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第68回 エンジニア6割が「景気悪化で給与に影響あり」の実感

Tech総研
2009/9/10

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  企業業績の悪化、
業務の激減、人員削減も

 こうした企業業績の悪化は、エンジニアの仕事の現場、取引先との関係にも如実にその影響が表れている。IT・ソフトウェア業種でも新規案件が激減しているという声が多い。案件数は変わらないにしても、単価の引き下げや、外注への契約打ち切りなどの余波を嘆く声が多く見られる。職場には、現実的に仕事がないため、稼働日が減らされたという声もあった。取引停止、受注・発注減、単価の減少、コスト削減要求、社内予算・経費削減、残業抑制……など、職場の状況をたずねると、暗い話がほとんどだ。

ナマゴエ!

ここ半年で、新規案件が激減した 35歳/Web系システム開発

取引先から単価の引き下げ要求があった。外注との契約を切って、社員による対応が増えた 39歳/オープン系システム開発

これまで、外注していたものを内部でやるからといわれ、長い付き合いだった取引先がなくなった 24歳/Web系システム開発

稼働日が週2日になっているところもある。先月は週1日だったので今月はちょっとよくはなっている 31歳/パッケージソフト開発

  月の残業代は
35%のマイナス

 「残業がなくなったため、給料は月に10万円ほど減った」と、愛知県の機械・機構設計エンジニア(28歳)は書いている。基本給は変わらずとも、残業代が減れば、手取り収入の減少につながるのは当然の話。

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 今回の調査によれば、2008年12月には平均26時間、最大で120時間こなしていた月の残業時間が、09年3月には平均20時間と大きく減っている。また、12月には残業時間「0」という回答が「107人」であったのに対し、3月では「166人」と5割以上増えている。残業時間の削減に伴って、残業代も減る一方だ。12月の平均残業代が「3万3673円」に対して、3月は「2万1919円」。35%のマイナスということになる。

図3 景気悪化の影響で、残業時間に変化は?

 ワークライフバランスの観点からいえば、残業は少ないに越したことはない。だが、基本給を含む賃金ベースが上がらない中、エンジニアにとって残業代は生活を維持するための収入源の1つであったことは間違いない。その意味では、残業代の約4割削減は、エンジニアの生活に直撃することになる。寄せられた声は切実だ。

ナマゴエ!

基本給は変わらないが、残業代がカットされた。また昇格が停止された。昨年結果を出したのに昇格できず、残業代もカットされるので、年収は2カ月分以上減るだろう 30歳/セールエンジニア

会社全体で業務が減り、残業するまでもない 34歳/制御系SE

残業代カットのため、残業するなと上司よりいわれ、定時になると全員帰宅させられる 30歳/運用、監視

派遣社員の解約により1人当たりの仕事量が増えた。また、残業規制により残業ができなくなったため、サービス残業が増えた 26歳/機械・機構設計

仕事量に変化はないが、残業がまったくできず、一時帰休まであるので、家で仕事をするしかない 30歳/生産技術

  派遣社員がいなくなった職場。
次は正社員か?

 経営者側からみれば、コスト削減の究極の策は人減らしだ。昨年までは派遣労働者のリストラや新卒者の内定取り消しが話題の中心だったが、今年に入ってからはリストラの対象は正社員にも及んできた。大手電機メーカーによる人員削減の発表も相次いでいる。急激な収益の低下の前には、なりふりかまっていられないというところだろう。

 こうした人員削減は今回のアンケート対象のエンジニアの身近でも起こっている。500人の回答のうち、「景気悪化の影響で職場の人員が削減された」と回答した人は全体の48%に上る。

図4 景気悪化の影響で、人員削減に変化は?

ナマゴエ!

製造現場を担う派遣の人が、業務縮小に伴って一斉に解雇された 26歳/半導体設計

業績悪化に伴い、派遣社員解雇。正社員も40歳以上はリストラ対象となり、面談が行われ、希望退職を募った 31歳/生産技術

業績の悪かった事業部は、派遣社員が全部切られてしまった。また、その事業部の社員の多くは、他部署に異動になってしまった 30歳/品質管理

もうすでに生産ラインにおいては、1990年代バブル崩壊後、ぎりぎりの人数でやっているので、削減はされていない。ただ、他部においては、正社員が定年となって減った分を正規社員で補充せず、派遣社員で埋めている 39歳/生産技術

 正社員への希望退職勧奨など、人員削減対象の広がりは製造業では深刻だが、それに比べるとIT・ソフトウェア業界はまだゆるいという印象がある。ギリギリの人数の正社員をコアに、景気変動を派遣社員の増減で調整するという、日本企業の雇用スタイルが定着していることがうかがえる。これがどこまでもちこたえられるかは、ひとえに今後の景気動向にかかっている。

 景気悪化の影響で「失業」という文字が身近なものになりつつある。経済財政諮問会議で、経済社会総合研究所 所長 岩田一政氏が「来年後半か来年末には、失業率が7%(今年2月は4.4%)まで上がる可能性」を指摘した。失業率7%といえば、失業者500万人。まさに悪夢としかいいようがない。こうした悪夢のシナリオを実現させないために、政府、地方自治体、政党、企業経営者はもとより、働く人すべての知恵と創意工夫が問われている。

この記事は、Tech総研/リクルートの2009年5月27日公開の記事を
再編集して掲載しています


 

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