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第50回 「職場のいじめ」エンジニア的対策マニュアル

Tech総研
2007/9/11

エンジニアがいる職場のいじめを考える。個人の能力差が分かりやすい職業であるためか、その差がいじめと関係してくることもあるようだ。どのような対策をすればいいか。(Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載)

  Part1
エンジニアの職場の「いじめ」の実態

エンジニアのいじめは多い? 少ない?

 いじめ、とりわけ職場でのいじめの定義は実に幅広いものだ。例えば、ちょっと怒鳴っただけで猛烈なプレッシャーを感じる人もいれば、何も感じない人もいる。極論すると、いじめかどうかは、その人がどう受け取ったかによるともいえる。

図1 あなたの職場に「いじめ」はありますか?

 たとえ当事者にならなくても、同じプロジェクトや、連携を取る必要があるチーム内でいじめがあるのは、エンジニアにとってやっかいだ。「関係ない」と思っていても、「プロマネ(プロジェクトマネージャ)とリーダーが一緒に外出したとき、何かの拍子でもめたらしく、プロマネが怒ってしまった。リーダーがプロマネから無視されるので、下のプログラマは迷惑している」(38歳/品質管理・生産管理)とプロジェクトの進行や生産性に影響を与えるようになれば、ひとごとでは済まされないはずだ。

 まず、エンジニアの職場にいじめが多いのか少ないのかを見てみよう。Tech総研がエンジニア300人を対象に行ったアンケートによると、職場にいじめがあると答えた人は全体の33.3%(「頻繁にある」「ときどきある」「たまにある」の合計)だった(図1)。

 21世紀職業財団が、2004年、農林業を除く全業種を対象に実施した調査では、「パワーハラスメントがある」職場が34.2%、「その他の職場のいじめ・嫌がらせがある」が28.0%。エンジニアの職場におけるいじめも、一般的な傾向とほぼ同じ割合で起こっていることが分かる。

誰が誰をどんなことでいじめている?

 「どんな行為が行われているか」という質問への回答はさまざまで、いじめに対する見方が人によって大きく異なることが分かった。「メタボリックな人の腹をつかんでいる」(30歳/運用・保守)のをいじめととる人もいれば、「昼食に誘われない」(27歳/回路・システム設計)のをいじめと感じる人もいる。あるいは、「上司がお気に入りしか連れて歩かない」(39歳/運用・保守)のをパワハラと受け取ったり、「指示どおりできなくて、年下からきつくいわれる」(25歳/システム開発[WEB・オープン系])ことをいじめと見なしたり。もちろん、「作ったプログラムを消された」(33歳/システム開発[マイコン・ファームウェア・制御系])、「机に消臭剤を置かれた」(31歳/機械・機構設計、金型設計)といった明らかないじめも少なくない。

 では、どのような図式でいじめは起きているのか見てみよう。図2を参照いただきたい。「誰が誰をいじめているのか」という設問に対する回答で多かったのは、「上司が部下を」の62.0%、次いで「先輩が後輩を」の42.0%、そして「同僚エンジニア同士」の31.0%だった。強い者が弱い者をいじめるという、いわゆるパワーハラスメントの傾向は、エンジニアの職場でも強いようだ。

図2 誰が誰をいじめていますか?

能力の差が分かりやすいエンジニアの職場

 興味深いのは、これらベスト3に続き、「部下が上司を」と「後輩が先輩を」という答えが同率で4番目に多かったこと。いわば“逆パワハラ”のケースが少なくないのだ。

 「パワーハラスメント」という言葉の生みの親で、職場のいじめ防止対策に関するコンサルティングや講演活動を行っているクオレ・シー・キューブ代表取締役社長の岡田康子氏は、次のように分析する。

 「エンジニアは、ほかの職種に比べると商品力や事業力より個人の能力が問われる世界。能力レベルが分かりやすいため、能力がないと上司でも先輩でもいじめの対象になりやすいのではないでしょうか」

 たしかに、いじめの当事者か第三者かにかかわらず、技術レベルの低さをいじめの原因に挙げる意見は比較的多く見られた。「年の割には仕事を知らない」と、いじめの原因を答えたのは、32歳のネットワーク設計・構築(LAN・Web系)のエンジニア。また、35歳のエンジニア(生産技術・プロセス開発)は、「技術レベルが低いので議論にならずにみんなに無視される」という。「スキル重視の職場では、スキルが低い人をバカにする傾向があり、協力する気持ちがない」(35歳/品質管理・生産管理)と、はっきり指摘する回答もあった。営業や事務など一般的な職種に比べ、スキルの有無がいじめにつながりやすいのがエンジニアの職場の特徴ということができるかもしれない。

エンジニアにとっていじめはひとごとなのか

 実際にいじめが起こったかどうかは別として、エンジニアの職場はいじめが起きやすい職場なのだろうか、それとも起きにくい職場なのだろうか。

図3 エンジニアの職場は、ほかの職種に比べていじめが「起こりやすい」「起こりにくい」のどちらだと思いますか?

 アンケートの結果を見ると、6割以上のエンジニアが「いじめは起こりにくい」と考えているようだ(図3)。その理由として多かったのが、「1人で仕事をすることが多く、あまり他人とかかわらないから」というものと、「忙しくていじめなどしている時間がない」というもの。特にIT関連などは、パソコンに向かっている時間も長いし、納期も短めなので他人をかまっている暇はないのかもしれない。

 しかしこれらの理由は、裏返せばいじめを誘発する原因ともなり得る。いじめが起こりやすいと考えているエンジニアが挙げた理由の中に、「1人で作業することが多いから」「忙しくてストレスがたまるから」と同じようなものもあるのだ。

 他人とかかわらないということは、職場にコミュニケーションが不足していることを意味する。とかくエンジニアはコミュニケーションが苦手といわれる。人とうまくコミュニケーションができないと、組織の中で浮いてしまいいじめの対象になったり、知らず知らずのうちに他人を傷つけてしまったりしやすい。また、多忙であればあるほどストレスがたまりやすいので、つい人に当たってしまうこともあるだろう。

 岡田氏はこう指摘する。「エンジニアは対人関係への関心が薄いために、実際に自分が被害を受けないといじめを認識しにくいのかもしれません」

 ちょっと不思議なのは、自分自身は被害者ではないものの、「職場にいじめがある」と認識している人の43.8%が、それでも「いじめが起こりにくい職場である」と考えている点だ。また、いじめに対してどのように考えているか自由回答を求めたところ、冷めた意見が意外と目についたのも特徴的かもしれない。

「いじめる方もいじめられる方もアホ」(37歳/社内システム・MIS)
「やるべきことをやっていれば仲間外れにならない」(30歳/システム開発[Web・オープン系])
「多少はしかたない」(28歳/システム開発[マイコン・ファームウェア・制御系])

 ケンカ両成敗ならぬいじめ両成敗といったところか。いずれにしても、対人関係が希薄な分、知らないところでいじめが行われていたり、あるいは知らないうちにいじめの加害者になっていたりする可能性も決して少なくないのが、エンジニアの職場といえるだろう。

「エンジニアの職場のいじめ」3大特徴
特徴1 能力差が分かりやすく、スキルの低さが原因になりやすい
特徴2 対人関係への関心が希薄で、いじめに気付きにくい
特徴3 いじめられる方にも非があると考えている人が多い


では、いじめにどう対応する?  

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