エンジニアの目から見たこの都市の特徴
新しく配属になった先でもすぐになじめた。人情に厚くフレンドリーな人が多い都市。(システム開発/38歳)

東京に比べ賃金は安いが、その分物価が安く、東京以上の生活ができる都市。(サービスエンジニア/37歳)

仕事の質と生活の質を両立できる土地だと思う。(コンサルタント、アナリスト、プリセールス/37歳)

識者からのワンポイント紹介
「福岡人は、エンジニアと正反対の資質を備えていることを意識しておきましょう」

 福岡人は確かに人情に厚く、一見付き合いやすそうに見えますが、いいかげんで遊び好きな人も多く、いうことがリップサービスの場合もあります。仕事もなあなあになりやすく、まじめで実直なエンジニアであれば、頭痛の種になるかもしれません。

  こうした福岡人の気質を十分知ったうえで、押さえるべきところは押さえ、仕事の主導権を握ることができれば、福岡でのエンジニア生活を快適に送ることができるでしょう。基本的にエンジニアと正反対の気質を持った人が多いと思いますので、細かいことが気になるエンジニアには慣れるまで時間が必要かもしれません。


  最後に
エンジニアにとっての理想の都市って?

 以上、エンジニアの視点から各都市の特徴をまとめてみた。結果、エンジニアにとっての理想の都市とは、本人の性格や価値観、目指すものによって常時変わり得るものであることが分かった。

 例えば、エンジニアになりたてでスキルアップやチャンスを積極的に求めているならば、まずは最先端の情報やチャンスがあふれている都市で修業を積む。その後、自分のスキルを生かせ、かつ自分にとって居心地が良い都市へと移動し、末永くエンジニアとして活躍するといったふうにである。

 従って、エンジニアが自分にとって理想の都市を見つけるために必要なことは、いま自分が何を求めているのかを知り、いずれ自分が何を求めるようになるかを予測することではないだろうか。

 時折立ち止まって、いま自分が望んでいるものと、今後自分が望むだろうものについて思いをはせ、どの都市なら手に入れやすいか考え、今後のキャリアプランの参考にしてみてはいかがだろう。



☆土地に縛られない職業だからこそ、土地を選ぼう

 エンジニアの仕事そのものは土地柄と無縁だが、エンジニアだって仕事を終えれば外に出る。買い物をしたり、遊びに出掛けたりする。こうした生活や行楽の中身は、充足を左右する要因の1つとなるだろう。

 生活が充実していれば英気も養えるというものだ。土地柄との相性はエンジニアという「職種」より、趣味や出身など「個人」に依存する要素が大きいのではないかと思うものの、エンジニアと土地柄の相性を考えてみるのは興味深い。

 エンジニアは開発現場に常駐する場合もあるが、勤務地に縛られない場合もある。統計からするとエンジニアの多くは東京近辺に集中しているが、それ以外の土地を拠点として活躍するエンジニアもいる。東京にある会社のアプリケーション開発を北海道や九州で行うことだって可能だ。

 実際にフリーランスのエンジニアでこうしたパターンを実践している人がいる。東京で請けた案件の開発を地元(広島)で行っているそうだ。その人によれば「東京の仕事は高く、広島の物価は低い(東京ほど高くない)」とのことで、おいしいところをうまく取ることができているといえる。

 まだ現実性は低いかもしれないが、将来はテレワークの道も開けるかもしれない。いまのうちに自分と合いそうな土地の目星をつけておくのもいいだろう。

(加山恵美)


この記事は、Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載しています



 

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